月刊バスケットボール5月号

中田珠未(ENEOSサンフラワーズ) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©JBA

中田珠未(ENEOSサンフラワーズ/埼玉県/早稲田大学)
PF 183/72 1997/12/21(24歳)
☆キースタッツ
Wリーグ2021-22: 3.6P, FG51.7%, 3P0.0%, FT35.7%, 2.7R,0.2A, 0.3S, 0.7B
FIBA女子アジアカップ2021: 3.6P, FG43.8%, 3P-, FT100.0%, 3.2R, 0.4A,1.2S, 0.2B

 

 東京2020オリンピックでキャプテンを務めた髙田真希(デンソーアイリス)とENEOSのチームメイトである渡嘉敷来夢という2人のベテラン、さらには谷村里佳(日立ハイテククーガーズ)が代表候補として戻ってきたことで、今回の女子日本代表のフロントラインの競争は、昨秋のFIBAアジアカップ2021に向けた合宿時よりも層の厚みがある。逆に言えば非常に厳しい競争が避けられない。中田珠未はその競争の真っただ中にいるプレーヤーだ。


1月27日のメディア向けズーム会見で中田が語った言葉には、そうした状況における危機感のようなものが感じられた。「アジアカップのときは若い選手が多かったんですけど、今回はお姉さんたちやベテランの選手がたくさんいる中で始めています。自分たちが前回やってきたことを少しわかっているところがあるんですけど、一から始めているベテランの選手たちがそれを自分の中にインプットして表現するレベルがすごく高くて、アジアカップのときよりも全体的に成長するのも早いです」

 


中田は日本代表としてFIBAアジアカップで2度優勝経験があるが、世界の舞台に関してはU17カテゴリーで2014年にワールドカップがあるのみで、A代表ではまだない。今回に向けた意欲は高いに違いない。「チーム内での競争もすごく激しいので、前回より充実して練習に取り組めているかなと思います」という言葉は、自らの奮起を促しているようにも聞こえた。


今回はアジアカップ時に比べてサイズのあるプレーヤーがそろっており、日本代表の高さが利点となる場面も出てくるかもしれない。その認識から、中田は自身のアドバンテージにできることとして、足を使って前からプレッシャーをかけて守ることを挙げた。対戦相手に長身でボールを運べるプレーヤーがいる状況で、相手が嫌がることを泥臭くやるということだ。「リバウンドはこれまでもやってきたように継続」ということも話している。


今シーズンのスタッツや過去の実績から見て、例えば中田がフロントラインにおけるファーストオプションとして得点を獲りまくるようなタイプの存在になるとはイメージしづらい。しかし、中田の認識は非常に的を射ており、デイフェンスやリバウンド、あるいはルーズボールなどいわゆる泥臭い仕事に言葉どおり注力できれば、チームに活力をもたらす存在になれるだろう。


スターター5人が40分間プレーし続けるわけではないのであり、必ず誰かが誰かの控えとしてベンチから貢献をもたらすことになる。「良くも悪くもタイムシェアがあるので、短い時間で持ち味を出し切れるようにスキルアップできたらと思います」と中田は話した。その短い時間に展開される一つのポゼッションが勝負を分けることもあるはずだ。

 

アジアカップでは長身プレーヤー相手に奮闘していた中田珠未(写真/©fiba.basketball)

 

 もちろんオフェンスも頑張り得点を獲りにいく。アジアカップ以来、フィニッシュバリエーションのスキルアップに取り組んできたとのことで、それが世界の舞台ではどう通用するのかも楽しみの一つ。そんな意欲で個人ワークアウトに取り組んでいることも明かしていた。「恩塚さんのバスケは理解して表現できればすごく楽しいので、そこで持ち味を出したいです」。中田の危機感と前向きな姿勢が日本代表を救う場面は十分想像できる。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

 

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