月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2022.01.24

爆発的なパフォーマンスを見せる河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ特別指定選手)

 特別指定選手としてB1横浜ビー・コルセアーズでプレーしている河村勇輝(東海大学2年生)が、好調の波に乗っている。1月22日・23日にナイスアリーナ(秋田県由利本荘市)で行われた秋田ノーザンハピネッツとの対戦では、初日にフィールドゴール7本中4本(うち3Pショットは3本中1本)を決めて17得点、2日目にはフィールドゴール16本中8本成功の50.0%(うち3Pショットが5本中2本成功の40.0%)で26得点を挙げた。河村はこの試合で得点以外にも9アシスト、3リバウンド、2スティールを記録し、横浜の102-97の勝利に大きく貢献した(初戦は秋田が97-78で勝利)。

 

1月22日の対秋田戦でゴールを狙う河村(写真/©B.LEAGUE)

 


26得点は河村にとって、三遠ネオフェニックスで初めて特別指定選手としてプレーした2019-20シーズンのデビュー3戦目(2020年1月29日の対新潟アルビレックスBB戦)で記録した24得点を上回る、3シーズンを通じてのキャリアハイ。この試合においては相手のジョーダン・グリンに並ぶゲームハイ。また9アシストは今シーズンのシーズンハイであり、かつこの試合のゲームハイだった。今後の飛躍を予感させるようなプレーぶりだ。


試合後のインタビューで河村は、「自分の強みはピック&ロールのオフェンス。でも自分だけではなくビッグマンのパトリック・アウダ選手や外回りの選手がうまく動いてくれて成り立っているプレーなので、自分一人だけのものというよりはチーム全体でやるべきことをやることでつながっているプレーです」と横浜のシステムが自身に輝く機会を作り出している点を強調した。


河村は今シーズン、この試合を含め7試合に出場して平均11.6得点、6.4アシスト、1.7スティール、2.6リバウンドのアベレージを残している。出場試合数は少ないものの、得点は横浜における日本人プレーヤーの中でトップ、アシストはチーム全体でもトップの数字だ。延長になだれ込む激戦となったこの試合で横浜が記録した102得点は、クラブ新記録のハイスコア。若き司令塔は、特別指定選手として2シーズン目となる横浜でしっかりチームコンセプトにフィットし、それによりチームに勢いをもたらす存在になっているようだ。

 

 今シーズンの河村は、フィールドゴール成功率46.4%とフリースロー成功率85.7%も上々の数字だ。3Pショット成功率26.3%にはまだ改善の余地が感じられるが、秋田との2試合では8本中3本成功の37.5%で、今後上昇していく気配もある。

 

 身長172cmの河村が仕掛けるスピーディーなドライブは、現時点でもB1レベルで脅威となっているのは間違いない。ペイントでエアポケットのようなアウトナンバーの状態を創り出す場面がたびたび見られ、そこからのフィニッシュ、あるいはビッグマンへの鮮やかなパス供給でチームに優位な状態をもたらしていた。そこにロングレンジがついてきたら、どのチームにとっても相当やっかいな存在になるだろう。

 

スピードも伴った河村のピック&ロールからの組み立ては横浜のオフェンスで非常の効果を挙げている

(写真/©B.LEAGUE)

 

 

 「特別指定選手としてのビーコルでの活動は2年目ということもあり、チームメイトもあまり変わっていない中でやりやすさはありますけど、シュートの精度やゲームコントロールでもっともっと改善しなければいけないところもあります。ディフェンスではミスマッチを突かれたときにどう対応するか、リバウンドで自分がどう戦っていくかをもっと明確にして、改善していかないといけません」と課題意識も持っている。今後のさらなるステップアップが楽しみだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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