月刊バスケットボール5月号

日本代表

2021.09.04

車いすバスケ女子日本代表、今後につながる6位フィニッシュ

 東京2020パラリンピックの女子車いすバスケットボールで、日本代表が今大会最終戦となる5・6位決定戦に臨んだ。予選ラウンドで一度対戦し、35-61で敗れたカナダ代表が相手だったが、この試合でも序第1Qに4-22と大きく差をつけられたことが響き、49-68で敗れた。

 

5・6位決定戦(9月3日、有明アリーナ)
カナダ 68(22 16 19 11)
日本 49(04 13 14 18)


最終的な点差は19。試合開始からの8連続失点と、その後網本麻里(持ち点4.5)と柳本あまね(2.5)がゴールを決め4-10とした後の12連続失点が最後まで響いた形だ。しかし、第2Q以降の日本代表は、徐々に点差を開けられながらも北田千尋(持ち点4.5)を中心に得点を重ね、意地を見せた。特に、31-64と点差が33まで開いた第4Q2分半過ぎ以降は北田が8得点、網本と柳本が4得点、萩野真世(1.5)も2得点を記録し、18-4のランで今大会を締めくくった。この時間帯には北間優衣(1.0)のスティール2本も光った。

 

 日本代表は北田が20得点、8リバウンド、4アシスト、4スティール、2ブロックと大活躍。柳本、網本に加え藤井郁美(4.0)が6得点で北田に続いた。藤井はリバウンドとアシストもそれぞれ7本ずつ記録している。

 

 女子日本代表はこれで今大会の全日程を終了。最終順位は6位となった。念願のメダルには届かなかったが、自国開催の今大会で、ベテラン勢の活躍に加え北間や柳本ら若手が力を発揮したことの意義は非常に大きい。

 

 女子の大会は、9月4日の決勝戦と3位決定戦がまだ残っているが、ここまでのスタッツランキングを見ると、12人全員で戦える層の厚みを見せた日本代表に非常に高いポテンシャルがあることが感じられる。現時点では、平均スティール本数6.8は出場10チーム中堂々1位であり、ベンチプレーヤーの得点20.5が2位。ディフェンス面でのアクティブさと、個の力だけではなく個のつながりで戦うスタイルが垣間見えるデータだ(個人としても、スティール部門で北田の1試合平均1.8本が3位、アシスト部門で網本の5.5本が9位、3P成功数でも北田が0.3本で8位タイと上位に入っている)。

 

 また、フリースロー成功率60.5%、速攻での1試合平均8.2得点は3位、ターンオーバーからの得点12.2も3位タイで、3P成功数0.7本も4位だ。ショットメイクには改善の余地があるだろうが、厳しいディフェンスから素早いトランジションで攻めあがり得点につなげる戦術を、一定以上のレベルでできていたことがわかる。

 

 オーストラリア代表、イギリス代表に対する連勝で始まった今大会は、次世代のさらなる飛躍につながる華々しいスタート。今後の競技普及と強化の道筋を、明るい光で照らした6位フィニッシュだった。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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