月刊バスケットボール5月号

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2021.10.02

【速報】FIBA女子アジアカップ2021、中国代表が決勝に進出 - 準決勝第1試合レポート

韓国代表との準決勝で20得点を挙げたリー ユェル、身長は200cmある(写真/©fiba.asiacup2021)

 

 アンマンで開催されているFIBA女子アジアカップ2021は、10月2日に準決勝が行われており、第1試合で中国代表が韓国代表を93-69で破り、翌日の決勝戦進出を決めた。韓国代表は、同日行われる3位決定戦に進む。

 

FIBA女子アジアカップ2021準決勝第1試合結果

中国93-69韓国
中国 93(23 27 22 21)
韓国 69(09 16 18 26)


試合の流れは序盤からやや一方的となったが、その要因は中国代表の高さを生かしたリバウンディング。試合を通じて中国はこの項目で52-24と圧倒的に優位に立ったが、特に大量リードを築いた前半は32-10(オフェンス・リバウンドでは13-2)で、セカンドチャンスからも次々と得点を重ねた。

 

 韓国代表は、前半中国代表に3Pショット成功を1本も許さなかったのは良かったが、形としてはアウトサイドの脅威には対抗できたものの、その分インサイドを支配されすぎてしまった。この点について、韓国代表のジュン スンミンHCは試合後の会見で「ハーフタイムに、もっとスピードを使ってリバウンドを頑張らないと、と話しました。後半は良くなりましたね」と語っていた。


ジュンHCはこの試合で、今大会初めて185cmの長身シューティングガード、パク ジヒュンをスターターに起用していた。21歳の有望株に準決勝のスターターという大役を任せたことについて、「彼女は韓国の将来を背負うスター。国際経験を積ませたかったし、思い切りよくやってもらえればそれでよいと思っていました。パク自身、期待に応えようとしてくれていたことが見えてうれしかったです」と話していたが、高さ対策ももちろん頭にあっただろう。


しかし中国の高さは、非常にわかりやすい武器であり、韓国代表にとってこの日は大きすぎる壁となっていた。身長200cmのリー ユェルが20得点(フィールドゴール8/11)に12リバウンド、最長身205cmのハン シューが10得点に8リバウンド、190cmで柔軟性の高いプレーを見せるパワーフォワードのファン シジンが16得点(フィールドゴール7/9、3Pショット2/3)に5リバウンド、3アシスト…。どのプレーヤーもまんべんなく活躍していた。


その上、長身プレーヤーだけではない深みのあるロスターが脅威を高める。21歳で170cmのポイントガード、リー・ユァンは、この準決勝まで4試合で3Pショットが8本中6本成功の成功率75%。また、同じポジションでひと回り大きい180cmのワン・シユも、この日の準決勝で9得点、8アシスト、6リバウンドとバランスの良い貢献をもたらしている。ワンは後輩の司令塔であるリーについて、「勇敢なプレーぶりですね」と話し、若手の成長を高く評価していた。

 

21歳のポイントガード、リー・ユァンは前の試合まで3Pショット5本すべてを成功させていた(写真/©fiba.asiacup2021)


もし日本代表が決勝進出を果たせば、高さを背景にバックコートも思い切りよくプレーしてくる中国が相手となる。対応すべき警戒点は明確に見えているのかもしれないが、その実践が容易ではないことが、韓国代表の戦いぶりからも感じられる。

 

 とはいえ、いずれにしてもその前に乗り越えなければならない、フィジカルなオーストラリア代表との準決勝。ベテランのサミ・ウィットコムが率いる強敵を相手に、いよいよ今大会5連覇をかけた戦いは大きな山場に向かっていく。


取材・文/柴田 健(月バス.com1)
(月刊バスケットボール)



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