月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.02.26

徐々に調子を上げる渡邊雄太(ラプターズ)を新戦力のS.ヤングが称賛

 NBAはオールスター・ブレイクが明け、日本時間2月25日(北米時間24日)からレギュラーシーズンが再開されている。渡邊雄太が所属するトロント・ラプターズは、26日にアウェイでシャーロット・ホーネッツと対戦し93-125と元気なく敗れたが、その中で渡邊は第4Qの最後の4分51秒間コートに立ち、2022年に入ってからの最多の6得点に1アシストを記録した。

 

 6得点の内訳は、唯一のフィールドゴールアテンプトだった左ウイングからの3Pショットと、4本の機会があったフリースローのうち3本成功というもの。オールスター・ブレイクをはさんでの直近7試合中5試合では出場機会を得られており、その間はフィールドゴール成功率66.6%(6本中4本成功)、3P成功率も同じく66.6%(3本中2本)、フリースロー成功率75.0%(8本中6本成功)と、シューティングのリズムを取り戻しつつある。

 

 

 

 その渡邊について、試合後ズーム会見に登壇したフォワードのサディアス・ヤングに、印象を聞いてみた。ヤングはトレードデッドライン間際にラプターズに加わった新戦力で、昨シーズンのハッスルアワードに輝いた203cmのフォワードだ。2007-08シーズン以来今シーズンは15シーズン目、ラプターズは7チームという33歳のベテランで、プレーのタイプは違うものの、左利きで運動能力が高く、いわゆる“ハイエナジー・ガイ”と呼ばれる頑張り屋である点など、渡邊との共通点も多い。

 

 ヤングは、この試合当日のシューティングアラウンドで、クリス・ブーシェイと渡邊と一緒の3人で練習をしたことに触れ、「彼はこのチームのほかのメンバーたちと同じ姿勢を持っています。一日一日、一所懸命に練習していますよ(He approached the game just like you know all the other guys on the team. You know he comes and works hard each and every day)」と渡邊のバスケットボールに対する姿勢を称賛していた。「いつまでも練習しているんです。ちょうど今朝も、僕とクリスと彼でシューティングをしたんですが、彼は僕とクリスがホテルに引き返した後にもやっていましたからね(He stays at the practice you know. Just this morning you know, me, him and Chris (Boucher) were shooting together and he even stayed after you know me and Chris left and went back to the hotel)」

 

 

 ハードワーカーとして知られているヤングだが、その目にも渡邊はハードワーカーに映るようだ。「彼は頑張り屋ですね。(NBAで生き残るのに)必要なものを持っているし、数字で測れない良いものがあります。機会さえあればそれを見せることができるでしょう。力が湧いてくるようなプレーをしてディフェンスを頑張るし、3Pショットもあり、ドライブから強いフィニッシュに持ち込んでファウルを誘っていますよね。良いものを持っているし間違いなく素晴らしいチームメイトです。とても一緒にプレーしやすい男ですよ(So, he’s a hard worker. He has a lot of tools and intangibles. You know I think he just has to get the right opportunity obviously to be able to go out there and show it. But it spurts. You know he has done a good job like going out there playing defense knocking threes down, driving the basketball and finishing strong at the basket and making guys foul him. So, he definitely has the tools and he’s definitely a great teammate. He’s definitely a great guy to be able to play with)」

 

 ヤングが渡邊と近しくなってきているかどうかも聞いてみたが、「彼はあまり話さないんですよ(He doesn’t speak very much)」と苦笑い。しかし「 みんなが冗談を飛ばしたりしていて、彼はいつも笑顔だし、とても楽しそうにしています。だから僕もできるときには話しますし、そのたび良い会話ができています。先ほども話しましたが彼はいい感じですね(But guys are joking and stuff like that. He’s always smiling. He’s always very very happy. So, when I do have a chance to talk to him, we speak and we have a really good dialogue and he’s been, like I said, he’s been great so far)」というコメントを聞けば、ケミストリーも良好だと感じる。

 

 

 現在32勝26敗の成績で、プレーイントーナメント進出圏内のイースタンカンファレンス7位に位置しているラプターズは、まだレギュラーシーズンに24試合を残している。渡邊の現状はローテーションの主軸とは言えないとしても、ニック・ナースHCはベンチ入りする全員を戦力と見ていることをたびたび話しているので、上り調子を維持していけばシーズン終盤の重要局面で大きな仕事をするチャンスが回ってくることもありそうだ。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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