月刊バスケットボール5月号

宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.basketball

宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ/埼玉県/聖カタリナ女子高校)
PG 167/57 1995/08/27(26歳)
☆キースタッツ
Wリーグ2021-22: 9.3P, FG49.6%, 3P31.7%, FT70.8%, 3.0R, 7.4A, 1.5S, 0.1B
東京2020オリンピック: 3.8P, FG29.2%, 3P22.2%, FT100.0%, 0.4R, 2.4A, 0.4S, 0.0B
FIBA女子アジアカップ2021: 11.6P, FG46.8%, 3P44.4%, FT100.0%, 4.0R, 9.6A, 1.2S, 0.2B


宮崎早織は東京2020オリンピックとFIBAアジアカップ2021という昨年内のビッグイベントを両方経験した5人の候補メンバーの一人だ。アジアの舞台には、オリンピックでの銀メダル獲得に至る経過で思うようなプレー機会を得られなかった悔しさを胸に臨み、大会5連覇を成し遂げたチームの中心となり、きっちりと借りを返した。


スタッツがすべてを物語るとまでは言わずとも、上記の東京2020オリンピックとFIBA女子アジアカップ2021における宮崎の数値を見れば、宮崎の思いそのものが現れていると感じる人が多いのではないだろうか。恩塚 亨HC体制で初の大会で、若手中心のチームにおけるメインのプレーメイカー。オリンピックで銀メダル獲得という快挙を成し遂げた後だけに、周囲の期待が無限大に大きい非常に難しい大会だった。

 

 しかも、決勝で戦った中国代表をはじめ、対戦相手がまったくの格下ということは決してなかった。その中で宮崎は得点が3倍、フィールドゴール成功率は15ポイント上昇、3P成功率は2倍の確率で決め、リバウンドは10倍、アシストは4倍という大幅な数値の向上を見せた。これは特筆すべき飛躍だ。

 

 FIBA女子ワールドカップ2022予選に向けた強化合宿中の1月25日に行われたズーム会見で、「アジアカップ以来の合宿で、恩塚さんのバスケットにやっと慣れてきたかなと思うんですけど、今回はまたアジアのメンバーとは違う新しい選手たちも何人かいるので、その人たちと良いコミュニケーションをとりながら、合宿を頑張っています」と話した宮崎は明るい笑顔だった。

 

「頑張って大活躍したい!」と意欲的な宮崎は合宿でも元気いっぱいだ(写真/©JBA)

 


アジアカップのオーストラリア代表との試合では、長身プレーヤーを相手にミスマッチを攻め切ることができなかったと反省点も挙げている。おおきにアリーナ舞洲での予選でもたびたび起こりうるその状況に直面した際、正しい判断できるように練習中だという。


その点については、宮崎からは“お姉さん”世代となる髙田真希(デンソーアイリス)やENEOSのチームメイトでもある渡嘉敷来夢ら、サイズのあるベテランとのコンビネーションで、「ミスマッチのシチュエーションをガードだけでなく中でも攻められる」という感触も明かしていた。自らのレベルアップに加えチームとしてのアップグレードも期待できる今回の予選では、宮崎の持ち味であるスピードがいっそう生きてきそうだ。


歯切れよく元気な受け答えは自信にを感じさせた。「絶対3勝したい」、「自分がメインとして試合に出たい」、「頑張って大活躍したい!」。プレーメイカーのこんな積極性は、間違いなくチームにとってプラスになるはずだ。


かつてのチームメイトで1つ年上の藤岡麻菜美(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)の代表候補復帰もあり、ガード陣の選考上の競争は今回も非常に激しい。しかし「ネオさん(藤岡のコートネーム)がまたバスケをしてくれると聞いてすごくうれしかったです。一緒に切磋琢磨しながら頑張っていきたいと思っています」と宮崎はやはり明るい笑顔で答えていた。「ライバルが増えましたが、ポジティブにいろんな選手の良いところを見て学んで自分がそれを習得できたらいいなと思います」


こうしたコメントもやはり自信があればこそ。それは恩塚ジャパンのチームメイトにも伝わり、お互いを高め合う良い刺激になるに違いない。

 

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文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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