月刊バスケットボール5月号

116点差の大敗から確かな成長を遂げた初出場・松徳学院【インターハイ2021】

 

 30‐146――。昨年のウインターカップ1回戦、初出場を果たした松徳学院(島根)は、後に優勝する桜花学園(愛知)に116点差を付けられる大敗を喫した。

 

 当時の松徳学院は、すでに3年生が夏に引退して1、2年生だけの下級生チーム。とはいえ松徳学院中出身で全中出場経験のある選手も多く、さらに指揮官はかつて松江商などを長年率いてきた指導歴40年以上の目次寿明コーチ(当時就任4年目)。全国への扉を初めてこじ開けるだけの、しっかりとした地力は持っていたのだ。

 

 それでも、女王の壁はあまりに厚かった。「桜花学園さんは完全に格上の相手でしたから、奇策を練って戦おうとするより、勝ち負け関係なく自分たちのやってきたことがどれだけのものか試す意味でぶつかりました。ただ、本当にほとんど通用しませんでしたね…(苦笑)」と当時の試合を振り返る目次コーチ。それまで留学生を相手にした経験がほとんどなかったこともあり、「ポストにいる大きい選手にボールを入れられたら一発で決められるという感じで、終始やられっぱなしでした」と#4今若羽菜。

 

 

 そこからこの半年間、松徳学院は再び全国舞台で自分たちの力を試そうと、さらなるレベルアップを図ってきた。コロナ禍で思うように練習試合を組めない中、少ない機会ではあったが県外の留学生を擁するチームとも練習試合をして対策を練った。「慣れていないと、最初は、留学生というだけで戸惑ってしまうのです。でも練習試合をすることで慣れてきましたし、ビッグマンへの戦術的な守り方も身に付いてきました」と目次コーチ。

 

 迎えた今大会では、初戦で高松南(香川)に競り勝ちうれしい全国初勝利。続く2回戦では留学生を擁する昭和学院(千葉)と対戦し、終始相手に主導権を握られて55‐91で敗れたものの、要所で好プレーも見せていた。特に留学生へのディフェンスや、臆することなくゴールへアタックし続けた姿勢は、昨年のウインターカップと比べて確実に成長。目次コーチは「まだまだ課題はありますが、ウインターカップから半年間かけてやってきたことは、ある程度できたと思います」と収穫を語る。

 

 今後に向けて「これまで、まずは島根県内で勝つためのバスケットをしてきましたが、それでは全国で通用しない。例えばうちは県内ではサイズのあるチームですが、全国に出れば小さいチームです。これからはもう少し、県で勝つことを考えながらも、全国で戦えるバスケットに取り組んでいければと思います」と目次コーチ。全国の地を踏むたびに、着実にステップアップしている松徳学院は、この冬さらに進化した姿を見せてくれるはずだ。

 

 なお、高校チームともよく一緒に練習しているという松徳学院中は、この夏の中国大会で優勝し、8月18日に開会式を迎える全中に出場する。先輩たちに負けじと、全国の大舞台で躍動できるか注目したい。

 

取材・文/中村麻衣子 写真/松村健人

 

(月刊バスケットボール)



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