月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2022.04.29

横浜・河村勇輝「このままでは絶対に終わりたくない」

 

「うーん…終始、(サンロッカーズ)渋谷さんのディフェンスの圧に負けてしまったことが一番の敗因です。自分たちの強みであるオフェンスを消されて、そこにフォーカスし過ぎるあまり、本当に大事な部分であるディフェンスに目が行かずにやられてしまうような最悪のケースが40分間続いてしまいました」

 

 4月27日、シーズンの最多勝利記録となる20勝目を目指してSR渋谷に挑んだ横浜ビー・コルセアーズだったが、結果は65-86の完敗。格上のクラブに力の差を見せ付けられ、河村勇輝は開口一番でこう試合を振り返った。

 

 開始1分で0-8と、いきなり相手に先手を打たれ、その後も長く10点前後を追いかける展開に。5点ビハインドで入った2Q序盤、キャプテン#46生原秀将の3Pシュートなどで一時は1点差まで追い上げたものの、その後はタイムアウトで立て直した渋谷に再び引き離された。

 

「追いかけて追い付けない、もどかしい展開になってしまいました」と青木勇人ヘッドコーチは言い、「ターンオーバーやセカンドチャンスからの失点を減らすことをテーマにして試合に臨み、ある程度は遂行できましたが、シュートのパーセンテージで差が付きました」と試合を総括。実際、数字を見ればFG%はSR渋谷が58.8%に対して横浜は38.7%。オフェンスでリズムに乗れないことがディフェンスにも影響し、攻防で後手に回ってしまった。

 

 河村自身は26分25秒プレーし、3P1本を含む8得点8アシスト。試合後、敵将・伊佐勉ヘッドコーチは「かき回されましたね、速すぎます」と攻撃の起点となった河村のプレーを高く評価していたが、勝ち星が付いてこなければ河村の表情や口ぶりは自ずと厳しいものとなる。ここ5試合連続、スターターに名を連ねて正司令塔を務めているだけに、なおさら敗北の責任を強く感じているのだろう。

 

 

 

 現在、河村に個人的にテーマにしている課題を聞くと、「ゲームの中での緩急」だと言う。

 

「ここ最近はスターターとして試合に出る機会があり、前に比べて出場時間も伸びてきているので、その約30分くらいの出場時間の中でうまく調整しながらバスケットをしなければいけないなと思っていますが、まだまだです。手を抜くというわけではないですけれど、自分の強みであるトランジションバスケットを30分やり続けても、終盤に体力切れ、ガス欠してしまうのは目に見えている。特に後半の大事な場面でしっかりと自分のプレーができるように、ゲームの流れを見ながら調整していくことは、自分の中でもっと成長していかなければいけないことだと思っています」

 

 ここ数試合、スターターに定着しつつあり、ベンチから出て流れを変えるためにプレーしていたシックススマンだった頃とはまた違う課題にぶつかっているようだ。レギュラーシーズンは残り僅かだが、「まだまだ」と語る自身のプレーの調整について、少しでも何か手応えと収穫を得たいところ。

 

 残りの試合について「ここ何試合の出来のままで、今シーズン絶対に終わりたくないと思っています。個人としてもチームとしても」と固く決意を語る河村。

 

「やっぱりまずはチームが勝つために、自分が必要とされていること、求められていることをゲームの中でプレーしたいなと思います。残り4試合は、来シーズンに向けての4試合でもあるし、今シーズンを締めくくる最後の4試合でもある。絶対に4試合を獲って終われるように、ガードとして試合を支配できるように頑張っていきたいです」

 

 2024年のパリオリンピックも見据えながら、自らをさらに急成長させるためにあえて大学を中退して覚悟のプロ入りを果たした20歳。まだまだ進化の途中にある若き司令塔の歩みを、見逃してはならない。

 

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

写真/石塚康隆

 



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