月刊バスケットボール5月号

地元・帝京長岡が準決勝へ、“新たな歴史”に挑む挑戦が始まる!【インターハイ2021】

 帝京長岡にとって、準決勝は未だ越えられていない高い高い壁だ。

 

 初の4強入りを果たした2015年のインターハイ準決勝では八村塁擁する明成(現・仙台大明成)に完敗(56-73)し、17年のインターハイ準決勝では福岡大附大濠にダブルオーバータイムの末に敗戦(87-89)。ウインターカップでも17年は3位、18年は4位とあと一歩決勝の舞台には届かずにいる。

 

 そんな背景がある中、地元開催の今大会では準々決勝で前橋育英と対戦。試合は序盤から帝京長岡のペースで進む。#7島倉欧佑のジャンパーでファーストポイントを挙げると、インサイドの高さで分があるセンターの#14コネ・ボウゴウジィ・デット・ハマードが冷静にゴール下で得点を重ねていく。対する前橋育英も#7齋藤優大が3Pシュートを軽快に射抜き、点の取り合いを演じた。

 

 しかし、ここから試合は一気に帝京長岡のリズムに傾く。途中出場の#11大月舜が切れのあるドライブで前橋育英のペイントをこじ開け、流れを引き寄せると1Qで17点のリード(29-12)。2Qには一時13点差まで迫られるシーンがあったが、その度に#7島倉、#4田中空の3Pや#14コネのゴール下で加点し、主導権を握らせなかった。後半にはフィジカルなディフェンスも機能し始め、前橋育英の得点が完全に停滞。3Q終了時点で77-47とし、最終スコアは100-55。盤石の強さで準決勝進出を決めた。

 

冷静に得点を積み重ねた#7島倉

 

 柴田勲コーチは「昨日(vs.柳ヶ浦)は内容が良くなかったのでミーティングをして、今日はよく集中してコネを中心に最後まで粘ってくれたと思います。昨日はチームが一つになっていない、例えばインサイドでコネがシールしているときにボールが入らないで、そうするとコネがタンパクになったり逆にコネがボールを持っているときに外にボールが出なかったり、そういうところの些細なことがうまくいかなかったです。でも、今日はしっかりと戦い切ることができました」と試合を総括。

 

 前橋育英がオールコートで当たってきたときも、ゾーンディフェンスを展開してきたときも冷静にボールをシェアし、自分たちのストロングポイントをしっかりと見極めて戦い抜けたことは、明日への貴重な収穫だろう。

 

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 特に、#14コネについては「だいぶ昨日の試合でメンタルダウンしていたので、(試合後には)僕とコネと島倉とアニエル(ニシンバ・ナニユラ・アニエル)の4人で歩いて学校まで帰って(笑)、そういうところでも気持ちをリフレッシュして、今日は良くなった」と、チームでいる時間を増やすことで、#14コネのメンタル面での回復とともに柳ヶ浦戦で浮き彫りになったチームとしてのまとまりも少しずつ高まった。

 

この試合ではメンタル的にも安定して活躍した#14コネ

 

 明日は仙台大明成との対戦となる。「シュートもディフェンスもそうですけど、何しろ明日はリバウンドのところが勝負です。相手の高さにどれくらい通用するのかを考えていきます」と柴田コーチ。準決勝の壁は今回も高いものになるはずだ。「なかなかそこ(ベスト4)に入ってくるチームは手強いし洗練されています。高さはもちろん、フィジカルもテクニックも、良いチームが多いので手強いところですね。子どもたちにも今年は必ず“新しい歴史”を一緒に作ろうと話しています」(柴田コーチ)。

 

 何度も跳ね返されてきた準決勝の壁。こんな言葉は存在しないかもしれないが帝京長岡としては5度目の正直で、地元インターハイで、“新しい歴史”を作りたいところだ。

 

写真/松村健人

文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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