月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.02.03

河村勇輝と小川麻斗、国内最高峰の舞台で実現した初のマッチアップ

 

 かつての仲間と上のレベルで戦えることは、選手にとって大きな幸福の一つに違いない。

 

 横浜ビー・コルセアーズとサンロッカーズ渋谷が相まみえた2月2日の第20節でも、かつてのチームメイトがマッチアップを果たした。

 

 河村勇輝と小川麻斗ーー。

 

 2018、19年とウインターカップを連覇した福岡第一高を支えた高速ガードコンビだ。卒業後は河村が東海大、小川が日体大へ進み、1年時から大活躍を見せている。

 

 大学では何度も対戦している両者だが、Bリーグでの対戦はこの試合が初めて。その瞬間は2Q開始早々に訪れた。そのクォーターでスタートから小川が出場すると、すでに出場していた河村とのマッチアップが実現。最初のポゼッションから激しいディフェンスの応酬が繰り広げられ、高校時代も2人でこうして練習していたのではないか、と想像させられるようなバチバチのマッチアップが展開された。

 

 

 河村は小川との対戦について「大学でもマッチアップしていますし、彼がプロレベルにあるのは分かっていたので、いずれマッチアップするだろうなとは思っていました。だから、そんなに驚きはなかったです」としつつ、「でも、高校のときに一緒にやっていたチームメイトなので、こういう上の舞台でマッチアップできるのはすごくうれしいことです」と、かつての相棒とのマッチアップを振り返った。

 

 

 対する小川も「Bリーグの舞台でマッチアップできたのは本当にうれしいですし、そういう姿を井手口(孝)先生や高校の同期、日本中のBリーグファンの方にも見せられたと思います」と笑顔を見せた。

 

 SR渋谷の伊佐勉HCも彼らのマッチアップを望んでいた1人。「河村くんと一緒にプレーさせたらBリーグも盛り上がるんじゃないかな、井手口先生も喜ぶんじゃないかなと思っていました。(小川は)堂々と10分もプレーしてミスもなく、収穫のある試合だったし、彼にとってもすごくいい経験だったと思います」と小川の起用を試合前から決めており、練習でもそうしたコミュニケーションを小川と取っていたと言う。

 

 肝心の試合は、後半に十八番のディフェンスから流れを奪ったSR渋谷が99-84で勝利。河村と小川が同時に出場したのは6分19秒間で、両者のスタッツは河村が13得点、5リバウンド、小川が出場して早々に決めた挨拶代わりの3Pを含む5得点だった。

 

 

 この試合では河村と小川の他にも、彼らと同じく福岡第一高出身の渡辺竜之佑、福岡大附大濠高出身の井上宗一郎、福岡県で生まれ育ったベンドラメ礼生と、福岡ゆかりの選手が多く出場していた。

 

 他のクラブを見ても福岡にゆかりのある選手は多く、“バスケどころ”たる所以をトップリーグでも見せつけている。「福岡出身や福岡の高校を出て活躍している選手も多いので、その選手たちに負けないようにしながら、福岡県を盛り上げていければと思います」と小川は言う。

 

 彼らが県を盛り上げ、その姿を見た子どもたちがその背中を追う。かつてベンドラメが「並里成さん(琉球/福岡第一高出身)がとにかく格好良くて。プレースタイルはもちろん、シューズの紐をしばって首からぶら下げたり、並里さんの仕草なんかもまねしていた」と話していたように、そうやって脈々と受け継がれてきたのが福岡県のバスケット。彼らもまた、それ継承している選手たちなのだ。

取材・文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

 

河村勇輝 vs. 小川麻斗

 



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