月刊バスケットボール6月号

PHOENIX杯(渦潮)で躍動した注目選手たち!〜女子編〜

 4月2、3日の2日間、南あわじ市文化体育館ほかで『第2回PHOENIX杯(渦潮)高校バスケットボール in 兵庫』の女子が開催された(男子は4月4、5日開催)。今大会は、フェニックス観光株式会社と兵庫県バスケットボール協会が主催する交歓大会。女子は12チームが参加し、岐阜女が大阪薫英女学院とのハイレベルな一戦を制して優勝を飾った。ここでは今大会で活躍が光った、新チームでも期待の注目選手たちを紹介する!

 

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■絈野 夏海(岐阜女#9/2年/172cm)

 

 

 昨年から経験を積んできた絈野は、新チームで得点源になることが期待される岐阜女の2年生エース。「得意なのは3Pシュートですが、チャンスがあればドライブを狙ってファウルをされても決め切ることを意識しています」と、攻撃バリエーションを増加中で、今大会も多彩なプレーで得点を量産した。理想としているのは、去年エースとしてチームを引っ張った藤澤夢叶(山梨学院大)。同じ長野県出身で「ミニバスの頃から対戦していて、ずっと憧れの存在。あんなふうに点を取れる選手になりたいです」と言う。今後に向けて「チームのモットーであるディフェンスからブレイクをもっと磨いて、日本一になれるように頑張りたいです」と意気込んでいた。

 

 

 

■榎本 麻那(岐阜女#10/2年/177cm)

 

 

 安江満夫コーチが「(これまで小さいガードが多かった)岐阜女らしからぬ、大型ガードに成長してくれれば」と期待するのが2年生の榎本だ。中学生の頃はセンターだったものの、岐阜女に入学して1年時はフォワード、そして今年度からはガードへとコンバート。「まだまだ未熟なので、みんなに助けられています」と榎本は言うが、ボール運びからそのままアタックする力強さは相手にとって非常に厄介だろう。試合中は「激しく当たられても、ファウルをもらうなど強く抜けるように、ガードとしての役割が果たせるように意識しています」と言う。成長著しい榎本がポジションを問わずマルチにプレーできれば、チームにとって大きな武器になるはずだ。

 

 

■熊谷 のどか(大阪薫英女学院#6/3年/158cm)

 

 

 2年連続でキャプテンの#4都野七海とともに、去年からダブルエースとして仲間を引っ張ってきた熊谷。ゲームをコントロールしつつ、強気なドライブや3Pシュートで攻撃をけん引することができ、158cmという小柄な身長ながら存在感は絶大だ。特に今大会は#4都野がケガ明けで本調子でなかったため、この熊谷が2ガードと1ガードを使い分ける形に。「大きく変えているわけではありませんが、ガードが自分1人のときはより自分が動いて早めにボールをもらうとか、つなぐことを心掛けています」と言う。決勝では岐阜女に悔しい敗戦を喫したが、「ディフェンスやリバウンドルーズ、シュートを決め切ることなど、課題が見えました」と収穫を持ち帰った。

 

 

 

■敷地 美羽(高知中央#23/3年/168cm)

 

 

 今大会はケガ人もいる中で限られた人数での戦いとなったが、ボールをテンポよく回して選手一人一人が攻め気を見せていた高知中央。中でも、内外角から積極的にリングに向かっていたのが敷地だ。1年生の頃からベンチ入りし、2年前のウインターカップ3位も経験。昨年は腰のケガで長く離脱していた時期もあったものの、最上級生となった今年はチームの得点源の一人となる。吉岡利博コーチは「点を取れる選手がパスもうまいと相手からすれば厄介ですから、彼女には今そうした状況判断を求めています」と課題を語り、「エースになってもらい、2年生ガードの山崎真央(#33)とともにチームを引っ張ってもらいたいです」と期待を寄せていた。

 

 

■福光 こころ(津幡#5/3年/162cm)

 

 

 昨年はインターハイ不出場、ウインターカップは1点差で1回戦敗退となった津幡。その試合に当時2年生ながらスタメン出場し、コートで悔しさを味わったのが福光と#4脇田ほのかだ。特に福光はその試合フル出場で、代替わりした今年のチームでも絶対的な司令塔として活躍が期待される。今大会は新チームとしてほぼ初の県外遠征となったが、ゲームをコントロールし攻撃の起点となった。「彼女は面白いところにパスを出せるセンスがある。あとはもうちょっと得点力を身に付けてほしいですね。脇田や土屋桜(#7)に攻めが偏ってしまうと相手も守りやすいと思いますし、ガードの福光ももっと攻撃意欲を持ってもらいたい」と東山耕平コーチは評していた。

 

 

 

■野口 綸香(精華女#7/3年/174cm)

 

 

 今大会、予選リーグで岐阜女に敗れたものの、2位トーナメントでは2連勝した精華女。その中で、エースナンバーの“7”を着けて攻撃を引っ張ったのが野口だ。司令塔の#5生地蒼葉とともに昨年から経験を積んだ点取り屋で、大上コーチいわく「ドライブの力強さやステップが踏めるところは彼女の持ち味。さらに3年生になって少し責任感が出てきて、精神的にも成長していると思います」。昨年は夏冬ともにレベルの高い県予選で敗れて全国不出場だったが、大上コーチは「去年本当に悔しい思いをして、特に新3年生は過去2年コロナ禍でいろいろな大会に出られていない。そういった意味でも絶対に全国の舞台に立ちたいという気持ちは強いと思います」と話していた。

 

 

 

■ディクソン・ミッシェル(名古屋経済大高蔵#7/3年/172cm)

 

 

 今大会、大阪薫英女学院や精華女には敗れたが、貴重な経験を積んだ名古屋経済大高蔵。ドライブやゴール下シュートなど、力強いプレーができるディクソン・ミッシェルを柱に、181cmの高さと長い腕を持つ#15ドウォーナ吉田ニコリーがリバウンドなどで存在感を見せ、ガード陣もキックアウトから積極的に3Pシュートを狙った。ミッシェルは4人兄弟で、兄は中部大第一高や日体大でプレーしたJrタリキ(長崎)、姉は同高校出身のモニカ(拓殖大)、弟もバスケをしているというバスケ一家育ち。「彼女は高い身体能力や体の強さを持っている。それを生かせる心や視野の広さを身に付けてくれればエースになれると思います」と福井崇人コーチも先を見据えていた。

 

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写真・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)



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