月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.01.28

森川正明、二人三脚で歩んだ恩師・大久保愛樹コーチとの出会い【My life navigator #4】

©︎B.LEAGUE

 

BS11で放送中のBリーグ情報番組『マイナビBe a booster!』と『月刊バスケットボール』のコラボ企画「My life navigator supported by マイナビ」がスタート!

 

 Bリーグで活躍する選手を対象に、その選手のキャリアにおけるターニングポイントを紹介する企画で、その中でカギを握るのは彼らに道を示した“ナビゲーター”の存在だ。第4回は横浜ビー・コルセアーズの森川正明と、森川が愛知学泉大在学時と三河時代に共に戦った大久保愛樹アシスタントコーチのストーリーをお届け。

 

 ここではその一部を紹介する!

 

■高校で国体に選出されるも、大学バスケは考えていなかった

 

 小学4年生の頃にバスケットを始めた森川。彼の所属したミニバスチームは強豪で6年生の頃には全国大会にも出場するほどだった。しかし、当の森川はというと「ニバスって10人の選手が出場しなければならないルールがあって、それで6分間くらいは試合に出ましたが、主力ではなかった」という。

 

 ミニバスのメンバーがそのまま中学に上がったことで、中学時代も出番は少なかったが、高校進学が転機となった。「周りのメンバーはバスケットの能力が高いだけでなく頭も良かったので、進学校に行ったんです。それで空いた枠に僕が入った」と、福井県の強豪・福井商に進学。

 

 

 県内に北陸高という壁があったため、全国大会に出ることはできなかったが、高校3年時には少年国体のメンバーに選ばれた。そして、愛知学泉大へと進むわけだが、森川の双子の弟も大学進学を希望しており、両親への経済的な負担をかけまいと、森川は就職を考えていたそうだ。

 

 ただ、愛知学泉大からのオファーは授業料免除の特待生。ならばと、大学バスケを選んだのだ。

 

写真は現在の大久保AC/©︎B.LEAGUE

 

■大久保愛樹アシスタントコーチとの出会い

 

 森川が大学生になったとき、愛知学泉大でバスケ部のマネージャーを務めていたのが、大久保アシスタントコーチだった。「森川との出会いは大学の体験入部のときでした。当時、僕は部のマネジャーを務めていたので、連絡先を聞くなどの対応をしていたんです。最初はひょろっとしたイメージでしたが、サイズがあったのでこのまま頑張っていけば良い選手になるかなと感じていました」と大久保AC。

 

 それ以来、練習も食事もプライベートでも「ずっと一緒にいたんじゃないかというくらい、家族よりも長い時間を過ごしていた」(森川)そうで、森川自身も少しずつ選手として成長していった。そして、彼が3年時のインカレで関東一部の大学を破る快挙を成し遂げたのだ。「その試合では森川も活躍していたので、『化けたな、とんでもないプレーヤーになってきた』と感じたのを覚えています」と大久保ACは振り返る。

 

 卒業後、森川はNBDLの豊田合成スコーピオンズへ。2015-16シーズンにはNBDLのシーズンベスト5にも選ばれた。

 

愛知学泉大時代

 

■三河で大久保アシスタントコーチとタッグ再結成

 

 Bリーグ開幕を前に「どうしてもトップチームでプレーしたい」と考えていた森川は、主力としての地位を確立していた豊田合成を離れる決断を下す。当時24歳。自由交渉リストに掲示された時点では具体的なオファーはなかったというのだから、かなりリスキーな選択だ。

 

 そんな森川に声をかけたのは名門のシーホース三河だった。三河には大学時代を共に歩んだ大久保ACも所属しており、「僕としては願ってもない強豪クラブからのオファーでしたし、愛樹さんもいたので、すぐに『やらせてください』と返事をしました」と、飛びついた。

 

 当時の三河には森川と近いポジションに金丸晃輔や比江島慎ら日本代表クラスを複数擁しており、必然、彼の出場機会は少なかった。しかし、「森川はチーム内で与えられる役割の重要さをよく分かっている選手だったので、たとえプレータイムが2分であろうと、その日がドリンクに水を入れる役割だろうと、それを遂行できる選手です」と大久保ACが言うように、チームのために今できることをこなしていった。

 

 当時の森川の課題は、ミスをしないようにと無意識に消極的なプレーが増えてしまっていたことだった。出番が少ない中で、慎重になっていたのだろうが、それを見抜いていた大久保ACは17-18シーズン中のある日の練習で森川に「お前、このままだと終わるぞ」と警鐘を鳴らした。

 

「森川はリングに向かって積極的にプレーするオフェンシブなプレーが持ち味なのに、アタックしなかったり、ほかの選手に気を遣ってパスを回したり…。そういうときに『それじゃあダメだよね』と言っていました」と大久保AC。厳しい一言は、森川の力を信じているからこその言葉だったのだ。

 

三河時代/©︎B.LEAGUE

 

 それから4シーズン…。森川は活躍の場を横浜に移し、昨年11月の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window1には29歳にして日本代表候補に初選出されるまでに成長。横浜を引っ張るエースとしての地位を確立しつつある。

 

 そんな森川は自身の“ナビゲーター”である大久保ACにこんなメッセージを残した。

 

「愛樹さん。いつも気にかけてくださってありがとうございます。今季は良いプレーもあれば、そうでないプレーも多くて、愛樹さんも僕のプレーを見てご立腹なんじゃないかなと思っています(笑)。それは僕も感じているので、反省して次の試合に向けてしっかりと準備しています。今回、日本代表の選考には漏れましたが、またあきらめずにメンバーに残って日本代表としてプレーする姿を見せたいと思います。お互い頑張りましょう」

 

『マイナビBe a booster! Bリーグウィークリーハイライト』はBS11で毎週木曜日よる10:00〜10:30にてオンエア。

『My Life Navigator』の詳しい番組情報は、番組HPと公式Twitterをチェック!

#bs11bab

 

(月刊バスケットボール)



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