月刊バスケットボール5月号

MORE

2022.05.18

「町田瑠唯はアシストトップ10に入ってくる」 – マイク・ティボーGM兼HC語る

 日本時間5月18日のダラス・ウイングス対ワシントン・ミスティクスの試合前会見で、ミスティクスのマイク・ティボーGM兼HCが町田瑠唯のパフォーマンスに言及、最終的に今シーズンはアシストランキングでトップ10に入ってくるだろうとの期待を語った。

 


日本時間5月18日のダラス・ウイングス戦前んオ会見でのマイク・ティボーGM兼HC


町田は前日までの日程を終えた時点で、ミスティクスが消化した4試合すべてに出場。直近2試合はスタティングガードのナターシャ・クラウドが欠場したことによりティップオフからコートに立っている。ここまでの平均アシスト数は4.0本。これはリーグ全体の11位タイの好成績で、並んでいるのはアメリカ代表のスカイラー・ディギンズ-スミス(フェニックス・マーキュリー)だ。


日本で見ている立場からすれば、世界最高峰リーグとされるWNBAで、開幕から2週間余りの段階で日本人のポイントガードが突如として11番目に素晴らしいプレーメイカーの位置に名を連ねることは快挙として喜べる出来事と言える。しかしこのランキングについてティボーGM兼HCに感想を求めると、「特に思うところはありませんよ。元から予想していたことです(I don’t really have a thought on it. It’s what I expect)」とあっさり回答し、まったく驚く様子もなかった。


ティボーGM兼HCの「今シーズンを終える頃には、彼女とナターシャがトップ10に入っていると思います。どちらかはたぶんトップ5で、もう一方もそれに近い数字になるでしょう(I think at the end of the season, that between her and Natasha (Cloud), we’ll have two people in the top 10 or in one probably in the top 5 and another one close)」というコメントから、町田に対する自信の大きさがわかる。「ほかの皆が安定してショットを決めるようになってくれば、それと(チームとしての)ターンオーバーを減らすことができれば、二人ともアシストの本数が上がってきます。私たちはここまでの試合で、ターンオーバーが多いことでフィールドゴールアテンプトが少ない状態です。だから間違いなくアシストは上昇しますよ(I think they are both and they both have higher assist you know when we have a couple other people start making more consistent shots or we don’t turn the ball over. You know we have a low number of field goal attempts in these games because of our turnovers. So assists should go up)」

 

 ミスティクスは直近のウイングスとの試合でターンオーバーを18記録しており、それが大きな要因となって84-96で今シーズン初黒星を喫していた。ティボーGM兼HCがターンオーバーを気にしているのは、この試合での数字が気になっているからだと思われる。また、ショットの安定感に言及しているのは、3P成功率が36.3%で12チーム中7位と今一つ上がってきていないからだろう。

 

 フィールドゴール全体のアテンプト数67.8本(12チーム中6位)、フィールドゴール成功率45.8%(4位)、ターンオーバー数が13.5本(少ない方から3位)に関しては、相対的に悪いデータというわけではない。ただしコメントを聞くと、チームとして目指すレベルがそこではないということが伝わってくる。その試合で8得点にキャリアハイの7アシストを記録した町田個人に関しても、開幕デビュー以来パフォーマンスが明らかに上向いていることもあり、期待値も遠慮なく高まっているのだろう。

 

 参考まで、この日時点でのアシストランキングトップ3は以下のとおりだ。

 

1位 コートニー・バンダースルート(シカゴ・スカイ) 8.3

2位 ケルシー・プラム(ラスベガス・エイセズ) 6.8

3位 スー・バード(シアトル・ストーム) 6.3

 

 バンダースルートは昨シーズンチャンピオンを勝ち取ったスカイのベテランプレーメイカーだ。プラムは3x3のアメリカ代表として昨年東京2020デ金メダルを獲得したプレーヤーで、町田も3試合目で対戦した市アにマッチアップしていた。ベテランのバードはオリンピックで金メダル5つ、ワールドカップで4つの金メダル、WNBAで通算アシスト数最多記録を持つスーパースターとして、世界中にその名をとどろかせている。

 

 ここに町田が絡む。ティボーGM兼HCはその期待値で町田を見ている。レギュラーシーズンはこの日のウイングスとの試合を含めあと32試合。どこまでいけるか注目だ。


 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



PICK UP