月刊バスケットボール5月号

近藤 楓(デンソーアイリス) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.basketball

近藤 楓(デンソーアイリス/愛媛県/大阪人間科学大学)
SG/SF 173cm/62kg 1991/10/06(30歳)
☆キースタッツ
Wリーグ2021-22: 7.0P, FG36.7%, 3P34.8 %, FT75.0%, 1.8R,1.6A, 0.6S, 0.2B
リオオリンピック: 5.2P, FG38.7%, 3P43.8%, FT-, 0.5R, 0.8A, 0.2S, 0.0B

 


近藤 楓は、デンソーでのチームメイトである髙田真希、ENEOSサンフラワーズで大黒柱として活躍している渡嘉敷来夢らとともに、リオオリンピックでチームをベスト8に導いたメンバーの一人だ。2018年以降、右ヒザの故障と手術、第18回アジア競技大会に向けた日本代表候補入りと離脱、移籍(トヨタ自動車アンテロープス→デンソー)というキャリアの転機を経て、今回の代表候補復帰に至っている。


昨年の東京2020オリンピックとFIBA女子アジアカップ2021でプレーしていない“お姉さん”と呼ばれているベテランの一人で、代表候補入りは上記の2018年以来。久しぶりの代表合宿について「毎日本当に充実しています」と清々しい笑顔で話した。


大きな武器とする3Pショットは、Wリーグの成功率34.8%がリーグ18位。最上級の形容をすべき順位とまでは言いづらい。しかしリオオリンピックを振り返れば、6試合での43.8%という成功率は藤髙三佳(旧姓栗原)に次ぐチーム2位で、大会全体でも11位に入る高確率だった。キャリアを通じてビッグゲームに強く、プレーオフの時期になるとレギュラーシーズンよりも研ぎ澄まされたシューティングを披露してきたのが近藤であり、“ビッグタイム・シューター”のオーラを持っている。


一方で、デンソーに移籍してからは特に、ロングレンジだけではなくさまざまな形でオフェンスに絡むことができるようにプレーの幅を広げてきた。ベテランと呼ばれる立場になってもまだまだ成長中。合宿中も「新しいスキルを学んだり、普段は敵チームの選手たちとコミュニケーションを取りながらバスケットをやることがすごく純粋に楽しくて、若い選手からもすごくいい刺激を受けています」と意欲的に取り組めている様子だ。自分の伸びしろも実感しているという。

 

近藤は同級生の渡嘉敷来夢とともに、学年的には髙田真希に次ぐ上から2番目だが、若手に負けない成長意欲を見せている(写真/©JBA)

 


今回の代表候補入りには、「正直、(2018年に)代表を離れてからはリーグ戦の結果もあまりよくなかったので、あまり代表への意識がありませんでした。候補に選んでもらい驚いています。久しぶりに呼んでもらえてうれしいです」と話した。しかしプレーの幅を広げていることと、その結果としてデンソーがチームとしても好調なこと(現在15勝1敗で4位)、過去の実績が示す勝負強さなど、アピールできる魅力の多いプレーヤーだ。


「3Pショットは持ち味としてチームからも期待されているので、しっかり高確率で決めたいです。でも今は、ドライブアタックもチームで積極的にやっているので、チャンスがあればどんどんアタックして、ステップバック・ジャンパーなど得意なプレーに持ち込めたらいいなと思います」と自らのプレーのイメージを語る。また、ハイレベルなシューターぞろいの候補の中で、ディフェンス面でもハードにプレーして差をつけたいとも話した。


近藤の代表キャリアでの時計が再び動き出したことにより、チーム内の、特にバックコートの後輩たちのレベルアップも期待できるのではないだろうか。近藤が後輩たちから受けるのと同じだけ、その後輩たちの方も刺激を受けているはずだ。もちろん最終選考がどうなるかはわからないが、今回のFIBAワールドカップ2022予選とそこに至る活動過程を、いっそう良質な意義のあるものにしてくれる存在なのは間違いない。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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