月刊バスケットボール1月号

Bリーグ

2021.09.25

【ロックアイス×千葉ジェッツ】千葉から世界へ/ROCK ICE® BASE ストーリー Vol.1

 

B1の2020-21シーズンにおいて、念願だったリーグ初制覇を成し遂げた千葉ジェッツ。チャンピオンシップ・ランを可能にした大きな要因の一つは、チームとしての確固たる練習拠点を手にした事実だった。『ROCK ICE® BASE/ロックアイスベース』と名付けられたこの施設を建築したのは、ジェッツ自体ではなく、コンビニやスーパーでおなじみの袋詰め氷製品『ロックアイス®』を製造・販売している小久保製氷冷蔵株式会社という企業だ。自身熱血ジェッツブースターであり、パートナー企業の社長でもある同社の小久保龍平氏と、千葉ジェッツの面々に、ロックアイスベースでの面会を申し込んだ。

 

Vol.2『小久保社長×#15藤永佳昭×#31原 修太×#14佐藤卓磨 対談』から読む

Vol.3『千葉ジェッツ“プレーヤー&スタッフ”ボイス』から読む

 

 

小久保龍平(小久保製氷冷蔵株式会社 代表取締役社長)インタビュー

 

――千葉ジェッツとのパートナーシップのきっかけはどんなものだったのですか?

小久保 正直、私はバスケをほとんど知りませんでした。スラムダンクを読んでいたくらいで。

 きっかけの一つは、飲料用がメインであったロックアイスの新しい需要開拓を会社として考え、スポーツマーケットにアクションを起こし始めていたことでした。マラソン大会でアイシング用に配布することから始め、次に地元千葉県に本拠地があるプロスポーツの球団を応援しよう!と。スポーツとのつながりを作っていく中で、誘われて試合を見に行ったのがはじまりです。

 Bリーグ発足初年度にバスケをまったくわからないまま家族と観に行きました。屋内で天候に左右されることも少ないですし、時間がギュッと凝縮されて展開が速く、子供や女性を飽きさせない演出も多くて家族そろってその魅力に引き寄せられました。ロックアイスの新たな可能性、千葉ジェッツを応援することで千葉を盛り上げたい、そういう思いに至り、現在の取り組みに繋がりました。

 

――実際に支援してみて、どのような点でその価値や喜びを感じられていますか?

小久保 千葉ジェッツのブースターはものすごく熱量があって、皆さん真っすぐに同じ方向を向いて応援しているのが伝わってきます。そこに企業として応援している価値があります。

 気持ちがバラバラなブースターにロックアイスをアピールしても、受ける人と受けない人が出てしまうものです。

 皆さんが真っすぐ応援しているジェッツを一緒になって応援することで、皆さんが「よし、やっぱりロックアイスにしよう」と思ってくださるのはとても重要ですね。また、固定概念に捉われないというジェッツのチームカラーも、我々の企業としてのチャレンジする姿勢に一致しています。そこには応援の価値があるなと感じました。

 

 

――昨シーズンまで、なかなかBリーグで勝ちきれませんでした。どんな思いでしたか?

小久保 当時から、練習環境が整っていないことが一番でした。そういう環境が当たり前のライバルはやはり強い。そんな中であと一歩の位置まで勝ち上れたジェッツはすごいなと思いつつ、専用の練習場がないことが最後の最後に届かない要因になるのでは…と。

 というより、実は当然あるものだと思っていたんですよ。ところが小野龍猛選手(2020年に信州ブレイブウォリアーズに移籍。2021-22シーズンから富山グラウジーズ所属)と話していて、「龍平さん、ウチはまだなんですよ」と言うので、「具体的にどうやっているの?」と聞くと「午前中は津田沼でウエイトをやって、その後クルマで移動する途中で昼食を済ませ、船アリでチーム練習して。市営なので時間も限られてますしね」というわけです。

 よくそれで勝てたなぁ、と返したら龍猛選手は「スゴいでしょ、ウチら!」なんて言うもので、「それなら練習場があればもっと強くなるじゃないか」という流れになり、「そりゃあなりますとも! だから龍平さん、作っちゃえばいいじゃないですか」と。彼らしいですよね(笑) でも、これは本当に練習場があったら、最後の一歩が届くんだろうなと思いました。

 

――最終的に建設を決めた決め手はどんなことでしたか?

小久保 当時静岡県三島市に新工場を建設中で、建設会社へ相談がしやすかったことがその一つ。また、ロックアイス生誕の地であるこの土地の有効活用を、ちょうどその頃考えていたのも大きな要因でした。父(現会長の小久保 歓氏)も私も思い入れが強く、例えば将来この場所が飲食店などになって工場ではなくなって「昔あそこでロックアイスを作ってたんだよ」と言われるよりも、何らかの形でロックアイスの名を残したい気持ちがありました。ですので、ロックアイスの名を残す『ロックアイスベース』建築の構想に、会長も二つ返事で理解を示してくれました。

 たぶん、この土地が空いていたのも縁だったのでしょうね。もしも工場が稼動していたら、それを建て替えてまでとはならなかったでしょうし、他の企画で建築が始まっていたら実現しなかったでしょう。ロックアイスベースは、いろんな要素が噛み合って生まれた施設です。

 

千葉ジェッツ専用ロッカールーム

 

――当時千葉ジェッツの社長だった島田慎二さん(現Bリーグチェアマン)とはどんなお話をされたのですか?

小久保 場所が八千代市なので、千葉ジェッツふなばしとしてはひっかかりますよね。島田さんにもそんな感覚があったと思います。

 ただ、島田社長も小野選手と同じように「専用の練習場さえ確保できれば絶対にテッペンを取れるんですよ」と言うんです。私もそう思うと伝えていました。たぶん島田さんは、地名にこだわるよりもテッペンを取るのが先だと感じたと思います。しかもここは、八千代市といっても船アリから目と鼻の先ですから、そんなことも影響したかもしれませんね。

 

――小久保製氷冷蔵株式会社の社是には、「和と誠の心、そして創造、開拓、 奉仕の精神で正道を歩もう」とあります。また、企業理念として継続と次世代への貢献を掲げていますね。ロックアイスベース建設にあたってもそれを意識されたのでしょうか?

小久保 実際そういった意識の表れとして、ここでロックアイスの製造をスタートしたときの井戸の位置を示すプレートを貼ってあるんです。仮に今後環境が変わって、今の八千代工場が移転するようなことになっても、この地がスタートだったとわかるようにと。この地にロックアイスベースを作れたことには、企業として大きな意味があります。

 

敷地内にあるロックアイス製造スタート時の井戸の位置を示すプレート

 

――ロックアイスベースでさまざまな夢を追いかけられそうですね。

小久保 そうですね。チームとしては、夢というよりは目標としてリーグ連覇と天皇杯奪還があります。また、今後のリーグ構想もありますが、日本でテッペンを取ったんだから、次はアジアでとも思います。

 ゆくゆくはジェッツで活躍した選手がNBAにいくようなことになれば素晴らしいことだと思います。そうしたら、ロックアイスベースをものすごく自慢してもらえますしね!

 先日、練習に来たユースの子たち何人かにも会いました。「この中からスターが生まれるんだね」と声をかけたら、皆元気に「頑張ります!」と返してくれました。彼らがスターになったとき、「ロックアイスベースで練習して夢を叶えました」なんて言ってもらえたら最高ですよね。

 子どもたちからしたら、やっぱり最高らしいんです。エアコンの効いた専用練習場でロッカーもあって、シャワーを浴びて帰れますから。有望な子たちばかりなので、頑張ってほしいです。今後、ここで育った若者がプロになるという物語が始まるなんて、夢がありますよ。人が育つ環境を作れたことを誇らしく思います。今後が楽しみでなりません。

 

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[ROCK ICE® BASE/ロックアイスベース]

 

小久保製氷冷蔵株式会社が創業の地である千葉県八千代市大和田新田に建築した、千葉ジェッツの専用練習場施設および同社グループの従業員福利厚生施設。自社の看板商品『ロックアイス®』の名を残し、将来に向けた夢を育む基地(ベース)というコンセプトをそのまま形にした施設で、2021年3月末に稼働した。フルコート一面、サブコートなら二面取れるフロアは、トレーニングルーム、ケアルーム、食堂とドア一枚で行き来できる配置。上階には、ワイド画面のモニターで映像研究しながらミーティングも可能なジェッツ専用ロッカールーム、ロックアイスでアイシングできるアイスバスや仮眠室など、プレーヤーが帰りたくなくなるほど充実した施設が備わっている。

 

 

(月刊バスケットボール)



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