月刊バスケットボール1月号

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2021.12.12

【インカレ2021】男子準決勝は2試合ともに激闘に

 12月11日(土)、インカレ男子の準決勝が代々木第二体育館で行われた。入場制限がかかるほど大勢の観客が会場に詰めかける中、決勝進出をかけて東海大vs.専修大、白鷗大vs.筑波大の2試合が行われた。

 

残り5分18点差から猛追見せるも…
東海大相手に専修大は一歩及ばず

 

 まず行われたのが東海大vs.専修大。関東王者ながら今大会は大東文化大戦(65‐63)、中央大戦(69‐65)と辛勝続きの東海大に対し、能力の高い選手がそろう関東4位の専修大がどんな戦いを見せるか注目となった。

 

 立ち上がりは、「今までのゲームの反省を生かして良い集中で入ることができた」(陸川章監督)という東海大が、引き締まったディフェンスで流れをつかんだ。オフェンスでは#10張正亮が難しいバスケットカウントを決めて会場を沸かせ、開始5分半で11‐2。専修大のタイムアウト後も#23佐土原遼がブレイクやステップインを決め、相手に流れを渡さない。だが、専修大は#1山本翔太が3Pシュートでバスケットカウント、さらにリバウンドをタップしてバスケットカウントを獲得して反撃。結局5点差に追い上げて1Qを終えると(17‐12)、その後も東海大が僅差で逃げる展開が続いた。

 

 追い掛ける専修大は、「ブザーが鳴るまで、40分間ディフェンスで我慢しよう」(佐々木優一監督)という言葉を遂行。ただ、何度か1ゴール差まで詰め寄るものの、逆転のあと1本を決めさせてもらえない。すると逆に苦しい時間帯に耐えた東海大が、2Q終盤から猛チャージ。#5河村勇輝のキラーパスから#11大倉颯太や#86八村阿蓮が得点を重ね、41‐29で試合を折り返した。

 

 

 3Qに入っても流れは東海大。開始3分で48‐29と大きく19点リードを奪う。ただ、専修大は「キャプテンが諦めたら終わってしまう。チームを引っ張る存在こそがキャプテン」という#23キング開が仲間に声をかけ続け、#13スティーブのリバウンドシュートや#28野崎由之の3Pシュート、#46寺澤大夢のドライブなど、連続9得点に成功。一気に10点差に縮めて意地を見せ、そこからは一進一退が続く。

 

 #15島谷怜のブザービーター3Pで3Qを終え、東海大の14点リードで入った4Q。#11大倉の1対1などでじわじわリードを広げ、残り5分で70‐52と18点リード。それでも、#23キングがスティールからワンマン速攻を決めるなど、専修大は気持ちを切らさない。残り3分半、#13スティーブが左足を負傷して交代するピンチにも、#44米山、#1山本が気迫で3Pシュートを沈め、72‐62と9点差に。さらに「誰よりも3Pシュートを決める気持ちでシューティングしてきた」という#1山本が、冷静にフェイクでディフェンスをかわして3Pシュートを決めて6点差。東海大のタイムアウト後も決死のディフェンスでミスを誘い、専修大の追い上げムードは続いた。#44米山や#1山本のフリースローでついに4点差に。

 

 

 ただ、ここで東海大はディフェンスで踏ん張りを見せ、オフェンスでは東海大#86八村と#5河村がきっちりと仕事をした。残り13.4秒、#86八村がフリースローを決めて6点リードとし、さらには相手のミスから#5河村がルーズボールに飛び込んで、#86八村がダメ押しのボースハンドダンク。最後は79‐71で専修大の猛追を振り切り、決勝進出を決めた。「前の2試合と同様に追い上げられましたが、そこで最後、自分たちのペースにしたのは成長している点だと思います」と陸川監督。

 

 一方、惜しくも敗れた専修大。ただ、「無理なシュートも入るのがインカレ」と東海大#23佐土原が言うように、粘りに粘って気持ちでタフショットを決め、最後まで王者・東海大に食らいついた専修大の戦いぶりは見事だったと言えるだろう。悔し涙も見せる選手たちがコートで挨拶をすると、会場から割れんばかりの大きな拍手が巻き起こった。「たくさんの反省点はありますが、あれだけ開いた点差を追い上げられた。このすばらしいチームで戦えて良かった」と#23キングは涙をぬぐって前を向いた。

 

圧の強いディフェンスで
白鷗大が鮮やかな逆転勝利

 

 準決勝の第2試合は、白鷗大vs.筑波大というカード。高いディフェンス力で安定感のある強さを誇る関東3位の白鷗大と、多くのケガ人が今大会で復帰し、準々決勝では関東2位の日本大をダブルオーバータイムで破って勢いに乗る関東6位の筑波大が激突した。

 

 前半は「緊張も見え、硬かった。顔面蒼白な選手もいました」と網野友雄監督が苦笑いするように、白鷗大はなかなか自分たちのペースをつかめなかった。逆に、高いディフェンス力を見せたのが筑波大。1Qは13‐13の同点だったものの、2Qの失点を僅か6点に抑えることに成功。オフェンスでは好調の#34三谷桂司朗が前半だけで12得点を挙げ、#92中田嵩基の得点なども続いて27‐19と8点リードで試合を折り返した。

 

 

 ただ、「今大会、粘り強い姿勢は見せていたので、後半勝負だなと思っていました」と網野監督。ハーフタイムには選手同士で鼓舞し合い、「コミュニケーションを取ることで緊張が緩んだ」(#56小室昂大)という白鷗大が、3Qから反撃を見せる。#52ブラ・グロリダのバスケットカウントや#25角田太輝の3Pシュート、#2脇真大の速攻などで、開始3分で2点差(31‐29)に。ただ、筑波大も#92中田や#75井上が落ち着いてシュートを決め、逆転はさせない。白鷗大はアグレッシブなディフェンスを仕掛ける代償としてファウルがかさみ、筑波大はコツコツとフリースローを決めて僅差のリードを保つ。その後は2〜4点差を行き来する一進一退。筑波大はベンチ出場の#25栗林幹太が活躍してチームを沸かせ、対する白鷗大も好ディフェンスで引き離されない。筑波大の3点リードで入った4Qも、筑波大が僅差で逃げ、白鷗大が追う展開が続いた。

 

 筑波大は#23半澤凌太が24秒ギリギリでバンクショットを決め、#13二上耀がフリースローを2本沈めるなど4年生が踏ん張り見せて、残り7分で5点リード(49‐44)。ただ、ここからは白鷗大のプレッシャーディフェンスを前に得点が停滞。逆に白鷗大は好調の#25角田が3Pシュートを決め、#66松下裕汰がリバウンドのこぼれ球から得点。そして残り4分には、#25角田が3ショットのフリースローをきっちり3本そろえ、ついに逆転に成功した。その後もすぐにゾーンプレスを仕掛けるなど、ディフェンスの手を緩めない。残り3分、#2脇がバックシュートを決め、さらには#25角田の1対1で5点リード。残り1分には#52ブラが相手の息の根を止めるバスケットカウントを決め、その後もリードを広げた。最後は62‐51でタイムアップ。4Qだけ見れば22‐8というスコアで、鮮やかな逆転勝利を飾った。

 

 

 筑波大の吉田健司監督は「前半はやろうとしているディフェンスができたのですが、1試合とおしてボールに対する執着心は相手の方が上でした。相手は40分間、常に激しくディフェンスを仕掛けてきて、そうした圧に押されて消極的になってしまった」と反省の弁。一方、「創部初の決勝進出で、歴史を変えられたことを素直に喜びたいです」と語ったのは網野監督。「うちの選手たちは高校時代のキャリアで言えば見劣りするかも知れませんが、能力や努力し続ける人間性は高いレベルにある。特にディフェンスに関しては、コートに送り出す選手全員にあまり差がありません」と、選手への信頼を口にしていた。決勝の相手は、リーグ戦で惜敗した王者・東海大。キャプテンの#66松下は「チームで戦って、優勝したい」と意気込んでいる。

 

 12日(日)に行われるインカレ最終日は、専修大vs.筑波大の3位決定戦が13:00、東海大vs.白鷗大の決勝戦が15:00ティップオフ。大学シーズンを締めくくる最終日、互いの意地と意地とがぶつかる熱戦が巻き起こるはずだ。

 

取材・文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)
写真/山岡邦彦



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