月刊バスケットボール5月号

[皇后杯準々決勝]富士通が粘りのディフェンスでWリーグ覇者トヨタ自動車を下す

[皇后杯準々決勝 第4試合]

 12月16日、準決勝へのラストスポットを争い行われたトヨタ自動車 アンテロープス 対 富士通 レッドウェーブの皇后杯ファイナルラウンド準々決勝最終戦。トヨタ自動車は昨シーズンの皇后杯準優勝、そしてWリーグの覇者。一方の富士通もWリーグ3位タイとなった実力あるチーム同士の対戦。また、トヨタ自動車は長岡萌映子、馬瓜エブリン、三好南穂、馬瓜ステファニー(3x3)、山本麻衣(3x3)、富士通は町田瑠唯、宮澤夕貴、オコエ桃仁花、篠崎澪(3x3)と両チームとも今夏の東京2020オリンピックの銀メダルメンバー、3x3代表メンバーが複数在籍しており注目の一戦となった。

 出だしはトヨタ自動車がアグレッシブなディフェンスからリズムをつかむと、長岡萌映子が攻防に気迫のあふれるプレーを見せチームをリードし、15-5とトヨタ自動車が先手を取る。

町田瑠唯(富士通)

 2Qに入ると富士通は町田が「まずはリングにアタックすることを意識して、流れが作れるように」と自ら攻め込む姿勢を見せ、オフェンスのリズムを作る。17-13と4点差まで詰めるも、トヨタ自動車はシラ ソハナファトージャ、馬瓜ステファニーらの高さでアドバンテージを奪い返し、再び2ケタ差に開く。トヨタ自動車の激しいディフェンスに対し、富士通は町田がドライブで何とか活路を開くと、それまで徹底マークでシュートを打たせてもらえなかった宮澤が、一瞬のスキをついてアウトサイドからシュートを決め、前半のラストプレーではインバウンズから町田がドライブを決めて30-28とワンゴール差まで詰めることに成功した。

 後半に入り、両チームとも激しいディフェンスとボールへの執着心を見せヒートアップ。その中で、富士通はオコエ桃仁花がリバウンドシュート、篠崎澪の1 on 1でついに逆転すると、さらに篠崎が仕掛けて富士通が勢いに乗る。また、しつこいディフェンスでトヨタ自動車を3Q7点に抑え、42-37とリードを奪って最終Qへ。

 トヨタ自動車は山本、馬瓜ステファニーが得点し追い上げにかかるが、オープンになっていた中村優花が3Pシュートを沈め、富士通が流れを渡さない。さらに追いすがるトヨタ自動車に対し、今度はパスを読んだ篠崎がスティールからのワンマンブレイクで49-43と6点差に。また、オコエがミスマッチをついて得点するなどトヨタ自動車は点差を詰め切れないまま試合が進む。試合終盤もトヨタ自動車の平下愛佳や山本が3Pシュートを決めて望みをつなごうとするが、その都度、篠崎、町田が勝負強くシュートを入れ返し62-55で逃げ切りを見せた。

山本麻衣(トヨタ自動車)

「プラン通りに、ディフェンスがうまくいきました。40分間、同程度のクオリティでディフェンスを続けられたのは、今シーズンで初めて」と富士通のBTテーブスHC。また、今シーズンENEOSから移籍してきた宮澤、中村の加入でリバウンド面が改善したことも付け加える。実際、この試合では高さでアドバンテージを取られるトヨタ自動車に対し、チーム合計で45本とリバウンドで全く互角に渡り合い、そのうち宮澤が11本、中村が7本を記録している。

 一方、敗れたトヨタ自動車のルーカス・モンデーロHCは「ディフェンスでは富士通を60点以内に抑えようというプランで、それはほぼできました。また、相手の3Pシュートを抑えることもできました。ただ、オフェンス面がうまくいきませんでした。エネルギーが足りなかったのか、ゴール下のシュートを落としたりしてしまった」と敗因を挙げた。

(飯田康二/月刊バスケットボール)

 

 



PICK UP