月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.04.20

B1西地区優勝争いがクライマックスへ – 5連覇マジック2の首位琉球と2位島根が4.23(土)・24(日)に沖縄で激突

 B1西地区で首位に立つ琉球ゴールデンキングスが、同地区制覇へのマジックを2として、この週末4月23日(土)・24日(日)にマジックの直接的な対象である島根スサノオマジックと、沖縄アリーナで激突する。

 

 琉球は4月20日時点で通算成績が43勝5敗(勝率.896)で、同日の三遠ネオフェニックスとの試合を前に36勝12敗(勝率.750)で西地区2位の島根に対し7ゲーム差のリードを保持している。両チームの残り試合数はともに8試合。島根は三遠に勝利しても、週末の直接対決で1度でも敗れるとその時点で琉球の西地区優勝が決まる状況だ(琉球は20日の水曜ゲームで信州ブレイブウォリアーズと対戦するはずだったが中止となった)。琉球の優勝が決まれば西地区5連覇ということになる。


対戦相手の地元で自らの地区優勝の可能性を断たれ、相手の5連覇達成の瞬間に立ち会うことは阻止したい島根は、今シーズン連敗を喫していない琉球に連勝することが、それを免れる唯一の条件。得点源の一人である金丸晃輔が欠場という状態で戦った前回の直接対決では1勝1敗と星を分けているが、正念場のビッグゲームはどのような結果になるだろうか。

 


ぺリン・ビュフォード(©B.LEAGUE)

 

 3月11日に松江市総合体育館で行われた最初の対戦では、島根が37-31と6点リードして迎えた第3Qにニック・ケイ、安藤誓哉の3Pショットなどで一気にリードを広げ、87-76で逃げ切った。この一戦は、琉球の連勝を20で止める意義ある1勝でもあった。ただし翌12日の2度目の顔合わせでは、琉球が序盤から今村佳太やドウェイン・エバンスらの得点でリードを奪い、92-74と差をつけて勝利している。琉球はコー・フリッピンがキャリアハイの21得点など、チームとしての爆発力を発揮した。

 


並里 成(©B.LEAGUE)


連戦を終えた後、島根のポール・ヘナレHCは、「今週末の2連戦で非常に高いレベルのチームと対戦して、しっかり学んで我々のファイトのレベルが上がったという感触や手応えがあった」とコメントしており、敗戦にもチームに対する自信を深めていた様子だった。「非常にチームにとって糧になると思いますし、同時に今日負けた悔しさをしっかり頭に刻み込んで、記憶として残して、この先につなげていくことで、チームの成長になっていくと考えています。そういった意味では、良い学びの週末だったと思います」

 


ポール・ヘナレHC(©B.LEAGUE)


一方、初戦で敗れた後「(島根に)やりたいバスケットボールをやられてしまった」と悔やんでいた琉球の桶谷 大HCは、借りを返した翌日の試合後、「昨日の敗戦は、戦術戦略以前にやるべきことをやらなくて勝てるわけがないということを教えてもらえた試合」と振り返っていた。「自分たちは初心に帰れたと思います。今日は選手がいい姿勢で応えてくれ、攻撃も守備もチームとして機能できました」

 


桶谷 大HC(©B.LEAGUE)

 


両者をデータで比較すると、オフェンスは島根が平均86.9得点(リーグ4位)で、キングスの85.3点(同5位)をわずかに上回っている。しかしディフェンスでは逆に琉球が失点を72.4(同2位)としているのに対し島根は78.1(同7位)と2ポゼッション分多く、この側面では琉球の力強さが感じられる。また、琉球はリバウンドでリーグ1位の41.2本を記録しており、37.4本で同6位の島根に対しここでもアドバンテージを持っていると言えそうだ。


前回の直接対決では、島根のペリン・ビュフォードが初戦で32得点に8リバウンド、5アシスト、第2戦でも28得点、7リバウンド、9アシストと大車輪の活躍ぶりだった。また司令塔の安藤誓哉は初戦で18得点、4リバウンド、5アシストを記録して勝利に貢献したが、敗れた第2戦では7得点でリバウンドとアシストはナシ。琉球のディフェンスがプレーメイカーを苦しめただろうことは、2試合で9ターンオーバーを記録していたことが物語っている。島根サイドとしては、積極性を保ちながらいかにターンオーバーを少なくして攻守の遂行力を高めるか、また金丸をどのように生かせるかといったところが、良い結果を手にするポイントになりそうだ。

 


安藤誓哉(©B.LEAGUE)

金丸晃輔(©B.LEAGUE)


琉球サイドでは、フリッピンが得点力に加えて2試合で14アシストと4スティールとオールラウンドにアクティブだった。インサイドの要となるジャック・クーリーは初戦で17得点に13リバウンド、第2戦が18得点に10リバウンドと連続ダブルダブル。並里 成も初戦13得点、第2戦12得点と2桁得点を続けていた。逆に苦戦したのは3Pショットで、今村と岸本隆一はこの2試合で合計13本のアテンプトで成功が岸本の1本のみという結果。リバウンドとトランジション・ゲームで勝ちパターンをに持ち込み、さらに彼らのオープンルックをより多く生み出せるようなら、琉球は間違いなく優位だろう。しかし、逆に島根がペリメーターのディフェンスを頑張りつつ、ケイやビュフォードらがインサイドでフィジカルに張り合うことができたら面白い。

 

 島根は直近の2試合で、広島ドラゴンフライズ、群馬クレインサンダーズに90点以上を許して連敗を喫した。琉球との対戦を前にディフェンスのゆるみはあってはならない要素。20日の三遠との試合はその視点からも重要な意味を持つ一戦だ。

 

コー・フリッピン(©B.LEAGUE)

 


ジャック・クーリー(©B.LEAGUE)

 


(月刊バスケットボール)



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