月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.02.04

装い新たなコービー・ブライアント トロフィー – NBAオールスターMVPにふさわしい崇高な輝き

 NBAが今年のオールスター・ゲームMVPに贈られるトロフィーの画像を公開した。2年前に不慮の事故で帰らぬ人となったコービー・ブライアントの名を冠した誉れ高いトロフィーは、リーグ創設75周年のシーズンにその輝かしいキャリアを称えるという特別な意味が込められているだけに、NBAの歴史とブライアントの伝説的なキャリアを想起できるような要素がいくつも取り入れられている。

 

 台座はブライアントがキャリア前半の10年間背負った#8にちなむとともに、NBAが現在創立80年に向けて邁進していることを記す8面体。そこには、ブライアントのオールスター選出回数18回にちなみ、18個の星も刻まれた。

 

 台座のすぐ上の1段目には、ブライアントがキャリアの後半10年間に背負った#24と、オールスターゲームに出場する24人のプレーヤーにちなんだ24個の星があしらわれている。2段目の星の数は10個だが、これはブライアントがアメリカ代表として背負った#10と、バスケットボールにおける10人のスターターを示すものだ。

 

 3段目に刻まれた5つの星は、チームの結束とブライアントが勝ち取った5つのチャンピオンシップの象徴。そして最上段の4段目は、ブライアントのスーパースターとしての存在意義を、2007-08シーズンのレギュラーシーズンMVPを象徴したエピソードに関連付けながら称える趣向だという。

 

 

 この崇高なデザインは、「リテラリー・ボーリン(Literally Balling)」と題したバスケットボールをテーマとするアートの数々で知られる、ビクター・ソロモンとのコラボレーションにより生み出されたものだ。ソロモンは、日本の伝統的な修繕技法である金継ぎを応用して、ロサンゼルスにある状態の悪くなったバスケットボール・コートを驚くほど美しい公共アートに変えてしまうなど、大胆かつ斬新なアートワークで知られている。このトロフィーを通じて、ソロモンの創作力がブライアントのキャリアとNBAの歴史にあらたな角度から光を当てることとなる。

 

 今回のNBAオールスターウイークエンドでは、このコービー・ブライアント・トロフィーのほかにもサタデーイベントやライジングスターズ・チャレンジでの表彰に、ソロモンとのコラボレーションで生まれたトロフィーが贈られることになっている。

 

 

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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