月刊バスケットボール5月号

オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.basketball

オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ/東京都/明星学園高校)
PF 182cm/85kg1999/02/07(22歳)
Wリーグ2021-22: 15.5P, FG46.0%, 3P38.6%, FT74.4%, 6.4R, 1.4A, 0.8S, 1.2B
東京2020オリンピック: 4.2P, FG33.3%, 3P31.2%, FT100.0%, 2.5R, 0.0A, 0.2S, 0.3B
FIBA女子アジアカップ2021: 13.8P, FG41.5%, 3P30.6%, FT66.7%, 2.8R, 1.2A, 0.6S, 0.2B

 

 明るく朗らかな笑顔で、素直な言葉を使って思いや気持ちを表現してくれるオコエ桃仁花は、コート上でも自分の考えを素直に表現しているように思えるプレーヤーだ。同時にその気持ちの強さがチームの力になっている。


FIBA女子アジアカップ2021での平均13.8得点はチームハイのアベレージで、大会全体の6位に入る成績だった。その得点力を支えたのは、外しても気持ちを落とさず打ち続けたことであり、その姿勢は自分を信じ続ける力の強さを感じさせるものだった。この大会では3Pアテンプトが7.2本で、これは3Pシューターである林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)の6.2本を上回る数字。特に中国代表との決勝では、14本のアテンプトがあった。その中で成功したのは3本のみ。しかし心をブレさせることなく積極的にゴールを狙い続けたアグレッシブさが好結果を生んだことは明らかだ。


その3Pアテンプトのうち1本は、49-54と5点を追う第3Q終盤に2点差に追い上げる重要な局面で沈めている。また、2Pショット12本中6本と高い成功率で、終盤のビッグプレーは大会5連覇達成に欠かせないビッグモーメントだった。72-73と1点ビハインドの第4Q残り42秒に、宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)とのハイピックから逆転のレイアップで、勝負を決めた6-0のランの口火を切ったのもオコエだった。さらに続く相手のオフェンスでは、ドライブしてくる相手のフォワード、ヤン・リウェイの前に立ちはだかりブロックショットも記録している。


心の強さを印象づけたオコエは最終的に得点を21まで伸ばし、78-73の勝利に大きく貢献。大会を総括する会見では「入らなくても打ち続けたことが自分のベストプレー」と自身のプレーを振り返っていた。

 

アジアカップ前の合宿以上に年長のプレーヤーが加わった今回も、オコエの積極性はさらに高まっている様子だ(写真/©JBA)

 

 

 東京2020オリンピックという究極の大舞台を経験し、恩塚 亨HCの下でアジア5連覇を成し遂げた後の今回の代表合宿では、「合流が遅くなりましたけど、恩塚さんのバスケットを以前やっていたおかげでチームにスムーズに合流することができました」と良い感触でチームに加われている様子だ。「ベテランの方と若手の融合がうまくいっているんじゃないかと思うし、チームの雰囲気がすごく良いので継続していきたいと思います」


プレーの面では相手が嫌がるプレーヤーを目指しているとのことで、「ピック&ポップからの3Pショットはもちろん狙うんですけど、そこにドライブのスキルや強さを加えることで、ドライブも3Pショットもコワい選手になれると思う」と話している。課題としてはそのドライブでの判断力を挙げていた。「判断力をもっと速くしたり、自分のマークマンは見れるんですけど、3線のディフェンスが来ているか来ていないかというのを速く判断できるようにもっと磨いていきたいと思います」

 

 オコエは今回のメンバーの中で、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)、馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)、吉田舞衣らと同級生で若手に入る年代だ。しかしミーティングでの発言や練習への取り組みでの積極性を高める意識も持っている。 「オリンピックで銀メダルを獲れたんですけど、同じことをしていても相手はもっと上を目指して練習していると思うので、同じバスケットじゃなくて質の高い練習をできるようにやっていくことが大事」。銀メダル獲得の先を語るオコエには、代表をけん引していけるリーダーの一人としての存在感も感じられた。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com

(月刊バスケットボール)



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