月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.05.21

琉球ゴールデンキングスvs島根スサノオマジック - B1チャンピオンシップセミファイナル展望

 このシリーズは、ともに初のファイナル進出とリーグ制覇を目指す西地区の1-2フィニッシュの激突だ。どちらが勝っても西地区から初めてファイナルに進出するチームとして歴史を作る。


両チームの対戦で傾向的に感じられるのは、ハイスコアリングな展開になった場合には琉球に分があり、ペースをある程度コントロールできた場合には島根に勝機が訪れるということだ。リーグ戦期間の4試合では、松江市総合体育館での最初の対戦で島根が琉球を70点台に抑えて勝利した後、次の2度の対戦ではいずれも琉球が90点以上を奪い2ケタ点差をつけて快勝、最後の一戦は琉球が71点にとどまったが3点差で辛くも勝利という結果だった。


リーグ戦の2試合目、3試合目と同じような傾向になれば、琉球は一気に勝負をつけてしまう可能性もありそうだ。スターターだけではなくベンチの誰が出てきてもプレーのクォリティーが変わらない、落ちないどころか高まってくる琉球の強さは、秋田ノーザンハピネッツとのクォーターファイナルでも強く感じられた。シューターとしての地位を確立している岸本隆一や今村佳太だけではなく、大事な場面で並里 成やコー・フリッピン、小野寺翔太らがダメージの大きな3Pショットを決めていた。アレン・ダーラムやジャック・クーリー、ドウェイン・エバンス…とヒーローを挙げていけばロスター全員になってしまう。

 

琉球ゴールデンキングスが攻守で爆発力を発揮するようなら、一気に勝負がつく展開も予想される(©B.LEAGUE)


順位や勝率、直接対決の戦績から見て、また地元の誇りとも言える“夢のアリーナ”が生み出すホームコートアドバンテージを考えても、琉球が島根に対し優位に立っていることは間違いないだろう。ただし絶対的とまで言えるだろうか。もしも島根が爆発力のある琉球を、秋田がやったのと同じように、またリーグ戦期間に自ら2度やったように70点台に抑えられればどうなるか。仮に沖縄アリーナで1勝をもぎ取ることができたら…。そうなったらシリーズの行方はわからない。島根の1勝は琉球に、今シーズンまだ経験していないプレッシャーと直面せざるを得ない状況を作り出す。


そのためには、島根が琉球のプレッシャーディフェンスとトランジションオフェンスに押されず、ミスのない完璧に近いプレーをする必要はあるだろう。安定感のある安藤誓哉を中心にペリメーター・ディフェンスをいかに頑張るか、またリード・トラビスやニック・ケイらを中心に、琉球の最大の強みであるリバウンドの点でどこまで対抗できるかが大きなカギだ。オフェンスでは安藤に加え、得点源のぺリン・ビュフォードとクォーターファイナル最終戦で大当たりだったトラビスに期待がかかる。

 


「目指すのは王座、今年獲りにいこう!」安藤誓哉の力強いリーダーシップが、島根スサノオマジックに勢いをもたらしている(©B.LEAGUE)

 

 

☆琉球ゴールデンキングスvs島根スサノオマジック セミファイナル日程(会場:沖縄アリーナ)
5月21日(土) 17:05
5月22日(日) 19:05
5月24日(火) 19:05


☆対戦成績
2021-22リーグ戦 琉球3勝、島根1勝
3月11日(松江市総合体育館) 島根〇87-76×琉球
3月12日(松江市総合体育館) 島根×74-92〇琉球
4月23日(沖縄アリーナ) 琉球〇93-82×島根
4月24日(沖縄アリーナ) 琉球〇71-68×島根

 

☆両チームのリーグ戦キースタッツ
※各項目とも数値の右のカッコ内はリーグ順位
※ターンオーバーは少ない方から上位
琉球
西地区1位/二地区間1位 49勝7敗(勝率.875=B1全体1位)
平均得点 84.4(5位)
フィールドゴール成功率 47.4%(6位)
3P成功率 36.5%(5位)
フリースロー成功率 73.4%(15位)
平均リバウンド数 40.9(1位)
平均アシスト数 21.1(8位)
平均スティール数 7.6(4位)
平均ブロック数 2.4(15位)
平均ターンオーバー数 12.0(9位タイ)

 

島根

西地区2位(二地区間2位) 40勝15敗(勝率.727)
平均得点 86.9(4位)
フィールドゴール成功率 47.0%(8位)
3P成功率 34.5%(10位)
フリースロー成功率 78.7%(2位)
平均リバウンド数 37.6(7位)
平均アシスト数 21.4(6位)
平均スティール数 7.4(7位)
平均ブロック数 2.5(12位)
平均ターンオーバー数 10.0(2位)


☆両チームのリーグ戦トップパフォーマー
琉球: ドウェイン・エバンス(平均17.1得点=リーグ9位)、岸本隆一(3P成功率38.4%=リーグ9位)、ジャック・クーリー(平均10.4リバウンド=リーグ3位)、コー・フリッピン(1.4=リーグ5位)
島根: ぺリン・ビュフォード(平均19.8得点=リーグ2位、平均6.0アシスト=リーグ2位、平均1.4スティール=リーグ8位)、安藤誓哉(平均5.7アシスト=リーグ5位、フリースロー成功率87.7%=リーグ8位)、ニック・ケイ(平均1.4スティール=リーグ7位)



(月刊バスケットボール)



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