月刊バスケットボール5月号

BリーグU18大会で2人の未来エース発見

10月29日(金)、30(土)に、墨田区総合体育館で行われたB.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2021。16チームにより頂点が争われたが、Bリーグが主催するU18大会で参加チームが一堂に会するのは今回が初めて。決勝はレバンガ北海道U18と名古屋ダイヤモンドドルフィンズU18の対戦となり、北海道U18が栄えある初代チャンピオンに輝いた。

 

この大会は勝ち負け以前に、「世界に通用する選手やチームの輩出」に向け、個人の能力に応じた育成強化の環境の礎を形成するための機会を提供することを目的としている。そこでここでは、特に目立った活躍を見せた将来日本代表になってもおかしくない2人のエース候補を紹介する。

 

その1人目は、北海道U18の#11内藤輝悠。まだ高校1年で誕生日が2006年1月11日と早生まれのため年齢は15歳。190㎝、96㎏という恵まれた体格を生かし、バックダウンからのシュート、リバウンドシュートといったポストプレーを見せたかと思えば、華麗で力強いドライブからのレイアップ、ステップバックからのジャンパー、外角からの3Pシュートを決めるなど得点バリエーションは多彩だ。

 

 

エースとしてチームを優勝に導いたことで大会MVPを受賞したが、特筆すべきはフィニッシュ力の高さ。高校生やU18クラスだとせっかくリングにアタックしてもボールがリングに嫌われることも少なくないが、#11内藤はそれをキッチリと決め切ってみせる。

 

その勝負強さを発揮したのが決勝戦の3Q終盤だ。2Qを終え49‐43とリードしていた北海道U18だったが、名古屋D U18の3P攻勢に遭い3Q残り1分46秒には64‐66と逆転されてしまう。イヤな流れとなったが、ここで奮闘したのが#11内藤。「(前日2試合、この日も2試合目で)体はボロボロでしたが、勝つことへの気持ちは切らしませんでした」とジャンパーを沈め同点とすると、その後にリバウンドシュートも決めてみせる。また、4Q序盤でもバックダウンからファウルをもらっての3点プレー、そしてリバウンドシュートと短時間で5得点。チームとして得点が欲しい場面で、しっかりとエースの自覚を見せ決め切ったのは見事だった。

 

それでも「自分としては納得いくプレーができませんでした」と#11内藤。「もっともっとやるべきことはあったと思います。そこはしっかり次の課題としてやっていきたいと思います」と自らに課すレベルは高い。今の目標は、「来年、特別指定選手としてレバンガ北海道のトップチームに入ってプロとして活動していくこと」だ。

 

この#11内藤に負けず劣らずの躍動感を見せたのが、横浜ビー・コルセアーズU18の#18ジェイコブス昌。アメリカ人の父、日本人の母を両親に持つジェイコブスの身長は200㎝。今年9月24日に、17歳5か月11日のBリーグ史上最年少で特別指定選手として横浜ビー・コルセアーズに入団しているので既にご存じの方もいるだろう。

 

200㎝と長身だが、チームで登録されているポジションはPG/SG。「身長があってドリブルやシュートができるポール・ジョージ(クリッパーズ)のような選手になりたい」と言うように、ジェイコブスもボールを運び、スペースがあれば果敢にペイントエリアにアタック。ダンクを叩き込んだかと思えば、サウスポーから放つシュートはフォームが奇麗で、3位決定戦では3P4本を含む34得点、10リバウンド(いずれもチームハイ)という活躍を見せた。

 

 

試合を見ていて特に印象に残ったのが、コート上を移動するときの動きだ。足が長く1歩のストライドが大きいため、リラックスして走っているだけなのにスピードがある。ドレッドヘアをなびかせてコートを駆け巡る姿は存在感抜群だ。それでいてインタビューするとシャイで、口数は少ない。

 

特別指定選手として横浜でプレーする姿を見たいところだが、本人は「トップチームで練習したり試合に行けるのはうれしいですが、もっとちゃんとオフェンスやディフェンスができる選手になってユースチームで活躍したいです。今回の3位という結果を見ても、自分の活躍がまだまだ足りないと思っています」と現状をしっかりと自己分析。この自分への厳しさが、さらなる成長につながることは間違いない。

 

取材・文〇髙木希武(月刊バスケットボール)

写真〇山岡邦彦



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