月刊バスケットボール6月号

髙田真希(デンソーアイリス) - FIBA女子ワールドカップ2022予選日本代表候補名鑑

写真/©fiba.basketball

髙田真希(デンソーアイリス/愛知県/桜花学園高校)

PF 185cm/74kg 1989/08/23(32歳)

☆キースタッツ

Wリーグ2021-22: 20.3P, FG63.3%, 3P44.1%, FT79.2%, 9.2R, 2.6A, 1.6S, 0.6B

東京2020オリンピック: 14.0P, FG60.0%, 3P53.8%, FT84.6%, 3.5R, 1.3A, 0.8S, 0.0B

 

 東京2020オリンピックにおける銀メダルランではキャプテンを務めた髙田真希。FIBA女子ワールドカップ2022出場を目指す今回の日本代表合宿では、副キャプテンとしてチームを支えることになった。

 

 昨秋FIBA女子アジアカップ2021を制した代表メンバーから見れば一番の“お姉さん”だが、恩塚 亨HCが率いる代表のシステムを若手から学ぶ立場でもある。髙田一人の話ではないが、これは決して簡単な役割ではないだろう。しかし恩塚HCや合宿参加メンバーから聞こえてくるのは、「お姉さんたちの方から質問してくれている」「アドバイスをもらえている」といったプラス材料ばかりだ。

 

 髙田自身も「シーズン中ですけど、みんな集まってよい雰囲気の中で合宿できていると思います」と好感触を持っている。「恩塚HCになってから初めて招集されるんですけど、その中でもやるべきことも少しずつ明確になってきました。今は体を実際に動かしながら染みこませていっている状況で、少しずつステップアップできていると感じます」

 

 今回の代表の一つの大きなテーマは、東京2020オリンピアンとFIBAアジアカップ組の融合と恩塚HCは表現した。実際には、両大会に出場しなかったメンバーも含まれており、結果として過去10年以上の歴史の集大成ともいえるチーム作りだ。世代により異なるスタイルとコンセプト、経験を融合することで、「パリオリンピックで金メダル」という究極的な目標に向かって突き進む。

 

強化合宿で渡嘉敷来夢との桜花学園先輩後輩マッチアップ。「良い雰囲気で合宿できている」と髙田は話した(写真/©JBA)

 

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 髙田は今から10年前、ロンドンオリンピックへの出場権をかけた同大会最終予選の代表にも名を連ねていた。ロンドン行きをかけたカナダ代表との最終戦に敗れ、切符を逃した悔しさを知っている。当時の髙田からは“お姉さん”だった大神雄子や矢野良子、またそれまでの長い歴史をつないできたプレーヤーやスタッフたちの思いもつなぐことになるだろう。見る側としても、幅広い世代の人々が楽しめる要素を提供してくれる存在だ。

 

 長い歴史の中で積み上げてきた努力が実り、世界に誇れる実績を手にした今、さらなる躍進を目指す日本代表を、髙田はぜひ多くの人々に見てほしいと話す。今の女子日本代表は、7,056人を収容可能なおおきにアリーナ舞洲を満員にできるコンテンツだ。いかんともしがたいコロナ禍の困難の中で、「この状況で絶対に来てくださいというのはなかなか言いづらいので、ネット配信だとかいろんな形で見ていただきたいなと思います」とはいうものの、大観衆と一戦一戦にかける思いを分かち合えればそれが一番だろう。「やはりお客さんがいた方がモティベーションも上がります。なおかつ日本で行われるというのはなかなかないので、自分たちもモティベーションが上がるのは間違いないです」

 

 会場ならではの雰囲気を、十分な安全対策の下で、来ることができる人々にはできる限り味わってもらいたい。日本代表はもちろんのこと、世界の強豪3ヵ国の有力プレーヤーたちを間近に見て勉強してほしい。そんな思いをひとしきり語った高田の、「本当にたくさんの方々に見ていただきたいなとすごく感じます」という言葉は、その思いが自分たちだけではなく、すでに次のその次の世代にまで向けられているような、意欲と温かみの混ざったような印象だった。

 

 今から10年後、2032年の女子バスケットボール界はどうなっているだろう。今の代表候補たちの情熱は、その在り方に間違いなく影響を及ぼす。「自分たちが結果を出して、良い雰囲気の中で良いバスケットをすることによって、これからも応援されていくと思いますし、今回のようなゲームをまた見たいな、また行きたいなと思ってもらえるようになるでしょう。ネットでしか見られない人たちにも、次は見に行ってみたいなと思ってもらえるようなゲームをすることは自分たちの使命の一つ。ゲームに集中して臨みたいと思います」。髙田はこう締めくくり、会見の場を後にした。

 

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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