月刊バスケットボール5月号

PHOENIX杯(渦潮)男子は混戦模様を九州学院が制す!

 4月4、5日の2日間、兵庫県淡路島にある南あわじ市文化体育館ほかで『第2回PHOENIX杯(渦潮)高校バスケットボール in 兵庫』の男子が開催された(女子は4月2、3日開催)。

 

 

 今大会は、フェニックス観光株式会社と兵庫県バスケットボール協会が主催する交歓大会。男子は12チームが参加し、そのうち1位トーナメントに進出したのは報徳学園(兵庫)、九州学院(熊本)、新田(愛媛)、小林(宮崎)という顔ぶれに。報徳学園が大会2日目を辞退したこともあり、決勝は九州学院と新田の戦いとなったが、九州学院が86-78で競り勝ち優勝を飾った。

 

 各交歓大会や練習試合などで2週間に及んだ遠征の最終日を、優勝で締めくくった九州学院。ただ、田中洋平コーチは「勝てたことは良かったですが、単純なミスが多くて、内容としては求めているものがまだまだできていません。これを単純に『疲れているから』という甘えで済ませてしまったら、インターハイでも同じことが起きる。このレベルをベースにやっていかなければいけません」と課題を口にする。その一方で、「ようやくお互いに言い合えることになりました。チームのまとまりや絆が徐々に生まれてきた」と良い兆しも見えた様子。ツインタワーの#8大橋翔大(201cm)と#5門川太一(196cm)を筆頭に、昨年から経験を積んできた代が3年生になった今年、これからの活躍にも期待だ。

 

 

 なお、1位トーナメントに入れなかったチームにも、力のある楽しみなチームが多数。例えばはるばる山形県から参戦した羽黒は、キャプテンの#4加藤律輝、2年生エースの#10小川瑛次郎という昨年からの主軸に加え、201cmのスモールフォワード、新2年生の#12バヤルバートル・エンフアマルが躍動。彼はコロナ禍で来日できずに1年間はモンゴルでリモート授業を受けていたが、ようやく3月にチームに合流し、横浜清風(神奈川)戦でもドライブやダブルクラッチなど器用なプレーでベンチを沸かせていた。「1月の県新人以降、コロナ禍でなかなか対人練習すらできずにいたので、今大会が本当に久しぶりの対外試合。1日目は何をやってもうまくいない絶不調でしたが、2日目は慣れてきたと思います」と齋藤仁コーチも大きな収穫を得た様子だ。

 

 

 また、その羽黒に敗れた横浜清風も、新チームは各ポジションに力のある選手がそろい、内外角のバランスが良い。3年生の#3佐藤晃明や#17矢部悠梧が安定感あるプレーを見せ、高校から本格的にバスケットを始めてU16日本代表候補にも選ばれた2年生の#28長谷川比源(194cm)も伸びしろが無限に広がる成長株だ。今大会は小林や羽黒に敗れたが、各々が手応えと課題を見付けたことだろう。

 

 抜きん出たチームがあるというよりは、混戦模様となった男子の部。ある監督が「正直、この時点で結果は求めていません。今できていること、逆に足りないことを選手たち自身が見付けて、練習の取り組みを変えるための良い機会。マンネリ化した同じような意識での練習では、なかなかチームは成長しませんから」と話していたが、まさに各チームがさまざまな戦術や選手起用を試し、先を見据えて現状を把握するための交歓大会となった。持ち帰った学びや収穫を糧に、夏に向けたチーム作りは続いていく。

 

写真・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)

 

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