月刊バスケットボール5月号
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渡邊 雄太
SF/206 cm
トロント・ラプターズ[/caption]

 

[東京2020 男子日本代表の横顔]

得点、リバウンド、ディフェンスの全てを支える代表のキャプテン

 

 2018年、田臥勇太(宇都宮ブレックス)以来、日本人2人目のNBAプレーヤーとなった渡邊。昨シーズン後にフリーエージェントとなった今シーズンは、無保証の最低年俸契約(エグジビット10)から始まり、NBA傘下のGリーグチームと両方でプレーできる2ウェイ契約を経て、4月にトロント・ラプターズと本契約を結んだ。残念ながらプレーオフへの出場はならなかったが、自身の大きく成長したプレーを周囲にアピールできたことは間違いない。

 身長206cmの渡邊は、ウイングスパンが208cm、指高267cmとNBAの同程度のスーパースターたちと比較してもそん色ない恵まれたサイズがある。また、206cmながら3Pシュートやドライブを決めるユーティリティープレーヤー(1人で複数のポジションができる)という特徴を持つ。ちなみに、ロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージは203cmで、ウイングスパン212cm、指高272cmと、渡邊に近いサイズだ。

 尽誠学園高入学までは小さかった渡邊は(中2のときは174cm)、ボールハンドリングに優れたプレーヤーだった。だが、高校で急激に身長が伸び(高3のときは197cm)、卒業後にNCAAディビジョン1のジョージ・ワシントン大に進むとチームの中心プレーヤーとして活躍。得点やリバウンド、ブロック数はチーム1位の数字を残した(4年時は平均16・3得点、6・1リバウンド)。そして、大学卒業後はブルックリン・ネッツでサマーリーグに参戦し、その後はメンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を結んだという経緯がある。

 アスレティック能力の高さや走力、またディフェンスやコーチャビリティー(コーチへの従順度、理解度など)はもともと高く評価されていたが、オフェンス重視の傾向にあるNBAでは、得点力が大きな課題として挙げられていた。しかし、2011年4月上旬から徐々に得点シーンも増え、ついに本契約となったのである。

 日本代表としては2016年のリオオリンピック世界最終予選でラトビアとチェコに敗れて本戦への出場は叶わなかった。しかし2019年、中国で開催されたワールドカップのモンテネグロ戦ではゲームハイの34得点、10リバウンドを記録。この34得点はワールドカップで日本人プレーヤーが記録した歴代最多得点となっている。

 今回、日本代表のキャプテンとなったが、NBAでの経験を生かし、八村とともにチームの大黒柱になるに違いない。圧倒的なビッグマンのいないチームでは得点からリバウンド、ディフェンスまで全てにおいて質の高いプレーが要求されるだろう。八村とのコンビに注目したいところである。

(山本達人/月刊バスケットボール)



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