月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.12.28

八村 塁の元ボス、スコット・ブルックスがブレイザーズの臨時ヘッドコーチに – パンデミックの窮状を救えるか?

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を強く受けているポートランド・トレイルブレイザーズで、チャウンシー・ビラップスHCが日本時間12月28日(北米時間27日)の対ダラス・マーベリックス戦直前に安全衛生プロトコル適用下に入った。

 

試合前会見でのスコット・ブルックスAHC

 

 これにともないこの日の試合では、今シーズンからブレイザーズのリード・アシスタントとなったスコット・ブルックスが、臨時ヘッドコーチ(Acting head coach=以下AHC)として指揮を執り急場をしのいだ。ブルックスACHは、昨年までワシントン・ウィザーズでヘッドコーチを務めていた“八村 塁の元ボス”。ビラップスHCの復帰まで、この立場でブレイザーズを率いる。


ブレイザーズはこの試合を前にして、7人のプレーヤーが安全衛生プロトコル適用下に入り、右肺の気胸で離脱中のCJ・マッカラムを含め8人が欠場。チームは直近の10試合中8試合で黒星を喫する厳しい状況となっていた。


この窮状で行われたマーベリックスとの試合も、26得点を挙げたデイミアン・リラードらの活躍もむなしく117-132で敗れた。試合後の会見でブルックスAHCは、「望ましい結果にはなりませんでしたが、ウチの皆は良く競ってくれました(Not the result that we would have liked. I thought our guys competed)」と話していた。


ブルックスAHCは昨シーズン、パンデミックの直撃を受けて中盤まで大苦戦したウィザーズを、シーズン最後の24試合で17勝8敗の快進撃でプレーオフ進出に導いた実績を持っている。ブレイザーズの現状は厳しいが、図らずもこの状況を切り抜けるには最も頼りにできる人材の一人を、このオフ獲得していたと言えるかもしれない。


ESPNやスポーツイラストレイテッドなど、北米の有力スポーツメディアのオンラインサイトが同日伝えたところによれば、NBAは安全衛生プロトコル適用下のプレーヤーのうちワクチン接種済みで無症状のケースについて、検査結果に基づいて隔離期間を10日から6日に短縮することで選手会と合意したという。アメリカでは同日、疾病予防管理センター(CDC)も、陽性でも無症状の例について隔離期間を10日から5日に短縮すると発表した(加えて5日間マスクの適切な着用を求められる)。NBAの方針転換は、このCDCのガイダンスにも沿った形で、適応ケースとなったリーグ関係者の実戦・現場復帰の早期化を促進するものだ。


ブルックスAHCが試合前の会見で語ったところによれば、ビラップスHCと7人のプレーヤーたちは、いずれもほとんど無症状。ブレイザーズの厳しい現状も、さほど長期化せず変わっていくかもしれない。


NBAでは今シーズン開幕以降、200人以上の陽性例が報告されている。ただしワクチン接種が進んでいることもあり、アダム・シルバーコミッショナーは、ESPNのインタビューでリーグとして安全を担保しながらシーズンを続行する考えを明らかにしている。シルバーコミッショナーによれば、NBAではプレーヤーの約97%がワクチン接種済み、65%がブースター接種も済ませているとのことだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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