月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2022.04.11

トヨタ自動車、富士通がファイナルへ。ENEOS、シャンソン化粧品一歩及ばず

 Wリーグ2021-22シーズン プレーオフ セミファイナル2日目。1日目はトヨタ自動車、富士通がそれぞれ勝利を挙げ、ファイナル進出に大手。敗れたシャンソン化粧品、ENEOSは何としても勝利をして、3戦目に持ち込みたいところだ。

 

 

 第1試合はトヨタ自動車 vs. シャンソン化粧品。「リバウンドの強度を上げなければとフォーカスして臨んだ」とこのシリーズで指揮を執っている鵜澤潤アシスタントコーチが語ったように、序盤は、前日の修正を見せるシャンソンがゾーンディフェンスを織り交ぜながらリバウンドを奪い、そこからファストブレイクを繰り出し、トヨタ自動車と互角に渡り合う。しかし、トヨタ自動車はリバウンド面で優位に立ち、馬瓜ステファニー、シラ ソハナ ファトー ジャらがアグレッシブにインサイドを攻め込み、1Qは19-15と4点リード。その後、両チームともシュートを決めきれない重い展開となるが、ディフェンスの強度を一層強めたトヨタ自動車がジリジリとリードを広げていく。ベンチから出場の長岡萌映子がインサイドで起点となり得点を演出するなど37-25と2桁リードとして後半を迎えた。

 リズムをつかみたいシャンソンは、一時点差を1桁に詰めるが、そのペースでのゲームをトヨタ自動車が許さず、再びインサイドで優位に立って点差を広げていく。

 

 

 そのペースにシャンソン化粧品は付いていくことはできず、83-63とトヨタ自動車が勝利。故障で出場できない梅木千夏を除き、全員出場でファイナル進出を決めた。試合後にルーカス・モンデーロHCは「2年連続でファイナルに出場できたこと」「ファイナルを決める試合で全員出場できたこと」の2点がこの試合で達成できたこととして挙げた。

 シャンソン化粧品のルーキーでエースとして活躍してきた吉田舞衣は「自分の仕事をさせてもらえなかった」と振り返りつつ、来シーズンへのリベンジを誓った。

 

 

 続くENEOS対富士通の第2試合。前日のゲームでは出だしが良かったENEOSだったが、この日は全くシュートが決まらず、富士通にリードを奪われてしまう。「1Qが全て…」とENEOSの佐藤清美HCは語ったが、1Q終わって4-19といきなり大きなビハインドを負うことになった。

 お互いにディフェンスを引き締める2Q、ENEOSはクォーター終盤になって奥山理々嘉が2本の3Pシュート、宮崎早織、そして終了間際にリバウンドを渡嘉敷来夢が押し込み、22-32と10点差まで差を詰めて前半を終えた。

 

 

 後半に入ると渡嘉敷のドライブ、梅沢カディシャ樹奈のハイポストからのシュートが決まり6点差と詰め寄るが、富士通はここで宮澤夕貴、オコエ桃仁花の3Pシュートで再び引き離す。その後は点を入れ合う形で10点差のまま最終クォーターへ。

 4Qは富士通がリズムを作り、54-38と一時は16点差を付け勝負を決めにかかるが、ENEOSはあきらめない。残り5分を切ったところから、渡嘉敷のバスケットカウント、星杏璃のドライブ、宮崎早織のジャンプシュートで残り2分48秒で51-56と5点差まで詰め寄った。しかし、結果的には追い上げはここまで。シュートを決めきれないENEOSに対し、終盤の勝負どころ、「消極的にならずに、自分がもう少しボールを触ろう」と町田瑠唯が自らゴールへと切れ込み、バスケットカウントを決めてケリをつけた。結果は61-53。タフなディフェンスのゲームを制した富士通が6年ぶり5回目となるファイナル進出を果たした。一方のENEOSは16年ぶりにファイナルの舞台から離れることになった。

 

 

BTテーブスHCは「ENEOSはあきらめないチーム。学ぶことが多くあった」と主力が故障で欠ける中でも、最後まで戦い抜いた相手を称えた。

 トヨタ自動車と富士通によるWリーグ ファイナルは4月16日~18日に代々木第一体育館(東京・渋谷区)で開催される。

 

(月刊バスケットボール 写真/石塚康隆)



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