FIBA女子アジアカップ2021ディビジョンBの話題5選-1 レバノン代表の2年後は要注意
今回のディビジョンBの戦いを勝ち抜いたのはレバノン代表で、決勝で開催国ヨルダン代表を80-40という圧倒して堂々のディビジョンA昇格となった。ヨルダンはWNBAでワシントン・ミスティクスを2019年にチャンピオンに導いたナターシャ・クラウドが加わっており、今大会に向けた強化への意欲の高さをうかがわせていたチーム。しかし決勝戦では、ポイントガードのレベッカ・アクルがフィールドゴール8本中6本を成功させる大当たりで22得点を記録したほか、パワーフォワードのアイダ・バコスが16得点、シューティングガードのラマ・モウクデムが14得点、NCAAディビジョンIのサウスフロリダ大学出身のセンター、ブリタニー・ジャネレ・デンソンも10得点と4人が2桁得点を記録した。
躍動的なラマ・モウクデムはプレーヤーだけでなく男子リーグのコートサイド・レポーターとしても活躍している(写真/©fiba.asiacup2021)
チームの平均身長は178cmあり、最長身で191cmあるデンソンは、ペイントでフィジカルにゴリゴリやり合えるタイプのセンターだ。出身大学のプロフィール紹介を見ると、マクドナルド・ハイスクール・オールスターにもノミネートされていた。しかし長身プレーヤーだよりではなく、アウトサイドのそれぞれのポジションに得点力のあるプレーヤーがそろっている。
レバノンは今夏のオリンピック後に発表されたFIBA世界ランキングでは53位で、ディビジョンAで5連覇を成し遂げた日本代表が脅威を感じるべき相手ではないだろう。ただ、ディビジョンAで日本が対戦したインド代表(同ランキング70)よりは現時点で実力的にも上の印象だ。帰化プレーヤーの積極的な加入など、今後2年間に西アジアのバスケットボールは急速な発展をみせる兆候もあり、2年後のアジアカップでのレバノン代表は、ディビジョンAのチームが簡単に勝利を計算できる相手であるとは限らないことだけは記しておきたい。
ディビジョンA昇格のレバノン代表。すでに同国は次回のアジアカップ開催国に名乗り出たい意向を示しているという(写真/©fiba.asiacup2021)
文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)