月刊バスケットボール5月号

3年生の意地を見せた大阪薫英女学院の宮城楽子「プレーで返すしかないと思って戦った」【インターハイ2021】

 大阪薫英女学院と桜花学園によるインターハイ決勝戦は、サイズと決定力の差を見せつけた桜花学園が94-65で薫英を破り、優勝を飾った。

 

 サイズのない薫英にとっては前から当たる激しいディフェンスからアップテンポなバスケットに持ち込み、「やられたらやり返す」(安藤香織コーチ)ことで勝機を見いだしたい一戦となった。

 

 薫英は2年生キャプテンの#4都野七海をはじめ、スタメンのうち3人が下級生の若いチームだ。3年生の#5宮城楽子と#8佐藤双羽はプレー面でチームを引っ張ることが求められる立場で、下級生を支える屋台骨としての立ち位置にある。

 

 決勝戦では岐阜女との準決勝までに自由自在に得点を積み上げた#4都野は徹底マークに遭うことが予想されており、だからこそ、3年生の真価が問われる試合となった。

 

 

 

 序盤からチームを引っ張ったのは#5宮城だった。桜花学園のディフェンスの前になかなかスコアが奪えない中、7分25秒にミドルシュートで先制点を挙げると、その後も3Pシュート、ドライブからのレイアップと次々に得点を重ねた。

 

 予想通り徹底マークに遭った#4都野に代わり、スコアリングをけん引したのだ。「2年生にキャプテンを任せている分、プレーで返すしかないと思っていました。チームに恩を返すにはどうすればいいのかと考えると、自分がとにかくリングに攻め続けるという意識を常に持って戦っていました」と#5宮城。

 

 この試合ではトータル21得点で、#4都野と並ぶチームハイのスコアをマーク。昨冬の桜花学園戦ではことごとくアウトサイドがリングに嫌われたが、今大会では「インターハイに向けてシューティングを何百本も仲間にフォローしてもらいながらやってきたので、その成果が少しは出て、決められたのは自信になった」と徐々に課題も克服してきたところだ。

 

 それでも、安藤コーチは「3年生はよくやってくれた」としつつ、「新チーム始まってから2年生がよく頑張ってチーム引っ張ってくれました。3年生は頼りない状態の中で(2年生に)付いてきたという感じだったので。この大会で意地が出てきたとは思うんですけど、冬に向けてもう少ししっかりしてもらわないと合格ではないと思います」と、厳しい評価を下した。

 

下級生主体だからこそ、ここぞという場面では3年生の役割が求められる

 

 それは3年生の力を信じているからこそのもので、#5宮城自身も十分に理解しているはずだ。

 

 冬に向けて「課題は決定力の面。桜花学園さんが決め続けてきて、自分たちは全然決められませんでした。そこをウインターカップまでにもっと決められるようになっていきたい」と#5宮城。

 

 ウインターカップは3年生にとって正真正銘、高校最後の大会となる。インターハイでは意地を見せてチームを引っ張った#5宮城だが、冬にはもうひと回りもふた回りも大きく成長することが求められる。

 

「やられたらやり返す」のが今年の薫英のスタイル。#5宮城も夏の決勝でやられた経験を、冬にやり返す気概で鍛錬を重ねていくことだろう。

 

写真/石塚康隆、松村健人

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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