月刊バスケットボール6月号

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2022.01.09

鈴木妃乃がノースアラバマ大学のカンファレンス開幕戦でキャリアハイ22得点 – チームは69-73で惜敗

 鈴木妃乃が所属するノースアラバマ大学が、アトランティックサン・カンファレンス(以下A-SUN)の開幕戦でジャクソンビル州立大学と対戦。シーズンの中でも重要な一戦にチームは69-73で惜敗という結果となったが、ポイントガードのスターターとして40分間フルにプレーした鈴木は、渡米後のキャリアハイとなる22得点に4リバウンド、6アシスト、1スティールを記録する活躍を見せた。


鈴木は第1Qだけで先制点の1本を含む3Pショット2本、レイアップ1本、フリースロー2本すべてを成功させ10得点。試合を通じてフィールドゴール10本中6本成功(うち3Pショットは5本中3本成功)、フリースローは7本すべて決める効率の良いシューティングで、試合終了後にはプレーヤー・オブ・ザ・ゲームにも選出された。

 

 鈴木は大阪桐蔭がウインターカップ2017で全国制覇を達成したチャンピオンシップ・ランで活躍した司令塔。その後関西学院大学を経て、一昨年の夏に渡米し、2020-21シーズンからノースアラバマ大の一員としてプレーしている。ただ、昨シーズン中の1月30日に行われた対ノースフロリダ大戦で左ヒザ前十字靭帯を断裂し、以降は治療とリハビリに専念することとなった。


今シーズンの鈴木は、開幕からこの試合までを含めて13試合すべてに出場。直近4試合ではスターターを務めている。昨シーズンと比較すると成績に飛躍的な成長が見られ、平均6.8得点、2.1リバウンド、4.5アシスト、0.8スティール、フィールドフォール成功率38.2%、3P成功率33.3%、フリースロー成功率81.8のいずれもがキャリアハイの数字だ。この試合では前述のとおりフル出場し、プログラムの表紙にも登場していたが、それほど、チームの厚い信頼を獲得し、存在感も大きくなっている。

 

鈴木が表紙に登場した対ジャクソンビル大戦のゲームデー・プログラム(©University of North Alabama Athletics)

 


ミッシー・タイバーHCは試合後のインタビューで、鈴木のパフォーマンスを次のような言葉で称賛していた。

 

「彼女はどんどん成長しています。」1年目は言葉の壁があって、お互いを理解することができませんでした。誰にもできていませんでした。前十字靭帯を断裂したのが、プレーの仕方がわかってきた頃。あのACL断裂から、今の彼女は良く頑張って戻って来てくれました」

“She just keeps getting better right now. She came in the first year and she had the language barrier. We couldn’t understand each other, any of us. Then she tore the ACL. She just figured out how to play. And then she tore ACL.”
「今、やっと彼女がどれだけできるかわかってもらえるようになりましたね。もっとディフェンスとリバウンドを頑張って、彼女の持ち味を披露してもらえるようにしなければいけません。(今日は)しっかり止められなかったのでトランジションで攻め込むことができませんでした。でも、そういう場面になったときには彼女からのリードパスが何本か出ていましたよね。彼女は燃えています。がっかりさせるようなプレーはしませんよ」
“Now she’s fighting back from that. Now you see what she’s capable of doing. We’ve just gotta be better on the defensive end and be able to rebound the ball so we can showcase what she does a little bit more. We didn’t get enough stops to get going our transition game. But you saw that when we did, she got a couple, lead passes in there. She just fiery and she doesn’t let down.”


タイバーHCは「彼女が来年も戻って来てくれることをありがたく思っています(I’m just thankful that she’s gonna come back next year, too)」とも話し、鈴木が2022-23シーズンもノースアラバマ大でプレーする意向を固めたことも明かしていた(鈴木の登録はシニア=4年生だが、コロナ禍で進行している昨シーズンと今シーズンは、十分にプレー機会を得られないアスリートの立場を考慮し、希望すれば競技参加の権利を延長できる特例措置をNCAAが設けている)。

 


ノースアラバマ大はここまで5勝8敗(A-SUN0勝1敗)と黒星が先行しているが、ノンカンファレンスの日程で全米トップ25にランクインしているケンタッキー大学や、ビッグテン・カンファレンスに所属するパデュー大学など格上とのタフな試合を経てきている。A-SUNの本番で成績を向上させてポストシーズンのビッグトーナメントに進出できるポテンシャルも十分感じられる。


この日のジャクソンビル州立大との試合では、前試合終了時点まで平均15.2得点を記録していたチームのリーディングスコアラー、ジュリア・ストラキャンが無得点に封じられたことに加えて、タイバーHCが触れているとおりリバウンドで36-49(オフェンスは7-21)と優位を奪われ、セカンドチャンスからの得点で4-17と上回られたことが大きな敗因。次戦は日本時間1月13日(北米時間12日)の対イースタンケンタッキー大学戦だが、この部分を改善することが、A-SUNで浮上していくためのカギとなるのは間違いなさそうだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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