月刊バスケットボール8月号

MORE

2021.09.26

安間志織、30得点越えパフォーマンスで勝利に貢献 - ドイツ女子ブンデスリーガ初戦速報

 ドイツ国内リーグ女子ブンデスリーガのアイスフォーゲルUSCフライベルクに2021-22シーズンから移籍した安間志織が、キャピトル・バスキャッツ・デュッセルドルフをホームに迎えて日本時間9月26日(ドイツ時間25日)に行われたリーグ開幕初戦でデビュー。スターターとして登場し、公式データを確認できていない時点ながら手元集計では32得点、3アシスト、1リバウンド、1スティールの大活躍で、84-70の勝利に大きく貢献した。


ハラルド・ヤンソンHC率いるアイスフォーゲルは、スイッチを多用するマンツーマンディフェンスと、安間を起点とする素早いトランジションオフェンスでリズムを作った。安間は序盤から体が良く動き、攻守にアグレッシブなプレーぶり。2-2の同点からロングツーでリーグ戦初得点を記録すると、その後もトランジションでフィニッシュにつながるナイスパスや、小気味よいディフェンスでボールを奪い速攻の起点になるなど、序盤の17-4のランを演出した。


安間がベンチに下がった後、クォーターを締めくくる約2分間にディフェンスが緩み19-17まで追い上げられたが、第2Qには6得点目となるプルアップ・ジャンパーで23-19とリードを再び広げると、サイドラインを割るかと思われたルーズボールに飛びつくハッスルプレーを見せたかと思えば、フロントラインのプレーヤーとの連係でトラップを仕掛けターンオーバーを誘うなど、アグレッシブなプレーでチームをリードした。クォーターの残り6分20秒過ぎには、1対1の状況から8得点目となるミドルジャンパーを沈め再びリードを29-19と2ケタに戻す。WリーグプレーオフMVPの貫録を十分に感じさせる安間の落ち着いたリードが光ったアイスフォーゲルは、前半を41-28と13点差で終えた。


後半は、オフェンス・リバウンドを頑張った相手の奮闘になかなか突き放すことができなかったが、その中でも決定的な仕事をしたのは安間だった。第3Qのチーム初得点をハイポスト付近からのランニング・フローターで決め自身の得点も10得点に到達させると、一桁点差に詰められた場面ではブンデスリーガで自身初となる3Pショットで54-42と再度引き離し、さらに速攻からのドライブで56-42とリードを広げた。第4Qに入ってからも、58-50と詰め寄られた場面で3Pショットに対するファウルでフリースローを得、しっかり3本成功させ61-50。さらにその後この日2本目の3Pショットを決めて64-50とし、相手の反撃を阻んだ。


残り2分を迎え74-69と追い上げられていた場面でも、速攻からの得点に絡み、味方の3Pショットをアシストを出し、最後はトップからのディープスリーと冷静なクラッチフリースロー2本で試合を締めくくった。

 

 安間の緩急の利いた1対1は非常に有効で、フィジカル面で強さや高さのあるディフェンダーに対しても、小気味よいクロスオーバーが再三相手をオフバランスにした。ディフェンス面でも、ローテーションの速さ、ボールプレッシャーが相手のオフェンスを苦しめた。しかし一番光ったのはリーダーシップ。自らが最年長の一人というアイスフォーゲルで、プレーが止まるたびにハドルでチームメイトに声をかけ、よく話す姿は、経験とコミュニケーション能力の高さを感じさせた。


試合を終えた後はスタッフに笑顔で胴上げされるシーンも見られ、チーム内での存在感が随所に感じられたデビュー戦。開幕前のインタビューで、「日本人というだけで注目してもらえると思うのですが、何かリーグにそれ以上のインパクトを残せたら」と意欲を語っていた安間だが、スタートは“上々”という以上の手応えではないだろうか。今後がますます楽しみになる活躍ぶりだった。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



PICK UP