月刊バスケットボール6月号

今村佳太(琉球ゴールデンキングス) - FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1男子日本代表候補名鑑

©JBA

今村佳太(25) SG 191cm/92kg 琉球ゴールデンキングス(新潟経営大学/新潟県)
キースタッツ(Bリーグ): G=14(14) M=23:37 P=9.7 FG%=33.3% 3P%=34.9% FT%=82.6% R=2.6 A=1.6 TO=0.9 S=0.71 B=0.21

G=出場試合数(先発回数) M=出場時間 P=得点 FG%=フィールドゴール成功率 3FG%=3P成功率 FT%=フリースロー成功率 R=リバウンド数 A=アシスト TO=ターンオーバー S=スティール B=ブロック


年々攻守での積極性が増している今村は、それとともに対戦相手にとって恐さを感じるプレーヤーへと成長しているプレーヤーだ。外から得点を奪われることを警戒する相手のスキをついて果敢なアタックやカッティングからゴールを狙うことで、そこからのキックアウトやビッグマンへの合わせのプレーにつながったり、フィニッシュが落ちた場合にもセカンドチャンスでの得点につながるケースが、琉球の試合ではたびたび見られる。


大事な試合での爆発力も魅力。今シーズンは故郷新潟県の長岡市で行われた対新潟アルビレックスBB戦で、3Pショット8本中4本を沈めてシーズンハイの23得点を記録し、勝利に貢献している。故障者続出で苦しい台所事情の中で戦った群馬クレインサンダーズとの連戦の2試合目でも、3Pショット8本中5本を決めて19得点を挙げた。新潟に所属していた2019-20シーズンには、1試合で7本の3Pショット成功という試合が2度あった。


体を張り、チームとしての連係の中でローテーションしながら対応するディフェンスの能力も高く、複数ポジションをスウィッチして守れるところも大きな強みだ。サイズもありリバウンドも強い。特にディフェンス・リバウンドの総数29本は、今回バックコートで招集された12人の候補の中で最多だ。


トム・ホーバスHCは今村について、このポジションにおけるサイズがもたらす強みへの期待や、3Pシューティング、ドライブ、ディフェンスの力を買っていることを公言してきている。期待に応えるべく今村の方は、 11月19日に行われた代表合宿中のズーム会見で、「代表候補に選出していただいて、本当に感謝しています。自分が今持っているすべてをこの合宿期間中に発揮して、長所を出し切ることができれば良い結果につながるかなと思います。日本代表にしっかり貢献できる選手になれるように、自分の良さを前面に出していこうかなと思います」と意欲を語っている。

 

3Pショットとハードなディフェンスに加え、「爆発力に自信があります。トム・ホーバスHCからはそこを買ってもらっているんじゃないかなと思います」と今村は話した(©JBA)


今シーズンのBリーグでは、序盤戦で自身として納得のいかないパフォーマンスに終わった試合が何試合かあったという。10月27日の対広島ドラゴンフライズ戦後の会見で課題として挙げていたのはショットセレクションで、「少し自分のタイミングでないときに打ってしまったりして、自分のリズムを作ることに関してなかなかうまくいっていなかった」と話していた。


ただ、さらに話を聞いてみると、これは次なる進化に向けた「生みの苦しみ」の過程のように思えた。「自分の3Pショットは、昨シーズンあたりから少しずつ警戒されてきているな、オープンではなかなか打たせてもらえないだろうなと感じていました」といい、それに対応して3&Dタイプのプレーヤーとして新境地を切り開こうとしているのだ。「レンジもそうですけど、僕としてはドリブルプルアップから打つシチュエーションがこれから増えていきそうなので、そこは自分としてもチャレンジしていく部分だと思っています」とのことだったが、19日の代表合宿会見でも、そのチャレンジを続けていると話していた。ディフェンスにも「日々できてきているんじゃないかなという実感があります」と自信を深めている。


代表活動でも、琉球での普段の取り組みを大きく変えず、自分の課題と向き合って長所を生かしていくことにフォーカスしている。献身的で爆発力のある3&Dタイプのスイングマンとして、選出されればきっと期待に応えてくれるだろう。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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