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富永 啓生
G/188cm/ネブラスカ大学
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[東京2020 3x3 男子日本代表の横顔]

アンストッパブルな若きスコアリングマシン

 

 富永啓生が一躍脚光を浴びたのは2018年12月のウインターカップ。飛びぬけて広いシュートレンジとスコアリングセンスで得点を重ね、1試合平均39.8点という驚異的な数字で得点王、そして桜丘高(愛知)を3位に導いた。特に優勝した福岡第一との準決勝では3Pシュート7本を決めるなど37得点と爆発力を見せつけた。

 地元愛知の岩成台中時代には全国中学校大会で3位の成績を残したものの、高校では結果が出せずにいた。1年の特にはインターハイもウインターカップも出場できずにいるなどくすぶっていたが、高校に入ってから身長が15cmほど伸びたこともあり、徐々に頭角を見せ始める。3年生になるとU18日本代表にも召集され、アジア選手権にも出場した。高校3年の夏に、国際大会を経験したこと、その大会にスカウトが見に来ていて、アメリカの大学から声をかけてもらったこともあり、富永は「海外に挑戦できるなら」とアメリカでのプレーの可能性を本格的に探り出した。

 当初はNCAAディビジョンⅠの大学を目指していたが、成績の問題や、スタッフの変更などが重なり、結局テキサス州のレンジャーカレッジ(短大)へ進学した。しかし、そこでも開幕戦で19得点を稼ぐなど、非凡さを見せつける。そして、短大の次の進路として、今年9月から目標としていたNCAAディビジョンⅠのネブラスカ大への編入を決めた。レンジャーカレッジでの2年間はコロナ禍も重なり、困難なシーズンとなったが、それでも富永は自身のパフォーマンスに磨きをかけた。相手にフェイスガードされるような中でも、しっかりとボールを受け、スコアにつなげられるようになっていった。2年目の今シーズンはヘッドコーチも変わるなどし、全米ランキング外のチームとなってしまったが、シーズンの中で、徐々に評価を高め、最後は全米短大選手権でベスト4入りにチームを導いた。その活躍が評価され、富永は全米短大1部のオールアメリカセカンドチームに選出されている。

 一方で、3x3の日本代表候補に名前を連ねた富永は、シーズン後に強化合宿に合流。最年少ながら、他の候補に遅れてのチーム合流だったが、持ち前のスコアリングセンスで最後は代表入りをもぎ取った。ディレクターコーチのトーステン・ロイブルは「国際大会で通用するエリートのシューターなのは分かっていました」と富永の非凡なスコアリングセンスを評価しており「スキル、シュート力は圧倒するものがあります。運動能力が高く、スピードもあります。ペネトレーションもうまく、スペースをうまくつける選手」とオフェンス面での貢献を大きく期待している。富永自身も「持ち味である2Pシュートや、アグレッシブなドライブなどでチームを引っ張っていきたい」と意気込みを語る。富永が日本代表のXファクターとして爆発することで、日本が世界を驚かせる姿を想像したい。

(飯田康二/月刊バスケットボール)



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