月刊バスケットボール6月号
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落合 知也
F/195cm/越谷アルファーズ、
TOKYO DIME.EXE[/caption]

 

[東京2020 3x3 男子日本代表の横顔]

モデルの世界から、3x3バスケの世界に戻り頂点を目指す

 

 小学校3年で出会ったバスケとの関係はミニバス、中学、高校(土浦日本大高)、大学(法政大)と続き、インカレでは準優勝を経験(2007年)、U24代表候補にも選出されるなど第一線で活躍してきた落合知也。大学卒業時にはプロからの誘いもあったが、彼が選んだのはまったく異分野の「モデル」の道だった。

 バスケに対する熱が冷めてしまったことから一度は距離をおいた落合だが、モデル活動をしながら、あるとき友人からの誘いでストリートボールチームの「UNDERDOG」に加入。そこに集う選手たちの情熱や、5人制とは異なるストリートならではの世界観に刺激を受けたことがきっかけで、彼のバスケ人生の“第2章”は始まった。2014年には3x3日本代表に選出、FIBA3x3世界選手権に出場するなど、落合はバスケットボール選手として再び第一線で活動することとなる。

 現在、Bリーグ越谷アルファーズに所属する落合。活動のメインはTOKYO DIME.EXEのメンバーとして戦う3x3だが、195cm、95㎏の落合はBリーグでも相手の外国籍選手とマッチアップすることが多い。「そこは3x3とも共通する部分で、そこで負けずに自分の力を出すことが越谷の勝利に結びつくので、責任重大でやりがいを感じる」と落合は全力で臨んでいる。そこには、彼が日頃から力を注いでいる3x3の普及活動や、オリンピック出場への熱い思いを理解し、支えてくれる越谷に対する感謝の念が込められている。

 今回のオリンピックから正式種目となった3x3だが、歴史の浅い競技でもあり、まだまだ一般の人々の認知度は低い。落合は、今回のオリンピック出場を機に、自らの活躍によって3x3が人気スポーツとなる機運を高めたいと考えている。

「自分が初期からやってきたという自負もある。まだまだマイナーだけれど、子どもたちに目指してもらいたい競技。普及活動は自分が選手のうちにやっておきたいと思っていて、いろいろ考えていることもあるし、いい環境が提供できると思っている。将来は3x3のプロ選手を生んで、3x3専門の日本代表を目指す選手、オリンピックを目指す選手を輩出していくことが夢。そこに向けて活動していきたい」と落合は思いを語る。

 コロナ禍もあり、この1年は海外での実戦のチャンスもなく、日本代表の4人にとってはチームとして臨む最初のシリアスな戦いがオリンピックとなる。だが、昨年2月の代表合宿で落合はこう語っていた。「今までの海外、国内で得た経験から、いろいろなシチュエーションで何が生きるかといったアドバイスはすべて共有するようにしている。それでチームメイトが上達すれば日本のレベルも上がるし、それは自分の使命だと思っている」。

 日本がメダル候補とは誰も思っていないことを自覚しつつ、しかし落合知也は自分の持てる全力を尽くして、このオリンピックでのメダル獲得に挑もうとしている。

(村山純一/月刊バスケットボール)



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