月刊バスケットボール5月号

3年ぶりに“メインコート”が復活したミニバス大会「志木カップ」

 毎年ゴールデンウィークの時季に開催されるミニバス大会としておなじみの「志木カップ」。新型コロナウイルスの影響で2020年は中止、昨年は時期をずらして12月に開催されたが、36回目となる今年は感染対策を徹底しながら通常の春の開催が実現。4月30日・5月1日の両日、埼玉県の志木市民体育館、和光市総合体育館、志木市立志木第四小学校を会場に熱戦が展開された。

 

メイン会場となった志木市民体育館

 

大会2日目、CKカッピーズと大和田ミニバスの対戦より

 

大会2日目、南古谷アクロスと東川口ミニバスの対戦より

 

 首都圏1都7県及び近隣2県から推薦を受けた強豪チームが集う「志木カップ」。男女各18チームが2つのブロックに分かれてリーグ戦を行い、最後に各ブロックの1位同士が総合優勝を争う。今大会では、前回実施が見送られたメインコートでの男女総合優勝決定戦が復活。2面進行時には、コート上で戦う4つのチームに対する応援で沸き返る体育館が、メインコートでは、試合が始まる前に一瞬の静寂の時間が訪れる。まるでウインターカップやJr.ウインターカップの最終日のような、そんな張り詰めた空気が漂うのも「志木カップ」ならでは。そして今年、そのメインコートで頂点に立ったのは男子が和光いちょう、女子が行田ラビッツだった。

 

 2つのブロックに分かれてのリーグ戦後、それまでの2面コート(写真上)から

メインコート(写真下)に模様替え。スタッフ総出で、わずか20分ほどの間の早変わりは実に鮮やかだった

 

女子総合優勝決定戦、行田ラビッツと戸田ミニバスのティップオフ

 

接戦の末にタイトルを勝ち取ったのは、試合後半の粘りと力強さが際立った行田ラビッツ

 

コートサイドで試合を見守った保護者に勝利を報告する行田ラビッツの選手たち

 

 女子総合優勝決定戦では、昨夏の東京2020オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表の本橋菜子(東京羽田)と宮崎早織(ENEOS)がサプライズで会場を訪れ試合を観戦。本橋は埼玉県朝霞市出身、宮崎は同川越市出身とあって「志木カップ」は思い出深い大会のようだ。「久しぶりに『志木カップ』にやってきて、保護者の方々の応援の中、選手の皆さんのリングに向かう姿やボールを追いかける姿を見て、とても懐かしく、私も純粋にバスケットに打ち込んでいた時代を思い出しました」(本橋)、「本当に久々にミニバスの試合を見て、こんなにもレベルが高いのかと感じました」(宮崎)と語りながら、両選手とも優しい笑顔を見せていた。

 

会場を訪れ、選手たちにメッセージを伝える本橋菜子(写真左)と宮崎早織(同右)

 

男子総合優勝決定戦、和光いちょう対桜丘ミニスターズのティップオフ

 

みごと優勝を飾ったのは、高さと技術力が光った和光いちょう

 

「志木カップ」の意義は、単なる勝ち負けにとどまらず、真剣勝負で日頃の練習の成果を試す喜びを感じたり、乗り越えるべき課題を見付けること、そして、同世代の新たな友人を得ることにある。女子優勝の行田ラビッツのキャプテン④加茂下杏珠は、「今日はみんなで一つのチームになって試合に出られたことがとてもうれしかったです。たくさんのチームと対戦してとても勉強になりましたし、自分も挑戦してみたいと思うような感動したプレーもたくさんありました」と試合後に大会の感想を語ってくれた。

 

充実した笑顔を見せる行田ラビッツ④加茂下杏珠

 

 男子準優勝の桜丘ミニスターズのキャプテン④木俣玲也は、総合優勝決定戦の終盤、チームメイトに「さあ、最後しっかり守り切るよ!」と力強く声をかけた。点差は大きく離されていたが、コロナ禍の中、ようやく立つことができた真剣勝負の舞台でそんな声かけができたのは、日頃の、バスケットボールに向き合う姿勢の表れに違いない。

 

チームメイトを力強く引っ張った桜丘ミニスターズ④木俣玲也

 

 木俣をはじめ、今回の「志木カップ」に参加した全ての選手は、数々の試合で得られた大小さまざまな経験や自信を持ち帰り、これからも日々バスケットボールの上達に励んでゆくことだろう。

 


取材・文・写真〇村山純一(月刊バスケットボール)



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