月刊バスケットボール5月号

NBA

2022.02.03

八村 塁堅調11得点、ウィザーズの連敗も6で止まる

 日本時間2月3日(北米時間2日)にフィラデルフィアのウェルズファーゴ・センターで行われたフィラデルフィア・セブンティシクサーズ対ワシントン・ウィザーズ戦に八村 塁が出場し、11得点、2リバウンド、1アシストを挙げる活躍でウィザーズの106-103の勝利に貢献した。中心的存在のブラッドリー・ビールに加えトーマス・ブライアントも欠場という苦しい状況でのアウェイゲームだったが、今シーズン最長の連敗を6で止めることができた。

 


この試合が今シーズン12試合目の出場となる八村は、ベンチから第1Q残り4分18秒に登場し試合終了までに19分5秒間プレー。シューティングタッチが良く、3Pショットは1本のみのアテンプトを成功させ、2Pショットも5本中3本を沈めた。フリースローも2本のアテンプトをいずれも成功させている。


八村の最初の得点シーンは第1Q残り3分36秒のドライビングフックショット。第2Qには開始直後から積極的に攻め、開始40秒過ぎに左コーナーから、その時点で32-30と逆転する3Pショットを成功させた。


このクォーター残り6分52秒に見せた、ペイントアタックからの3本目のフィールドゴーは、スマートさと強烈な身体能力を感じさせるものだった。右サイドのミドルポストやや外側でボールを受けた八村は、ダニー・グリーンとのミスマッチを突いて鋭いフェイクからドリブルドライブで押し込んでいった。フィジカルなコンタクトを受けながらのドライブだったが、八村はグリーンを完全にオフバランスにして抜き去り、悠々とレイアップを沈めてみせた。

 


76-77で1点を追う第3Q残り39秒には、鋭いカットでボールを受け豪快なダンクに持ち込むシーンもあった。このプレーはファウルを受けフィールドゴールにはならなかったが、フリースロー2本を確実に決め、78-77とウィザーズにリードをもたらしている。第4Qは、開始1分半過ぎにこのクォーターにおけるウィザーズの最初の得点を記録した。ディフェンス・リバウンドをつかんだ八村は、コーストトゥコーストでドライビング・レイアップに持ち込み、この日の最後の11得点。このプレーでは、相手のディフェンダー2人をかわすハンドリングの良さとスピードも光った。


その後も残り9分15秒あたりのオフェンスで、ゴンザガ大の後輩にあたるルーキーのコーリー・キスパートと、フロントラインの相棒であるモントレズ・ハレルとのスクリーンプレーからキスパートの3Pショットをアシストするなど、堅実なプレーを続け、クォーター半ばにベンチに下がった。


八村のこうした活躍に加え、ウィザーズは何人ものプレーヤーがヒーローと呼べる活躍を見せた。ポイントガードのスペンサー・ディンウィディーは14得点、12リバウンド、10アシストでキャリア初のトリプルダブル。ハレルは14得点を挙げたが、そのうち10得点を勝負どころの第4Qに稼いだ。しかも、今シーズンのMVP候補と言われている相手のビッグマン、ジョエル・エンビードが待つゴール下にチャレンジして決めたレイアップが、その中に2本含まれている。


ビール不在の現状で最大の得点源であるカイル・クーズマは、第3Q終了間際に左ウイングの深い位置からディープスリーを沈めるなど、“クラッチ・クーズ”のニックネームに恥じない大活躍で24得点、7リバウンド、3アシストを記録。ディフェンスでも、102-100の2点リードで迎えた第4Q残り10秒過ぎに、同点を狙うエンビードのドライビング・レイアップをブロックするなど、攻守で特筆に値する貢献ぶりだった。


クーズマのブロック後の残り6秒の間も緊迫した状況が続いたが、キスパートがクラッチフリースローを2本成功させ104-100つ突き放す。シクサーズはグリーンの3Pショットで1点差に追いすがったが、残り0.8秒にディンウィディーが決定的なフリースロー2本を沈め、106-103で勝負を決めた。


ウィザーズはこの勝利で、2016年以来続いていたフィラデルフィアでの連敗も9で止めている。今シーズンの通算成績は24勝27敗となり、現時点の順位は前日よりも一つ上げてイースタンカンファレンスの11位。プレーイントーナメント進出圏の10位に位置するアトランタ・ホークス(24勝26敗)にも0.5ゲーム差に迫った。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

 



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