月刊バスケットボール6月号

NBA

2022.03.20

レブロン・ジェームズがキャリア通算得点で歴代単独2位に

 レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)が、キャリア通算得点記録でNBA歴代単独2位の座に到達した。日本時間3月20日(北米時間19日)の対ワシントン・ウィザーズ戦を前に、ジェームズの通算得点は36,909と、それまで歴代2位だったカール・マローンの36,928得点まであと19に迫っていたが、この試合で一気に追い抜いた。

 

 

 ジェームズはスターターとしてこの試合に出場すると、第1Qに6得点を挙げ、さらに第2Qにはクォーター開始からレイカーズの15得点を一人で稼ぐ爆発的な活躍で、ハーフタイムまで5分20秒を残してマローンの記録を2上回る通算36,930得点に到達した。歴代2位に躍り出た得点シーンは、スタンリー・ジョンソンからのパスを受けてのカッティング・レイアップ。ゴール付近に八村 塁がカバーに向かったが、パワフルでスピードに乗ったジェームズに一瞬先にゴールへの突進を許し、ジェームズは悠々とイージーバスケットを奪った。


レイカーズが最終的に悔しい逆転負け(119-127)という結果だったために、試合後はチームメイトや昨オフにレイカーズからウィザーズに移籍したカイル・クーズマ、ケンテイビアス・コールドウェル-ポープらとの挨拶の場面以外では満面の笑みが見られなかった。しかし会見では、偉大なレジェンドの記録をまた一つ打ち破った喜びを次のように話していた。

 

「これだけ長くこのリーグの中にいて、このゲームをプレーした最も偉大な人々、僕がずっと見てきて、研究して、あるいは本で読んだり憧れたりした人々に並べてもらえるなんて…。こんなことがあるたびに、いつも言葉を失ってしまいます」
"Just to be a part of this league for as many years as I've been a part of it and being linked to some of the greatest who've ever played this game, guys I've either watched or studied or read about or aspired to be like... I'm just always lost for words for it."
「僕自身、僕の故郷、家族、友人たちにとって、これまでの旅路の中でこうした瞬間を生きてこられたことは光栄なことです。その人々のためにやってきたことですからね」
"It's an honor for myself, for my hometown, for my family and my friends to be able to live these moments throughout this journey. And that's exactly who I do it for."

 


この試合で38得点を挙げたジェームズの通算得点は36,947。もう上にいるのは38,387得点で歴代1位のカリーム・アブドゥル-ジャバーのみとなった。

 

☆歴代得点ランキングトップ5
1位 38,387 カリーム・アブドゥル-ジャバー
2位 36,947 レブロン・ジェームズ
3位 36,928 カール・マローン
4位 33,643 コービー・ブライアント
5位 32,292 マイケル・ジョーダン


マローンは1985年にユタ・ジャズでNBA デビューを果たし、2004年にレイカーズの一員として引退するまで19シーズンプレーした名フォワード。ジャズ在籍時にコンビを組んだポイントガードのジョン・ストックトンとの秀逸なピック&ロールが、マローンを“メールマン”のニックネームで愛される歴代最強フィニッシャーの一人に押し上げた。マローンはストックトンともに、1992年のバルセロナオリンピックに向けNBA のスターを集めて編成されたアメリカ代表“ドリームチーム”にも名を連ねた。


歴代1位のアブドゥル-ジャバーは、1969年にミルウォーキー・バックスがドラフト1位で獲得した身長218cmのビッグマンだ。ゴールのはるか上からリリースされる“スカイフック”という武器を持ち、デビューからわずか2シーズン目にバックスを初の王座に導くなど、20年のキャリアを通じて圧倒的な存在であり続けた。

 

 決定的な得点パターンを持っていた両者も、秀でた運動能力と高確率のフェイドアウェイ・ジャンパーを軸に多彩なフイニッシュでファンを魅了したブライアントとジョーダンも、記録が示すとおりスコアラーとしての稀有な才能を輝かせたキャリアだった。

 


一方、2003年にクリーブランド・キャバリアーズの“ドライチ”としてデビューしたジェームズは、206cmの長身ながらポイントガードからセンターまで柔軟にこなせる究極のオールラウンダーで、プレーメイカーの資質に突出した得点力が備わったような、上記の4人とはやや異なる特徴がある。このリストには名前がないが、1980年代に大活躍した身長206cmの超大型ポイントガード、アービン“マジック”ジョンソンのプレースタイルをやや得点よりにしたような個性だ。


今シーズンは、この試合を終えた時点で平均29.8得点のアベレージ。アブドゥル-ジャバーの記録までの差は1,440得点で、これは仮に現在のアベレージを継続していけばあと50試合程度、つまり来シーズン中には到達できることになる。驚異的な身体能力だけに頼らず、コーディネーションと判断力を生かすプレースタイルを思えば、この先何年も現役を続けられる可能性があるジェームズだけに、今や歴代最強スコアラーの座に就くのは時間の問題、あとはどこまでその記録を伸ばしていくかが焦点といえそうだ。

 


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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