月刊バスケットボール5月号

国内

2022.03.13

川崎ブレイブサンダースが天皇杯連覇達成 – ファイナルで千葉ジェッツを82-72で破る

 第97回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会は3月12日にさいたまスーパーアリーナでの決勝戦を迎え、川崎ブレイブサンダースと千葉ジェッツが対戦。川崎が千葉Jを82-72で下し、クラブとして初の連覇を達成した。川崎の天皇杯獲得は通算5回目。25得点に5リバウンドと殊勲の活躍を見せたキャプテンの藤井祐眞が大会MVPに、また藤井とニック・ファジーカス、マット・ジャニングの3人が川崎から大会のベストファイブに選出された。

 

大会MVPに輝いた藤井祐眞(写真/©JBA)


千葉Jは3年ぶりの日本一奪還ならず。準決勝の対琉球ゴールデンキングス戦でビッグショットを決め、この日の決勝戦でもチームハイの19得点を挙げたキャプテンの富樫勇樹と、準決勝・決勝を通じて攻守にリバウンドにと堅実な貢献を見せたジョシュ・ダンカンの2人が大会のベストファイブに選ばれたものの、悔し涙を呑む結果となった。

 

富樫勇樹は19得点と奮闘。しかし日本一奪還はならなかった(写真/©JBA)

 


試合の序盤約2分間は富樫の3Pショットで先制した千葉のペースで、原 修太の3Pショット、さらに富樫のドライブからのフィールドゴールでいきなり8-0とリードを奪った。川崎の初得点は試合開始から2分1秒過ぎの藤井の3Pショット。これにファジーカスの3Pショットが続き、さらにパブロ・アギラールの連続ゴール、藤井の5点連取とたたみかけ、川崎は15-0のランで逆に7点のリードを積み上げた。


しかし千葉Jも川崎のランでおとなしくなることはなく、タイムアウトで立て直し今度はクリストファー・スミスの3Pショット、大倉颯太の連続ゴールで応酬。7-2のランで第1Q残り3分8秒の時点で17-17の振出しに戻した。


ところがこの後、川崎に再び爆発的な流れがやってくる。第1Q残り2分10秒にファジーカスが3Pショットを成功させ20-17と先行したところから、第2Q2分4秒過ぎに藤井がこの日12得点目となるフィールドゴールを決めたところまでの15-0のビッグランで、川崎は32-17と優位に。結果的には、この流れが試合を決定づけ、以降第4Q半ばまで点差が2桁を割ることはなかった。


第3Qに千葉Jが良い流れをつかみかけた時間帯があったが、要所でジャニングが得点を重ね、主導権を渡さなかったのも大きい。その後最も点差が近づいたのは第4Q残り1分7秒にギャビン・エドワーズがフリースローを1本成功させ78-70と川崎のリードを8点差にした場面。しかしここでもエドワーズの2本目のフリースローが失敗に終わり、残り24秒にもジョン・ムーニーの得点でもう一度8点差にしたが、それが精一杯。千葉Jがそれ以上詰め寄ることはなかった。


川崎は第2Qに千葉Jをフィールドゴール4本に封じ、19点差で前半終えられたことと、25得点を稼いだ藤井に加えてジャニング(19得点)、ファジーカス(13得点)、アギラール(10得点)らが存分に得点力を発揮したことが最大の勝因。ディフェンスとビッグラインナップという川崎らしさをしっかりと出せた結果が連覇につながった。逆に千葉Jは、川崎の強みを消すことができなかったことに加えて、65.2%(23本中15本成功)にとどまったフリースローの確率の低さも勝機を逃す一因だった。

 

 試合後、川崎の佐藤賢次HCは、「今我々が持っている力を40分間すべて出し尽くそう、ミスを恐れず積極的に一人ひとりがコートで出し尽くしましょうということでスタートしましたが、そのとおりの前半になって、ディフェンスもしっかり足が動いてチームで守れていました」と試合を振り返った。「オフェンスもゲームプランどおりにアグレッシブに攻めていい勢いを作れたと思います」

 

 藤井は千葉Jに粘られた後半の展開について、「我慢の時間帯が続いて、最後は気持ちの勝負だったのかなと思っています」と分析。「僕たちの方が強い気持ちを持って戦うことができて、勝てたと思います」と笑顔で話していた。

 

 一方千葉Jの大野篤史HCは、「ファイナルで負けるのも表彰式を見るのも辛い」と悔しさをにじませ、「このような社会情勢の中でもジェッツを応援してくれるブースターさん、パートナーの皆さんに恩返ししたかった」と思いを語った。しかし決して下を向いているわけではなく、「まだまだこんなもんじゃないというのを体現できるように戦っていきます」と逆に闘志を見せている。富樫も「優勝したかったのはもちろんですが、勝ち負けがあるのがスポーツなので、Bリーグ連覇でお返しできるように後半戦頑張ります」と、この日の敗北をバネに今後の戦いに立ち向かう姿勢を見せていた。

 

川崎はクラブ初の連覇達成だった(写真/©JBA)


■最終順位
優 勝:川崎ブレイブサンダース(2大会連続5回目)
準優勝:千葉ジェッツ
第3位:琉球ゴールデンキングス/宇都宮ブレックス

■共同通信社MVP賞
藤井 祐眞(川崎ブレイブサンダース)※初受賞

■大会ベスト5
藤井 祐眞(川崎ブレイブサンダース 2回目)
ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース 4回目)
マット・ジャニング(川崎ブレイブサンダース 初受賞)
ジョシュ・ダンカン(千葉ジェッツ 初受賞)
富樫 勇樹(千葉ジェッツ 3回目)

 


(月刊バスケットボール)



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