島根スサノオマジックが後半のビッグランで初のセミファイナル進出 - B1チャンピオンシップクォーターファイナル
5月16日に松江市総合体育館で行われた島根スサノオマジックとアルバルク東京のB1チャンピオンシップクォーターファイナル第3戦は、白熱した接戦から後半島根が一気に点差を広げ80-62で勝利。クラブ初のB1チャンピオンシップで、セミファイナル進出を決めた。
試合の序盤にも終盤にも存在感を示し20得点、安藤誓哉はキャプテンらしく大きな仕事をした(写真/©B.LEAGUE)
前日第2戦で34点差をつけられて敗れる屈辱を味わった島根は奮起した姿を見せた。試合開始直後からの8-0のランでいきなり5得点を奪ってチームを勢いに乗せたキャプテンの安藤誓哉は、最終的にゲームハイの20得点に4リバウンド、5アシスト、2スティール。クラブの歴史にも残るだろうビッグゲームでMVPに輝き、昨シーズンまで在籍した古巣に“恩返し”を果たした。
A東京も簡単に沈黙したわけではなかった。序盤島根に先行された後、吉井裕鷹の完璧なシューティング(3Pショット3本を含むフィールドゴール6本すべて成功)を軸に徐々に追い上げ、前半を終えた時点のスコアボードは41-37の島根リードと、どちらに流れが傾いてもおかしくない状況だった。第3Qには残り5分22秒のジョーダン・テイラーのジャンプショットで45-43と逆転に成功。その後の点の取り合いの流れでも、アレックス・カークがバックコート陣とのピックプレーから3連続ゴールを決め、このクォーターの残り2分56秒時点でも51-50とリードを保っていた。
しかし安藤の3Pショットが島根に53-51とリードをもたらした後、それまで無得点だったリード・トラビスが3連続3Pショットを含む13連続得点とアタックモード全開となりチームをけん引。第3Q・第4Qをまたぐ21-4のランで、あれよという間に71-55と点差を広げた。それでも緊迫した空気が途切れない展開の中、75-60の残り2分12秒にニック・ケイのドライブ&キックから白濱僚祐がズバリと決めた3Pショットは、わずかに残っていたA東京の逆転勝利への望みを絶つ一撃となった。
第4Qは、A東京がオープンルックのショットを決めきれなかったのに対し、島根はそのリバウンドをしっかりつかみA東京の反撃の芽を摘んでいった。第4Qのリバウンド本数は島根が14だったのに対しA東京は8。終盤、入ってもおかしくないA東京のショットが落ち、島根がフィジカルな競い合いを頑張り切れた要因には、やはり地元ブースターの後押しがあっただろう。白濱のビッグショットにも同じことが感じられた。
試合後ポール・ヘナレHCは、会場に集まった3,307人のブースターに「皆さん、こんばんは。今日は来てくれてありがとうございました」とまずは日本語であいさつした後、「皆さんのこの三日間の応援は信じられないほど素晴らしかったです。この応援がなければどうなっていたか。今日勝てたかどうかわかりません(Your support over these last three days has just been amazing. I don’t know, without that support, I don’t know we could have got it done that today. So from all of us, thank you so much)」と感謝の思いを伝えていた。安藤もヒーローインタビューで「皆さん、昨日眠れなかったと思うんですけど、僕も疲れていたのになかなか眠れなくて…。でもそんな中で今日もこうして大勢の皆さんが集まってくれて、会場を青一色に染めてくれて、本当に力になりました」とブースターの力を称えていた。
島根は泣いても笑っても今シーズン最後のホームゲームだったこの試合を、最高の形で終えることができた。5月21日(土)からはアウェイの沖縄アリーナに乗り込み、今シーズンB1の歴代最高勝率を記録した琉球ゴールデンキングスとのセミファイナルに臨む。
敗れたA東京は2021-22シーズンの終了を迎えた。しかし、吉井の活躍やシリーズを通じてアグレッシブかつ安定した貢献をもたらした小酒部泰暉ら若手の台頭もあり、、今後に向け楽しみな要素も多かった。アウェイでの悔しい敗北も次につながる貴重な経験。来シーズンはいっそう怖い存在になって帰ってくるに違いない。
島根スサノオマジックvsアルバルク東京
第3戦(松江市総合体育館)
島根のリードを18点差に広げた第4Q終盤の白濱僚祐の3Pショット(写真/©B.LEAGUE)
島根スサノオマジック 80(20 21 23 16)
アルバルク東京 62(18 19 18 07)
※島根は2勝1敗でセミファイナルに進出
島根スサノオマジック: 安藤誓哉(20得点、フィールドゴール成功率57.1%、3P成功4本・成功率50.0%、4リバウンド、5アシスト、2スティール)、ニック・ケイ(17得点、フィールドゴール成功率50.0%、3P成功率60.0%、10リバウンド、4アシスト)、リード・トラビス(15 得点、フィールドゴール成功率54.5%、3P成功率42.9%)、ぺリン・ビュフォード(14得点、6リバウンド、10アシスト)、ウィリアムス ニカ(9得点、フィールドゴール成功率100%、10リバウンド)
アルバルク東京: 吉井裕鷹(17得点、フィールドゴール成功率100%、3P成功率100%、4リバウンド)、アレックス・カーク(13得点、フィールドゴール成功率71.4%、5リバウンド)、ジョーダン・テイラー(13得点、8リバウンド、8アシスト)、セバスチャン・サイズ(11得点)
3本の3Pショットを含め6本のフィールドゴール瀬宇部てを成功させた吉井裕鷹(写真/©B.LEAGUE)
(月刊バスケットボール)