月刊バスケットボール5月号

MORE

2021.11.11

ニューメキシコ州立大学のPG志田 萌がNCAA DIデビュー戦で20分出場、3得点、0ターンオーバーの活躍

 全米の短期大学の中で強豪として知られるサウスジョージア・テクニカル・カレッジ(SGTC)から、ニューメキシコ州立大学に転入したポイントガードの志田 萌が、日本時間11月10日(北米時間9日)に行われたウエスタンニューメキシコ大学との2021-22シーズン開幕初戦でNCAAディビジョンIデビューを果たした。1,388人のファンが詰めかけたホームアリーナのパンアメリカン・センターで、チームは94-40と圧倒的な勝利。志田は3得点、1リバウンド、1スティールを記録した。


志田の初登場は第1Q残り4分39秒。すぐにスタッツとして残る活躍はなかったが、後半に入って第3Qにまずはスティールを記録し、第4Q半ばにはフリースローで初得点。さらにその後、ディフェンス・リバウンドとレイアップによる2得点を加えた。


また、出場時間が19分43秒でターンオーバーがゼロ。これはスターティングガードのメラニー・イスベルの20分17秒に次いでチームで2番目に長くコートに立った中で、チームを率いるブルーク・アトキンソンHCを喜ばせたに違いない。


志田のユニークな留学経路と短大での実績


北海道旭川市出身の志田は、旭川南高校3年生時にインターハイ予選の旭川支部予選会でベスト5に選出された記録は見つかるものの、国内でプレーしている間は知る人ぞ知る存在だった。NCAAディビジョンIでプレーすることを夢見て留学を検討し、IMGアカデミーを経て入学したSGTCでポテンシャルの高さを示したことで、ニューメキシコ州大からの勧誘を受けるに至った。


志田はSGTCでの最初のシーズンとなった2019-20シーズンに、30勝2敗の好成績を残したチームでアメリカにおける実戦経験を積んだ。この時点では際立った個人成績を残していたわけではなかったが、翌2020-21シーズンには、スターティングガードとしてチームを22勝4敗の成績とNJCAAトーナメント出場に導いた。個人としても平均28.2分出場して11.7得点、3.4リバウンド、4.2アシスト、1.9スティールという成績でNJCAAのオールアメリカン・セカンドチーム選出の栄誉を手にしている。

 

 ただしニューメキシコ州大への転入は2020年11月の時点で発表されている。つまり、華々しい活躍より以前に、志田の実力はすでに評価を得ていたのだ。


アトキンソンHCは志田の転入発表(NLI[ナショナルレターオブインテント=入学・転入の意向を確認する公式の書面]へのサインの発表)の際、「彼女(志田)は真のポイントガードであり、コート上のリーダーです。些細なことすべてをしっかりやってくれます(She's a true point guard in that she's a real leader on the court and does all the little things well)」と志田に対する期待を言葉にした。ニューメキシコ州大での初戦の出来は、その資質を指揮官の目前で証明したような試合だったかもしれない。


農業・工芸を学ぶ教育機関から発展した大学であることからアギーズ(Agricultureの短縮・複数形のAggies)をニックネームとするニューメキシコ州大は、西海岸と中部の13大学が加盟するウエスタン・アスレティック・カンファレンスに所属している。同カンファレンスの公式サイトで公表されているプレシーズンの予想では、その13チーム中の6位。しかし、志田の頑張りがこの予想覆し、アギーズを上位進出に導く可能性は十分にあるだろう。

 

 好スタートを切ったアギーズの次戦は、インカーネート・ワード大学との日本時間11月14日(日=北米時間13日[土])の試合だ。


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP