月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2017.10.10

【B.STARS Vol.3-①】岸本隆一(琉球ゴールデンキングス)

チームを引っ張る琉球の“顔”

安定感を身に付け真のリーダーに!

 

琉球ゴールデンキングス#14/176cm/PG・SG/1990年5月17日生まれ/大東文化大

 

 

 

新人王&プレイオフMVP

実力を証明した“超新星”

 

 

 「見ていて、わくわくする選手になりたいんですよね。ボールを持ったら、“何か起きるんじゃないか”って思わせるような選手に」

 

 少年のように目を輝かせた岸本が、こう語ったのは今から5年前、彼がまだ大学生の頃だ。当時の岸本は、大東文化大のキャプテンであり絶対的エース。176cmと上背はないものの、沖縄特有のリズムと抜群の得点力を誇り、大学4年の春には関東大学選手権で得点王と3P王をダブル受賞するなど、“見るものをわくわくさせる”プレイの片鱗を見せていた。

 

 それを最も象徴していたのが、2012年、学生最後のインカレ準々決勝だ。当時“絶対王者”と評された第1シードの青山学院大を相手に、最後まで諦めずに追いすがった大東文化大。中でも岸本の集中は凄まじく、ディフェンダーの大男たちを次々とかわしていく爽快なプレイで、会場中を味方に付けた。4Q残り1分、無情にも5つ目のファウルが宣告されて退場になったが、このとき観客席から自然発生的に割れんばかりの拍手が巻き起こった。涙ぐむ岸本がコートを出てベンチに座るまで、しばらく鳴り止まなかった温かい賞賛の拍手。それは、プレイで観客の心をつかむことができる、岸本のスター性が垣間見えた瞬間だったと言える。

 

 その魅力を、さらに開花させたのはプロ入り後。期待の“超新星”という呼び名をチームからもらい、鳴り物入りで地元の琉球に入団してからだ。「高校時代からキングスでプレイするのが夢だった」と、大学4年の冬(2013年1月)、アーリーエントリーでの入団を発表。徐々に出場時間を伸ばすと、その勝負強さを生かしてチームの起爆剤となり、主力となった翌2013‐14シーズンには新人王を受賞した。何より圧巻だったのが同シーズンのファイナルで、前日のカンファレンスファイナルではまさかの0得点に終わったが、翌日のファイナルでキャリアハイの34得点をたたき出し、見事bjリーグ制覇の立て役者となってプレイオフMVPを受賞した。

 

 当時の岸本は、注目のルーキーとは言え、実力未知数のまだ若い司令塔という見方をされることも多かった。それに対し岸本は「いつもほかのガードの先輩たちと比べられました。自分には自分の持ち味があると思っていたので、苦しく感じることもありました」と苦悩を明かしていたが、だからこそ優勝して「自分がコートに立つ意味を証明できたかなと思います」と喜びを語った。沖縄の名ガードの系譜を受け継ぐにふさわしい選手だということを、優勝、そして新人王&プレイオフMVPという結果で証明してみせたのだ。

 

(つづく)

 

▼月刊バスケットボール編集部員が語る“岸本隆一”のここに注目!!

https://sports.mb.softbank.jp/vod/player/14707?rc=cf_featured_basketball

 



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