月刊バスケットボール6月号

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2022.02.26

ユーロリーグ、ロシアのウクライナ侵攻で激震

 ロシアの3クラブを含むヨーロッパ諸国の18クラブが参戦しているユーロリーグに、ロシアのウクライナ侵攻による甚大な影響が出ている。

 

 ユーロリーグはまず、2月24日付けで「バスケットボール声明(Euroleague Basketball statement)」を発信した。その中では、ウクライナで起こっている出来事を注視しながら、各クラブが帰属する国と国際社会における決定事項に従う形で、リーグ所属チームの活動が脅かされたり帰属する国の政府決定で平時の試合開催が不可能にならない限り、予定された日程を継続する考えを示していた。しかし同日のうちに、ロシアのクラブが出場する予定だった翌25日の3試合を開催停止・延期とする決定も発表することとなった。リーグ規定に沿い不測の事態に用心するための措置で、対象となったのは以下の3試合だ。


•FCバイエルンミュンヘン(ドイツ) vs. CSKAモスクワ(ロシア)
•Bitciバスコニア・ビトリア・ガスティス(スペイン) vs. UNICSカザン(ロシア)
•Zenitサンクト・ペテルブルグ(ロシア) vs. FCバルセロナ(スペイン)

 

 

 さらにユーロリーグは、翌25日に18チームによるリモート会議を開き以下の事項を決定、公式サイトで発表した。

 

  1. ロシア国内で開催を予定していたロシアのクラブ同士の対戦(2試合)以外の公式戦を、一時的に他国の開催地に移す方向で日程を調整
  2. ロシアのクラブが出場する他国開催の試合については、予定を変えずに開催
  3. 2月27日に開催予定だったCSKAモスクワとFCバルセロナの対戦は開催停止

 

 上記の発表にはこれらの決定とともに、さらに状況を注視しながらこれらとは異なる選択肢も柔軟に模索することも記されている。その文面から読み取れることは、政治とスポーツを分離した視点に立ち、戦禍からクラブが競技者の競技する権利を守ることができるようリーグとしての体制を保とうという思いと、プレーヤーやコーチ、ファン、関係者にいかなる危険も及ばないようにという願い、そして今回の出来事による先行きの不透明感と言えそうだ。決定と方針は、ユーロカップとその舞台に参戦しているクラブにも適用されるという。

 

 発表内容の最後は、以下のような文章で締めくくられていた。

 

「ユーロリーグ・バスケットボールは所属クラブを代表し、悲しいことにウクライナで起こってしまっている事例のような戦争行為に対し、強く抗議したい。(リーグに所属する)クラブはバスケットボールの力を活用するため、結束を保つ。ユーロリーグ・バスケットボールは、広くリーグに息づき各チームの核心となっている多様性を重んじる。この多様性は敬意という価値観と深く関連するものと理解されており、異なる意見を表現する自由を広める。いかなる暴力も、この価値観とは相いれないし、どのような意見や地位を守る手段としても許されず、受け入れられもしない」

“Euroleague Basketball, on behalf of its clubs, wants to strongly condemn any acts of war as the ones that are sadly happening in Ukraine. The clubs remain united in their purpose of using the power of basketball to unite communities. Euroleague Basketball embraces and celebrates diversity, which is widely present within its communities and at the core of all the teams themselves. Such diversity is understood to be deeply linked to the value of respect, promoting the free expression of different opinions. Violence of any kind is contrary to such values and is neither tolerated nor accepted as a way to defend anyone’s opinion or position.”

 

 

☆次ページ: ユーロリーグ・バスケットボール宣言(Euroleague Basketball statement)



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