月刊バスケットボール5月号

大学

2017.11.26

【インカレ2017】男子決勝の見どころ

  11月20日に開幕した『第69回全日本大学バスケットボール選手権大会』(通称“インカレ”)も、いよいよ26日が最終日。今年は秋の関東大学リーグがまれに見る大混戦だったが、今大会もそれを象徴するように、関東3位の大東文化大と関東5位の筑波大が決勝へと駒を進める形となった。   準決勝の一試合目、まず決勝への切符を手に入れたのは白鷗大を79−70で下した大東文化大だ。内外角バランス良く攻めてすばらしい試合の入りを見せ、前半を終えて50−25とダブルスコア。後半もリードを保ち、4Q終盤に白鷗大#0野崎の連続3Pシュートで追い上げられるが、最後は9点差で振り切った。   そして準決勝の二試合目は、筑波大が第1シードの拓殖大を73−70で撃破して金星を獲得。残り33秒でキャプテンの#4青木が退場、そのファウルのフリースローで70−70の同点にされる絶体絶命に陥ったが、青木と交代で出た#88菅原が残り8秒で勝ち越しのスクープショットを決めて勝負を決めた。「あまり緊張はしていませんでした。あのシュートは大会前に結構練習してきたので、入って良かったです」と菅原。これで決勝のカードは、大東文化大×筑波大になった。  

  2003年以来の決勝進出となった大東文化大は、今年度から1部に復帰したチームだ。下級生主体だった2013年に2部降格を味わい、2014年は2部1位で入替戦に臨んだが、当時専修大の4年生だった田代直希(現・琉球)に残り9.3秒で逆転3Pシュートを決められ、涙の2部残留。翌2015年は2部4位のふがいない結果に終わり、2016年に2部全勝優勝を果たしてようやく1部に復帰した。 今年のリーグ戦は、序盤こそ星をこぼして1部の洗礼を受けたが、2巡目に持ち直し、最終日の結果で3位にランクイン。リーグ戦を通して、柱となる#15ラミーンや#12熊谷がケガで欠場する試合があっても、それを補う選手層の厚さが光る。どこからでも点を取れる布陣が、未知の世界である決勝でも躍動するか。   一方の筑波大は、昨年までインカレ3連覇を果たし、今年も春の関東トーナメントを制して“絶対王者”とうたわれる存在だった。ところが、エースの馬場雄大(現・A東京)がチームを離れ、キーマンとなる#14波多が膝のケガで戦線離脱。伸び盛りだったビッグマン#65玉木のケガもあってポジションも定まらない中、チームがかみ合わずにリーグ戦は9勝9敗の5位という厳しい結果となった。 だが、リーグ戦を経験して#88牧や#8菅原、#10村岸といった下級生が成長を見せ、さらには玉木が復帰するなど好材料は揃っている。また、一発勝負のトーナメントでは過去3年間のインカレ優勝経験が大いに生きているようで、「今大会、試合の入りがいいのは今までの経験があるから」と吉田監督。準決勝で第1シードの拓殖大から劇的な勝利を挙げたことも、チームの追い風になるだろう。  

この大東文化大と筑波大、リーグ戦の成績では76−56、83−81というスコアで大東文化大が2勝しているが、インカレ直前に行った練習試合では筑波大が勝利している。決勝に向けて「モッチ(ラミーン)をいかに止めるか」と吉田監督が言うように、インサイドの攻防がカギを握るだろう。筑波大はラミーンのような留学生はいないが、#17杉浦(195cm)や#11増田(191cm)といったフォワード陣の高さでは上。そのため大東文化大は#91ビリシベや#0葛原らが、リバウンド等で今まで以上にハッスルする必要がある。特に大東文化大のキャプテン・葛原は、福岡大附大濠高出身で、大濠出身者が4名(青木、増田、杉浦、牧)いる筑波大相手に奮闘が期待される。   初優勝の懸かる大東文化大と4連覇の懸かる筑波大。勝利の女神がどちらにほほ笑むのか、見逃せない一戦は本日14時試合開始だ。   (月刊バスケットボール)  

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