月刊バスケットボール6月号

鎮西学院(長崎)が残り5.1秒の逆転劇で初出場初勝利!【インターハイ2021】

 

 インターハイ初出場の鎮西学院(長崎)と、2大会連続3回目の出場となる白鷗大足利(栃木)の対戦。まずリードしたのは経験値で勝る白鷗大足利で、手堅いディフェンスで鎮西学院のオフェンスの芽を摘むと、自らはチャンスを確実に生かしテンポよく得点を重ね序盤で7‐0とリードを奪う。

 

 しかし試合が進むにつれ、その雰囲気に徐々に慣れてきた鎮西学院。ゴール下の攻防から得点を奪うなど激しさとともに自分たちのリズムをつかみ、15‐18と僅差でこのQを終える。ただ、鎮西学院にとっては弱点もハッキリ見えたのがこの第1Qで、それはシュートの精度。大会前からチームの課題としていたが、その懸念がこの試合でも如実に表れ、特に2Pシュートにおいて試投数は白鷗大足利と比べて多いものの、成功率の低さが自らの戦いを苦しくしていた。2Qもその趨勢は変わらず、白鷗大足利に肉薄し、ときに逆転する場面もありながら、結局、白鷗大足利に27‐33と6点リードされた形で前半は終了となる。

 

鎮西学院白鷗大足利、ともにシュートの精度に苦しみつつ一つのボールを奪い合う激闘を繰り広げた

 

 それでも3Qに入ると、身長175cmの#9城風華のゴール下、#7石橋恵衣の3Pシュートや鋭いドライブなどで加点した鎮西学院。また、チーム全体としてもパス回しや1対1で前半には見られなかった落ち着いた対応を見せ、Q単体では16‐10と初めてリード。総得点でも43‐43とタイに追いつき4Qへと突入する。

 

 そして迎えた運命の最終Q。序盤は白鷗大足利が#63丸山陽加の2Pシュート、#24高橋梨奈のドライブなどで加点し49‐45と再びリードを奪うが、鎮西学院も#9城のゴール下からの連続得点で同点に追いつくと、その後は一進一退の攻防に。そして残り5.1秒、59‐58と白鷗大足利がリードした場面で、鎮西学院の#4原愛翔から#9城、そして#11高見桃果へと託されたボールは、ゴール下からリングへと導かれ、これが決勝点となった。

 

決勝点となるボールをつないだ#4原、#9城、#11高見

 

 試合後、白鷗大足利の香山孝之コーチは、「シュートがあれだけ入らないというのは集中力の不足なのか、私のコンディショニングの持っていき方の失敗なのか…」と、鎮西学院にも増してシュートの精度に苦しんでいたことを吐露しつつ、「うちのチームをよく研究していたのではないかと思います」と相手を称えた。

 

 一方、見事に初出場初勝利を挙げた鎮西学院のキャプテン#4原は、「コーチからは、1点差、2点差の緊張感を楽しんできなさいと言われました。前半から継続してきたリバウンドやルーズボールを頑張ることが後半に生かされて、最後は勝てたと思います」と、勝利を手繰り寄せた要因を振り返った。そんな選手たちを「40分間、最後まで我慢して戦った結果」と称賛したのは内野夏実コーチ。また、「うちはエースがいないので、一人一人がチャンスをしっかりものにできるよう、頑張ってみんなでつないだボールだったと思います」とチーム一丸となってつかみとった勝利であることを強調。そして最後に、「まず初戦を突破して、(2回戦で)第1シードの岐阜女さんとできるように準備をしてきました。明日(11日)も自分たちのバスケットができるように頑張りたいと思います」と次戦への思いを語ってくれた。

 

前半から頑張ってきたリバウンドやルーズボールが最後の勝利を手繰り寄せたと勝因を振り返った鎮西学院のキャプテン原

 

取材・文/村山純一 写真/石塚康隆

 

(月刊バスケットボール)



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