月刊バスケットボール6月号

アキ・チェンバース(群馬クレインサンダーズ) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

アキ・チェンバース(31) SF 191cm/90kg 群馬クレインサンダーズ(カリフォルニア大マーセド校/東京都)
キースタッツ(Bリーグ): G=14(12) M=29:34 P=10.7 FG%=44.3% 3P%=44.6% FT%=81.3% R=3.6 A=2.4 TO=1.9 S=1.14 B=0.36

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック

 

 帰化枠ではなく日本国籍を持つチェンバースは、東京2020オリンピック前の今年6月にマニラ(フィリピン)で行われたFIBAアジアカップ2021予選に日本代表のメンバーとして帯同し、チャイニーズ・タイペイとの1試合に出場した。このときは15分37秒の出場で3得点、4リバウンドにアシストとスティール1本ずつという成績を残している。しかし同大会で日本代表が2度戦った中国代表との試合には出場していない。


今シーズンのBリーグでは、B1に昇格した群馬でキャリアハイのアベレージとなる平均10.7得点と、これもキャリアハイの3P成功率44.6%という好成績を残している。ただ、チェンバース自身は「特に何も変わってはいません」と話し、はしゃぐような様子もない。好調の理由を尋ねられても、「そういうチャンスが巡ってくる上に、素晴らしいチームメイトも良いショットをおぜん立てしてくれるんですよ(In terms of three, nothing really changed. I think the opportunities opened up for me. You know I have great teammates that set me up as well)」と謙虚に説明するばかりだ。


しかし当然それだけではないだろう。昨シーズンまでのチェンバースは成功率が40%を超えたことはなかった。現時点の数値は昨シーズンの33.5%から11.1ポイントもの上乗せだ。


チェンバースは以前からタフなディフェンダーとして知られているが、今回の24人の代表候補の中でスティール本数(トータル16本、平均1.14本)が藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース、平均1.86本)、比江島 慎(宇都宮ブレックス、平均1.50本)に次いで3位で、フロントラインではトップだ。こうなるといわゆる3&Dタイプのトップクラスという認識を持つことができる。


この成績を認められて代表候補に名を連ねたチェンバースは、その栄誉にも高ぶりすぎることなく、「新たなコーチの下で、自分の力を示す機会です(With the new coach, it’s just another opportunity for me to kind of showcase what I have)」と落ち着いた言葉で喜びを表現している。「私の意欲は以前から変わっていません。一生懸命にプレーしてチームの勝利に貢献したいという思いだけです。もちろん代表に選ばれたことをうれしく思っていますよ(My motivation just kind of stays the same. You know I just wanna be able to play hard and help my team win games. You know of course I’m happy to be selected for the national team)」


トム・ホーバスHCの練習メニューなどにも、冷静に適応しているようだ。合宿開始当初の数日間は新たに覚えることが多く大変だったが、それ以外には驚くようなこともないという。それだけ自分に自信がある証拠だろう。

 

 チェンバースはホーバスHCのシステムに馴染むための心持ちを、以下のような言葉で説明してくれた。「ことの流れに逆らわずにやっています。走って、良いショットを狙い、良いディフェンスをするだけですよ(I just kind of try to go with the flow of things you know. You want to just try to run, shoot, you know play good defense)」

 

チェンバースの冷静な受け答えはそのまま気持ちの強さを感じさせる(©JBA)

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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