月刊バスケットボール5月号

「自分たちらしく」戦った大阪薫英女学院が、岐阜女に1点差で逆転勝利!【インターハイ2021】

 

「『やられてもやり返そう』という気持ちで戦っていました」(#4都野七海)

 

 その言葉がまさにぴったり来るような、執念の逆転劇だった。大阪薫英女学院(大阪①)岐阜女(岐阜)の準決勝、4Q残り3分半の時点で8点ビハインドを負い、絶体絶命の窮地に陥っていたのは薫英。だが#4都野の3Pシュート、その後すぐにスティールして#6熊谷のどかがバスケットカウント獲得と、僅か10秒ほどの間に一気に6点稼いで追い上げる。その後は1点を争う緊迫した展開となり、岐阜女が決めれば薫英も決め返す。残り50秒には、#5宮城楽子の3Pシュートで薫英がついに逆転。残り時間も1点のリードを守り切り、57−56で激闘に終止符を打った。

 

 高さで勝る岐阜女に徹底してインサイドを突かれ、苦しい時間帯は長かった。それでも我慢して再び盛り返すことができたのは、#4都野が「ベンチでもコートの中でも、みんなでずっと『相手のペースに合わせないで、自分たちらしくプレーしよう』と声をかけ合ってやっていました」と言うように、最後まで心を折らずに戦う姿勢を貫いたからだろう。

 

 

 今年の薫英が言う“自分たちらしさ”とは、足を使った激しいディフェンスとアップテンポなバスケット。県内では大きい方に入るサイズも、全国上位を相手にすれば「ほぼ全員がミスマッチ」(安藤コーチ)となり、特に留学生などビッグマンに対してはある程度の失点はやむを得ない。だからこそ「点を取られたら取り返し続ける」という開き直りで、相手を自分たちの土俵に引きずり込んで主導権を握るのだ。

 

 この準決勝も、「岐阜女子さんはハーフコートのバスケット。途中そのペースになってしまった時間帯はありましたが、自分たちのスピーディーなバスケットに持ち込めればチャンスは十分あると思っていました」と安藤コーチ。ロースコアな展開は岐阜女ペースの試合と言えたが、12‐1と先手を打った1Qの出だし、そして猛追を見せた4Q残り3分など、要所要所で薫英のアップテンポなバスケットが試合を支配していた。

 

 続く決勝は昨冬女王・桜花学園(愛知)との対戦になった。薫英にとっては2018年のウインターカップ以来となるファイナルで、今の選手たちは初めての舞台。チャレンジャーとしてぶつかるだけだろう。

 

 

 振り返ればノーシードで1回戦から登場した今大会、2回戦では四国1位の高知中央(高知)、3回戦では関東1位の昭和学院(千葉)と、強敵との試合を勝ち上がりながら成長を遂げてきた。スタメンに#4都野、#6熊谷、#11島袋椛と下級生が3人名を連ねることもあって、薫英はまだまだ伸び盛り。もちろん連戦の疲れはあるだろうが、昨日より今日、今日より明日と、これまでの試合を糧に決勝でも最高のパフォーマンスを見せたいところだ。

 

「もうここまで来たら、当たって砕けろではないですけど(笑)。疲れているとは思いますが、残り40分間しっかり走り回ってもらいたい。うちにはそれしかないので」と安藤コーチ。#4都野も「40分間、自分たちらしく、思い切りプレーしたいです」と意気込んでいた。

 

取材・文/中村麻衣子

写真/松村健人

 

(月刊バスケットボール)



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