月刊バスケットボール6月号

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2022.05.04

笑顔の町田瑠唯「スピードは自信を持ってもいいのかなと思います」 - 練習後会見で語る

 ワシントン・ミスティクスでWNBAでの初シーズンに臨む町田瑠唯が、日本時間5月4日未明(北米時間3日午後)に練習後の会見に応じた。

 


現地記者コール氏からの日本語の質問に思わず笑顔をはじけさせた町田(右は専属通訳の武井 樹氏)


町田が最初に受けた質問は、現地の記者ウェイン・コール氏からのもので、「練習はどうだった?」と日本語で語りかけられ町田は思わず笑顔をはじけさせた。この日はチームオフェンスの確認が主な内容だったとのことで、「新しいものが入ってきたので、頭をよく使いました」と答えていた。前日には、町田がチームメイトのマイシャ・ハインズ-アレンとともに練習会場で日本のスナック菓子を関係者や記者たちに配るシーンがソーシャルメディアなどで見られたが、その振る舞いに感謝を述べる記者もおり、町田が温かく迎えられていることが感じられる会見でもあった。


コミュニケーション面は難しさが伴いそうな側面ではあるが、チームとしての受け入れ態勢がしっかりできていることに加え、こうした現地記者の温かみのあるアプローチは、ワシントンD.C.の居心地をさらに良くする要素になるに違いない。シーズンが進みプレーオフやチャンピオンシップの時期になれば、ポイントガードの町田にはコート上でもそれ以外でもリーダーシップを求められる場面が訪れることも予想できる。町田は現時点では「パッと英語で言葉を発することができるかと言えばそうではない」ものの、「まだこちらに来て一週間です。シーズンが終わるころまでには自分から発言できるようになっていたら良いかなと思います」と言葉の壁の克服にも意欲を見せているが、ミスティクスのチーム内だけではなく、その周辺にも町田の意欲を後押しする環境があるようだ。

 


お菓子を配った記者からのお礼の言葉に、こちらも笑顔の町田

 


プレーの面では、チームメイトたちが口々に町田のスピードとパスの感覚を絶賛するコメントをしている。プレーメイクに関しては、町田は率直に言ってWNBAでもトップレベルで張り合える実力があるだろう。町田自身も「スピードは自信を持っても良いのかなと思っています。速いだけでは守られてしまうので、緩急を大事にしてそのスキルを磨けるようにしていけたらよいかなと思います」と話している。


Wリーグの2021-22シーズンは平均10.6得点、8.1アシスト4.6リバウンドのアベレージ。シューティングに関しても2Pフィールドゴール成功率57.1%、3P成功率35.9%、フリースロー成功率90.5%と申し分ない。WNBAでのチャレンジの一つは、よりフィジカルで高さのあるフロントラインのプレーヤーが多い状況でこれらの数字が示す能力を発揮することだろう。中でも3Pショットに関して40%台に至る確率をたたき出せたら、町田のスピードはアンストッパブルな脅威となりそうだ。シューティングに関しては「コーチ陣にもシュートを狙っていけと言われています。そこは自分の強みを生かすためにも、意識して挑戦していきたいと思います」と町田は積極性を言葉にしていた。


ミスティクスは当初予定していたプレシーズンゲームの最終戦(対ニューヨーク・リバティ戦)がキャンセルとなった。そのため町田は、実戦経験1試合で2022シーズン開幕に臨むこととなる。それでもチーム内でのコミュニケーションも順調に良くなってきていることが感じられ、マイク・ティボーGM兼HCも「思っていたとおりのプレーを見せてくれている」とコメントしており、期待感に包まれている。1試合だけ出場したプレシーズンゲームで2得点、2アシストながら±がチーム3位の12だったことは、町田がいわゆる“インタンジブル(intangible=数字などに表れない存在感や価値)”をチームにもたらしていた証しと見ることもできる。使用球やルールの違いなど、アジャストが求められることも多いに違いないが、開幕時点から即戦力としての活躍を大いに期待できそうだ。

 


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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