Wリーグプレーオフ、富士通がセミファイナルへ。シャンソンも下剋上
2021-22シーズンのWリーグのチャンピオンを決めるプレーオフ。4月3日には前日のセミクォーターファイナルを勝ち上がった富士通がレギュラーシーズン4位のトヨタ紡織と、同じくシャンソンがレギュラーシーズン3位のデンソーとそれぞれクォーターファイナルを戦った。
第1試合は富士通対トヨタ紡織戦。BT テーブスHCが「ディフェンスの勝負になる」と語ったとおり、富士通は今シーズンの一試合平均失点が58.7点とリーグ最少。そしてトヨタ紡織も61.8点とリーグ3位の少なさ。勝ち点制の順位ではトヨタ紡織が上回っていたが、今シーズンの直接対決では2戦2勝と富士通が優勢だった。
開始早々トヨタ紡織が5-0と先行するが、富士通は慌てることなく追い付いていく。持ち味のファストブレイクや3Pシュートで加点し1Qで20-14とリードを奪う。お互いゾーンも含めたディフェンスを駆使し、相手のミスを誘うが、2Qはそのディフェンスの隙をついて宮澤夕貴が3Pシュート。またオコエ桃仁花もインサイドで加点するなど、富士通が40-31とリードを広げて前半を終える。
後半に入ると「相手のシュートが落ちてくるときに、ペースをつかもう」(知花武彦HC)と、流れを待っていたトヨタ紡織が波に乗る。前半は鳴りを潜めていた東藤なな子が積極的なプレーでゴールをねじ込み、さらに3Pシュートとチームを牽引。白慶花、加藤優希らも続き、一気に逆転を果たす。
一方の富士通は3Q残り4分30秒に内尾聡菜が3Pシュートを決めるまで得点できず、トヨタ紡織に13-0のランを許してしまった。その後、一度は逆転するも、勢いに乗ったトヨタ紡織にリードを奪い返され、東頭のバスケットカウント、平末明日香のドライブで48-55と差を付けられ最終クォーターを迎えることになった。
4Qに入ると富士通が再び流れ取り返す。オコエの3Pシュートを皮切りに、町田瑠唯がスティールからファストブレイク、そして宮澤の3Pシュートで逆転。さらに宮澤のオフェンスリバウンドから篠崎澪が3Pシュートを決めるなど主導権を握った。試合終盤の勝負どころで集中力を見せた富士通は、ディフェンスでもトヨタ紡織を6得点に抑え、71-61で勝利しセミファイナル進出を決めた。
アップダウンの激しいゲームとなったが、「チャンスをつかむ力が違った」とトヨタ紡織の東藤。「こうした感覚は練習では得られないもの」と、貴重な経験を実感。チームのステップアップにつなげていく決意を新たにしていた。
シャンソンが下剋上。デンソーを退ける
第2試合は3位のデンソーにシャンソン化粧品が挑む対戦。しかし、前日の勝利の勢いをそのままに、シャンソンがペースを握る。1Qで21-17とリードを奪うと、2Qに入っても受け身に回るデンソーに対して、思い切りのいいオフェンスで次々にゴールを重ねていく。一方のデンソーはシュートが単発となり、高さのアドバンテージも生かせないまま気が付けば20点のビハインドを負っていた。前半終了間際に、やっとデンソーらしいタイトなディフェンスから盛り返し28-44で前半を終えた。
デンソーはインサイドをアタックし、アウトサイドからの3Pシュートも決まり始める。また、高橋未来がチームに活気を与え、52-62と10点差まで詰めて最終クォーターへ。何とか点差を詰めていきたいデンソーに対し、シャンソンは思い切りのいいオフェンスを続け、得点を奪われれば奪い返す展開で一歩も引かない。デンソーは結局最後まで自分たちのゲーム展開を作ることができずに71-81で敗退。シャンソンはルーキーコンビの吉田舞衣が16点7リバウンド、佐藤由璃果が18得点6リバウンドの活躍を見せた。
シャンソンの李玉慈HCは「準備してきたことを一丸となってやってくれた」と選手を称えると、キャブテンの小池遥も「40分間集中力が切れずに戦えた」と勝利を振り返った。一方のデンソーにとっては新型コロナウイルス感染者がレギュラーシーズンの終盤に出たことによって、コンディション調整が難しい状況でのプレーオフとなったのは否めないだろう。
4月9日からのセミファイナルでは昨シーズンチャンピオンのトヨタ自動車がシャンソンと、皇后杯チャンピオンのENEOSが富士通と対戦する。
(月刊バスケットボール)