【日本郵政 Presents】3x3を支える人たち vol.5『池辺恭平(日本郵政株式会社広報部グループリーダー)』/気持ちを届ける、想いを託す

3x3シーンの“縁の下の力持ち”が望む感動と夢の続き

 

 

小学生の頃、遊びの延長のような形で始めたバスケットボール。地元のミニバスチームの上手な子たちを見て、「いつかは僕もあんなふうになりたいな」と思うようになり、中学校ではバスケットボール部に入った。副部長としてチームをけん引したあの頃、縁の下の力持ちとしてバスケットボールで出会った仲間たちを支える喜びを学んだのかもしれない。3x3の普及を強力に支援する日本郵政株式会社の広報部グループリーダー、池辺恭平はそんな人物だ。

 

3x3を支える人たち vol.3『齊藤洋介 from YOSK CHALLENGE』から読む

3x3を支える人たち vol.4『落合知也 from WORMAiD』から読む

 

――日本郵政が3x3を支援することになった経緯はどんなものだったのですか?

 

 日本郵政のオリンピック・パラリンピック室でスポーツ支援に携わるというときに、総称としてのオリンピック・パラリンピックを応援しましょうと呼びかけるのは簡単ではありませんでした。55競技の国際大会が一定期間に集中的に行われるこの大会は、いざ「応援しよう」となると具体的に何を応援すればいいのか、的が絞りにくい側面があるんです。そこでまず、グループとして、具体的に応援するスポーツを決めようと考え、さまざまな競技への協賛を検討しました。

 

 その中で3x3は東京2020大会からの新採用の競技でもあり、スピーディーで攻守の切り替えが次々と起こり、試合時間も短くて先進的な競技だなという印象を持ちました。一方、競技の魅力がある割に、競技の認知度がまだ高くないというアンバランスも感じられたので、日本郵政グループのネットワークを活かし、競技自体を応援することで、このアンバランスを解消できるのではないかと考え、3x3を応援しようと決めました。

 

――もともと3x3にご興味があったのですか?

 

 担当になるまでは正直よく知らなかったのですが、支援を検討する中で観戦に行ったところ、競技の魅力を肌で感じ、惚れ込んでしまいました。オリンピック・パラリンピック室では、お客さまに競技の体験機会をご提供するという取組みを行っていましたので、そちらにも活用できるのではないかと考えました。

 

――日本郵政はオリンピック以外の側面でも3x3を支援されていますね。

 

 そうですね。競技の魅力を感じて支援しようと決めたのですが、競技の普及がまだまだ進んでいないという印象がありました。ルールもあまり知られていないし、調べようと思ってもわかりやすい情報源がありませんでしたから。そこで『What’s 3x3』のようなわかりやすく競技の魅力を伝えるコンテンツを作ったり、競技の魅力をわかってもらえるようなムービーを用意して、少しでも3x3に触れていただく機会を増やすようにしました。それらの活動を通じ、競技が広まることで、支援自体の価値も高まります。

 競技普及に熱意のある方々のプロジェクトへもいくつか支援をさせていただいており、齊藤洋介さん(UTSUNOMIYA BREX.EXE)や落合知也さん(TOKYO DIME/越谷アルファーズ)の活動、F1 Studio(東京都江東区にある3x3専用コート)への支援なども行いました。

 

――池辺さんは現場によくいらっしゃるともうかがっています。

 

 3x3の大会では、名プレゼンターとして認知が広がっているようですね(笑) 確かに、必ずと言ってよいほど現場に行きますし、配信があれば必ず見ますので、日本の中では確かに見ている方だと思います。これまで月バスさんに特集いただいたとおりですが、3x3という競技は、関係者の皆さんが本当に熱意を持っていらっしゃるので、実際に現場にお邪魔して、業界の課題等を伺った上で、施策を検討した方が、施策効果も上がります。ファンの方々が「こういうのを求めているんだ」というのも、現場の方がよりわかりやすいですしね。

 

――オリンピック延期が決まったときは大変だったのではないでしょうか。

 

 準備してきたことのゴールが一年延びるというのは前代未聞の状態でしたからね。スポーツ自体の逆風も強かったですし、人が集まることがそもそもダメ…。私たちは、ゴールボールや3x3など普及がまだまだ足りていない競技をお客さまに体験していただく活動を行っていましたが、それもできなくなりました。

 

 ただ、一年延びたことで、発展中の競技としては、この時間を有効活用できるかもしれないとも思いました。実際、ゴールボールでは声優さんを起用した応援プロジェクトを行ったり、3x3でも新たなファン層を取り入れる目的で楽曲を作ったりと新たな取り組みを、その期間に行いました。準備に充てたり、お客さまに競技の理解を深めていただく時間になりましたね。

 

――支援活動への影響は大きかったのでしょうね。

 

 逆風が強い中で、施策一つ一つの決定に慎重にならざるを得ない側面はありました。

 

 日本郵政グループは地域に根差し、日本全国の地域のお客さまの生活を支える企業です。今や生活の一部となっているスポーツを支援することを通じて、事業とは別の側面でも、お客さまのお役にたてるのではないかと考えていました。そのため、コロナ禍でも支援を継続しており、お客さまから多くの反響もいただきました。

 

 スポーツを題材にした商品の取り扱いも増えてきましたし、地域に根差したスポーツチームを地域とお客さまと一緒に応援していくような取り組みも全国各地で行われています。スポーツという文脈でも、地域の中での郵便局の価値が高めることができたのかなと考えています。

 

 

■日本郵政3x3応援プロジェクトの主なコンテンツ■

 

What’s 3x3(日本郵政公式サイト、3x3日本代表応援企画 POST to the FUTURE内)

https://www.japanpost.jp/3x3/whats.html

 

DUNK(Full Ver.)/☆Taku Takahashi&JP THE WAVY

 

日本郵政『FROM THE STREET TO THE WORLD』3x3日本代表応援ムービー

 

日本郵政 3x3 Player’s Interview

 

 

――女子のオリンピック予選(OQT)はどんなお気持ちでご覧になっていましたか?

 

 合宿などにもお邪魔させていただいて、選手たちとも知り合いになっていましたし、OQTは何が何でも勝ってほしいと思っていました。深夜に超劇的な展開で勝てたあの瞬間は感動的でしたよね。。

 

――オリンピック本番はどの試合も面白い試合ばかりでした。

 

 そうですね、ツイッターのトレンドにも3x3が初めて入りましたし、テレビでご覧になった方も多かったと思います。それまで“スリーエックススリー”なのか“スリーオンスリー”なのか、「スリーバイスリーでしょう?」なんて言われていたのが、「あ、これが3x3なんだね」と結びついた瞬間だったのは間違いないと思います。パートナーとして普及を進めてきた身としては「こんな良いものを我々は推していたんだ」ということを確認できて、良い瞬間に立ち会えたなという感覚でした。

 

 メダルを獲っていたらメディアの取り上げ方もより多くなっていたでしょうから、そこは悔しかったですが、競技の認知度は確実に上がったと思います。3x3を背負ってきた人たちの想いが果たされた瞬間であり、縁の下でお手伝いできて良かったです。男子のキャプテンを務めた落合さんは、3x3のこれまでのいろいろなものを背負っていたなという感覚もありました。でも、仲間たちの夢を一つかなえましたね。体を張った活躍を見て、カッコいいなと思いました。

 

――今後3x3にどんなふうになっていってほしいと思っていますか?

 

 ショッピングモールなどで急にゴールが現れて、「あのカッコいいのが3x3だよね」というふうに3x3がより身近に、日常的な競技になってくるといいなと思っています。狭いスペースでイベントができるのも3x3の魅力の一つです。それがもの珍しさというよりも、「あ、ここでもやっているんだ」という具合に日常的な風景に溶け込んでくれることが、普及のお手伝いをしてきた立場として望む最終形です。

 

 3x3専用コートは現状では少ないですから、競技できる場所も増えていってほしいです。新型コロナウィルスの状況もありますが、3x3は会場で見ていただくと本当に魅力が伝わるので、選手同士がバチバチのところ見て得られる感動を、お客さまが入った会場で一緒に分かち合いたいです。あの一体感、一目見てカッコいいと思える3x3を、より多くの人に見てほしいですね。

 

 また、3x3では「ストリートから世界へ」というキャッチフレーズが示すように、世界への切符が近いというのも魅力の一つです。中学生でも高校生でも、3x3をしっかり頑張った先に世界で戦える可能性が5人制よりも近いので、チャレンジする舞台として3x3が根付くとよいとも思います。

 

 少子高齢化で5人制のチームを作るのが難しい地域では、部活で3x3を採用するところが増えていっても良いのではないでしょうか。あるいは3x3は、部活は合わなかったけれどバスケは好きという人が活躍できる受け皿にもなれるでしょうし、競技そのものの認知が上がり、様々な形で競技が根付いていくことを期待しています。

 

――これまで3x3を支えてきた人、これから参加される人への思いやメッセージをいただけますか。

 

「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」という日本近代郵便の父前島密の言葉にもあるように、我々は、想いを持っている人たちや頑張っている人たちの挑戦を、縁の下の力持ちとして、支援できる存在でありたいと考えています。

 

 新しいことに挑戦するのは勇気がいりますが、想いを持って実行すれば、必ずその挑戦を支える人が現れると思いますので、ぜひ、挑戦をしてみてもらいたいと思います。

 

 150年の歴史があり、どちらかと言えばオールドファッションだと思われる日本郵政グループが、ストリート発祥の先進的な競技である3x3を支援するというこのプロジェクト自体も、実はとても勇気のいるチャレンジでした。我々の挑戦の行く末もぜひ見守っていただけると幸いです。

 

 

 

池辺恭平

日本郵政株式会社広報部グループリーダー。埼玉県朝霞市出身のバスケ愛好者であり、子どもの頃のホームコートは、本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)がシューティングに励んだのと同じ場所。当時育んだバスケットボールへの情熱を今、3x3シーンへの支援という形に変えて豊かな地域社会づくりに注いでいる。

 

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(月刊バスケットボール)



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