月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.11.21

八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)が初めてメディアの前に姿を見せる

 ワシントン・ウィザーズへの合流が遅れている八村 塁が、日本時間11月21日未明(北米時間20日)のチーム・シュートアラウンドに参加した様子が、今シーズン初めて公の場に登場した。NBCスポーツの記者チェイス・ヒューズ氏がツイッターで投稿したもので、八村がボールを手にコートに立つ様子が収められている。

 


八村自身はメディアに言葉を発信してはいない。しかし、このシュートアラウンド後の会見では、八村と同じゴンザガ大出身のルーキー、コーリー・キスパートが、八村との再会について「個人的にとてもうれしいです。とても会いたかったですからね」と笑顔を見せていた。キスパートはゴンザガ大に八村より1年遅れて入学しており、2017-18、18-19シーズンをチームメイトとして過ごしている。「ここに戻ってきた彼を迎えることができ、これからまた仲良くしていけるのはとてもうれしいです」


ウィザーズが八村を欠いた状態で好調を保っている現状を受け、ウェス・アンセルドJr. HCは日本時間11月16日(北米時間15日)の会見で、八村が復帰した場合の起用方法について「Challenging」という言葉を使って表現した。また、八村がローテーションから外れる可能性があるかどうかという質問に対して、「答えることはできません。まだしっかり彼を見ていませんからね」と答えている。


並行して先週は、ウィザーズのトミー・シェパード社長兼GMが、八村を近々Gリーグのキャピタルシティ・ゴーゴーで調整させる可能性をほのめかしたとの報道もあった。


これらの状況から、八村のレギュラーへの復帰を悲観的に伝える報道もあるが、実際には必ずしもそうではないだろう。アンセルドJr. HCの「Challenging」という言葉を「厳しい」「難しい」と捉えるか、「面白い状況だからよく考えて取り組みたい」と捉えるかで、状況の見方がかなり違う。また、ゴーゴーへの加入は八村に対する評価とは別で、NBAレベルでの実戦復帰に向けた非常に良い機会と捉えることができる。


開幕から15試合を終えたウィザーズは、10勝5敗でイースタンカンファレンスの4位。コーチングスタッフが変わり、プレーヤーの大幅な入れ替えも経た後の今シーズン序盤戦で、せっかく作った良い流れを維持することがチームとしての最優先事項になるのは間違いない。チームのケミストリーを壊さずに、八村に実戦感覚を取り戻す機会を作るには、ゴーゴーを活用するのが最善策だ。コーチングの立場からは、そこで八村の様子を確認することで、どんなラインナップならば最もチームのニーズにフィットするかを検討する材料を得ることができる。


たとえプレーしていない状態のものだとしても、八村がメディアのいるウィザーズの現場に姿を見せ写真に収められたことと、チームが何らの罰則なく八村の存在を受け入れ、支援体制を見せていることは、いずれも非常にポジティブな流れと捉えることができる。今後復帰への動きは速度を増していきそうだ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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